アトピー性皮膚炎による皮膚の痒み、フケ、激しい頭痛、 下痢、倦怠感、パニック障害様の諸症状 (人ごみや車の運転で不安感、緊張感など)
40代 男性
夫は、昔から病院が嫌いで、ひどい頭痛や下痢、倦怠感に悩まされていたのにもかかわらず、 病院で重大な病名を告げられる事が怖くて、診察を受けることなく、何年もそういった症状を市販の薬でごまかし続けていました。
はたから見ていて、毎日の胃薬や頭痛薬の消費量が異常に多かったので、何度も病院でちゃんと診察を受けるように勧めましたが、 数年前、夫の父が、会社の健康診断で突然癌があると指摘され、それまで何の症状も無く元気に見えた父が、 入院、手術した途端にみるみる弱って、数か月で亡くなったことがとてもショックだったらしく、 「怖い病気が発見されたら、俺も病気を気に病んで死ぬよ。病気があったとしても、知らない方が長生きできる。」と言って、聞き入れてはくれませんでした。
…その後、縁あって娘が清明院にお世話になったのをきっかけに、「鍼なら悪いデータやレントゲン写真を見せられることもないだろう」と、 渋々ではありましたが夫も竹下先生に診て頂くようになったのです。
竹下先生が、いつかTVで見た中国の鍼師さんのように、体が針山のようになる程たくさんの鍼を刺すのではなく、 一回の施術に一本しか鍼を使わない、という事も夫にとっては恐怖感が軽減出来た理由のようです。
その頃の夫は、3年程家の中での事務的な仕事を続けていたので、家の中で用を足すのと、たまに駅前の本屋さんに行くなどの15~20分位しか歩くことが無くなり、 これといった運動もせず、また、家族以外の人と会って話す機会がほとんど無く、外見を気にすることも無いためか、 外で働いていた時と比べると20キロ近く太ってしまっていました。
そして、従来からある体調不良に加えて、人ごみの中に行く事や、緊張する車の運転がとても苦手になり、すぐに冷や汗をかいたり、 具合が悪くなってしまう為、よけいに家にこもりがちになってしまう、という悪循環に陥っておりました。
治療を始めてすぐに、頭痛や下痢が少なくなり、また、皮膚の状態がとても良くなり、ずっとひどいフケに悩まされていたのが、気が付くと気にならなくなっていました。
その後、だんだん体調が良くなったようで、半年位経った頃、もうこのまま一生外で働けないのでは、と思っていた私の予想に反して、 前に勤めていた事務所に復職をする事になりました。
その後、過剰な食欲もだんだんとなくなったようで、家でもあまり食べ過ぎるという事が無くなりました。
また、毎回毎回毎回先生が食養生のお話をしてくださったのが効いたためか、食事の嗜好が少しずつ変わり、好きだった肉類よりもあっさりした物や、 野菜を良く食べるようになり、どんなに私に咎められても止められなかった程大好きだった甘いもの(一時期は、飴を毎日1袋食べていました!)もあまり欲しがらなくなったので、 体重がどんどん減っていき、2か月ほどで計10キロ以上痩せました。
一時、逆に悪い病気にでもなったのかしら、と心配しましたが、体調は前よりもずっと良くなったようなので、夫も、やはり、鍼の効果なのかなぁ…、などと話していました。
今では、体重は安定しており、食欲は前より少し増していますが、リバウンドすることもありません。
また、毎年冬に風邪をこじらせて高熱を出していたのですが、この冬はとても元気に過ごしておりました。
まだ時々、頭痛や腹痛がありますが、以前のように毎食後胃薬を飲むという事はなくなりました。
現在は、なんとあの引きこもりさんが、独立して3人の所員を抱えた司法書士事務所の所長として、日々楽しそうに働いております。
ただ1つ、残念なことは、夫は何故か「何となく自然に治った。」と思っているふしがあり、鍼のすごさを今1つ理解できていないということです。
(治療していただいている時には、いつもあんなにリラックスして人前でぐうぐう寝ているくせに!)
夫が「自然治癒」と感じているのは、私の主観では、夫が「今日は治療の時、院長先生と全然話さなかった。」という日もある程に、 人と話す時に緊張しがちな夫に余計な気を使わせないようにと、(空気)のように接してくださった院長先生の「技術」の賜物ではないかと思っております。
竹下先生にご紹介いただいた藤本蓮風先生のご本に「鍼は運命を変える。」
というようなことが書かれていましたが、この1年弱の間に夫に起こった変化は、本当に「運命が変わった」としか言いようの無いようなことで、 鍼で、体から、心を、さらに運命まで整えて頂けたのだなあと、感動と感謝の念でいっぱいです。
今後ともどうぞよろしくおねがいいたします。
また、拙文を読んだ心の弱っている方が「鍼灸治療を受けてみようかしら…。」と思って下さることを、切に望んでおります。
※この文章は、患者さんの奥様が書いて下さいました。
清明院からのコメント
この方は、まだ幼い娘さんが治療に来ていたついでに、奥様のすすめもあって、渋々、清明院で治療を受けるようになった患者さんです。(苦笑)
なかなか自分の思っていることや考えていることを人に伝えるのが苦手な方で、あまり無理に喋らせようとすると過緊張が起こってしまうので、 問診よりも体表観察に重きを置いて、「肝陽上亢(かんようじょうこう)、湿熱(しつねつ)」と証を立て、治療を進めました。
治療中は極力笑わせたり、和ませたりすることに重きを置き、症状のことを細かく細かく聞いていく、ということはあえてあまりしませんでした。
その結果、患者さん御本人としては、鍼がよく効いたというよりは、「自然治癒」だとお考えになったようです。(苦笑)
…まあ、鍼というのは、人間にもともと備わった「治る力」を引き出すためのものなので、僕としてはそう思っていただいてもいいと思っています。
清明院HPでも、このブログ上でも、何度も書いているように、あくまでも「自然治癒(治る力)」の手助けをするのが鍼灸治療です。
「"正しい"鍼灸をする」
↓
「体が本来のいいバランスを取り戻す」
↓
「相対的に自然治癒力(治る力)が治療前より上がる」
↓
「諸々の症状がとれる」
というメカニズムなのです。
決して鍼灸が患者さんの心身を「完全に」コントロールしている訳ではありません。
「医療」というのはどんなものであれ、あくまでもサポート、「手助け」なのであります。
ですので、この「手助け」に対してどれぐらい重い価値を見い出すかが、人によって違うというのは当たり前です。
ここは興味深いところですネ…。
ともかく、本症例の場合は、鍼が明らかに「治る力」の手助けになっている、ということは、上記のような、 治療を開始してからのご主人の心身の著しい変化が、結果から証明してくれていると思います。
初診の時の、御自宅での引きこもり状態から考えると、現在の仕事スタイルは、考えられないほどの激変であり、ちょっと心配な面もありますが、 今後もさらなる症状の改善、心身の安定を目指して、治療を続行していきたいと考えております。
…それにしても、この方の「病気を気に病んで死ぬ、知らない方が長生きできる。」という言葉…、考えさせられるものがあると思います。