末期咽頭癌、脳梗塞による諸症状、抗癌剤治療による副作用
70代 男性
父がいつもお世話になっています。
昨年春、父の咽に4センチの癌がみつかりました。
手術をすると一生声が出せなくなり、普通の食事もとることが出来なくなると言われ、
一縷の望みを抗癌剤治療にかけて、検査入院をしている最中に今度は脳梗塞で倒れました。
そのため予定していた抗癌剤治療が受けられなくなり、
癌を治療できる手だてがなくなった上に、脳梗塞によって体を起こすこと、
うまく会話をすることすらできなくなってしまいました。
脳梗塞直後は誤嚥性肺炎を避けるためと、口から一切の飲食を禁じられました。
看護婦さんは点滴で十分水分は足りていると言いますが、
ものすごく水を欲しがりました。
そんな時、先生に病院まで往診に来て頂き、
鍼治療して頂きました。
狂うほど水を欲しがっていたのに、一本の鍼治療のあとは、
唾液が出てきて、スヤスヤ寝てしまいました。
苦しむ父を見ていることさえできなかった私たち家族にとって、
病院の態度は冷たかったですが、父を落ち着かせて下さった先生は神様みたいな存在でした。
その後、悩んだ末にサイバーナイフという最新型の放射線治療を受けることにし、
一時は6センチという末期にまで成長していた癌は、
一年たった現在、ウソのように消失しています。
脳梗塞の後遺症はまだあるものの、
普通食を家族と一緒に食べ、家でのんびりテレビを見て過ごしています。
放射線治療を受けた時に発熱や口内炎、咽の痛みで食事がとれなくなるなどの
副作用が出ましたが、鍼治療を受けると、発熱も、口内炎もすぐにおさまり、
食事がとれなくなるということもなく、癌治療を終えることができました。
放射線治療の効果は6週間かかると言われていたのに、4週目で結果が出て、
ウソみたいに癌が消えています。
鍼治療を週3回やってもらったおかげと思い、
とても感謝して、今も継続して治療をしていただいています。
一時は余命3ヶ月と言われた家族にとって、
今のような穏やかな日を迎えられたのも、鍼治療のおかげだと思っています。
※本患者さんは脳梗塞後遺症により手と言語が不自由であり、 同居している娘さんがこの文章を書いて下さいました。
清明院からのコメント
本症例は、末期咽頭癌により余命3カ月と宣告された患者様が、奇跡的に癌が消失し、
自宅で体調が安定した平穏な日々を取り戻すことが可能となった症例です。
私はこの症例について「鍼によって癌が消失した」と主張するつもりは全くありませんし、
本症例に対して最初から絶対の自信をもって臨んだわけでもありませんが、
上記に、娘さんが挙げてくれたことは厳然たる事実であります。
初診時、病室にて点滴の管だらけの体で「アーアー、ウーウー」と叫びながら
しきりに水を欲しがる様子はまさに鬼気迫るものがあり、
ご家族はベッドの周りで泣いておられ、一体私に何が出来るのだろうかと
夢中になって考えながらの治療開始となりました。
言語障害が甚だしく、問診はほとんど出来ませんでしたが、
ご家族からこれまでの状況、お父様の体質、分かる範囲での既往歴をなんとかお話しいただき、
入念に体表観察し、「心肝火旺（しんかんかおう）、痰熱互結（たんねつごけつ）、相対的脾腎気虚（そうたいてきひじんききょ）」と証を立て、
慎重に治療を開始しました。
治療すると、のどの渇きが落ち着き、
安堵の表情を浮かべて眠りだしました。
これにはご家族も相当驚かれたようですが、
私自身もホッとしたのを覚えています。
難病、重病の患者さんが鍼治療にこういった反応を示す時は、非常にいい兆候であるためです。
以降、多少の症状の増減はありながらもその都度何とか対応し続け、現在に至ります。
癌の消失について、鍼が効いたのか、サイバーナイフが効いたのか、
あるいは両方が効いたのか、ご家族の手厚い介護が良かったのか、
厳密には検証のしようもありませんが、現在のこの患者さんの笑顔を見ると、
そんなことどうでもいいというような気持ちになります。
「神様」だなんて大げさな褒め言葉をいただき恐縮ですが、
私の治療がこのご家族の1つの光明となれたことを嬉しく思います。
