偏頭痛、四十肩、首肩こり、腰痛
40代 女性
肺気腫で寝たきりだった母が、左膝に拘縮を起こした時に週3日往診に来ていただいたのがきっかけで、竹下先生には家族ぐるみでお世話になっています。
ほんの少しの刺激で呼吸苦の発作を引き起こす時もあり、出来るだけ負担のかからないように全身状態に気を配って治療して下さる姿勢に、母も私も安心と信頼を覚えました。
母がもともと薬剤師で、漢方薬を中心に扱っていたことから、東洋医学には少なからず馴染みがありましたし、鍼灸治療には効果があることも知ってはいました。
とは言え、健康診断の血液検査さえも逃げ出したくなるほど針嫌いな私です。
介護者定番病の一つと言われる腱鞘炎を患った際、整形外科で処方された湿布を貼って凌いでいたところ、セーターで隠した包帯をすかさず見つけた先生は苦笑しながら「早く言って下さい」と気軽に診て下さり、この期に及んでなおも腰が引けていた私も、観念して治療を受けました。
ところが、痛みは全く感じず、蚊に刺されたような刺激があるだけで、まさに拍子抜けです。
決して西洋医学を否定せず、専門医やかかりつけ医の意見を尊重しながら、鍼灸治療を行う姿勢もまた、先生への信頼を深めてくれました。
週3回の母の治療後に必ず診ていただき、整形外科では長引くと言われていた痛みが1週間ほどで和らぎ始め、気づけば楽になっていたのを今も忘れられません。
以降、ぎっくり腰の再発、四十肩、ストレスによる不眠や倦怠感、肩こり、頭痛、アレルギー性鼻炎など、あらゆる症状に早め早めに対応していただき、お灸もそれまで抱いていたイメージとは全く異なるものであると、身をもって体験しました。
介護する側もされる側も青色吐息になりがちの在宅介護生活を、無事に乗り切れたのは鍼灸治療があったからこそと、心から感謝しています。
特にこれといった症状のない現在、けれど五十路を間近に控えた身体は若いころとは違った症状を訴え始め、そんな身体のメンテナンスとして2週に1度のペースで治療を受けています。
問診後のお腹の触診で「○○な事がありませんか」と、ずばり言い当てられ、体は隠し事が出来ませんね、と苦笑することも度々ですが、これからも鍼灸治療は続けるということは、隠さずに申し上げます。
清明院からのコメント
この方のお母様は、重度の肺気腫を患っておられ、安らかに亡くなられるほんの数日前まで往診にて治療させていただいておりました。
その頃から主介護者であった娘さんを治療させていただくようになり、現在に至ります。
寝たきりの人ひとりを、在宅で介護する、ということは、並大抵のことではありません。
主介護者(この場合娘さん)やその周りにいるご家族にかかる精神的、肉体的負担は想像を絶するものがあります。
特にこの患者さんのお母様の場合は、一度呼吸苦の発作が起こってしまうと、見る見るうちにパニック状態になってしまい、御家族は夜中も目を離すことが出来ず、相当大変だったろうと思います。
こうした場合に、当院では被介護者はもちろん、介護者であるご家族にも治療をお勧めしています。
この方の場合は「心肝気鬱(しんかんきうつ)」と証を立て、鍼灸治療を続け、肉体的な負担が減ると、精神的にも前向きになり、つい暗く弱気で落ち込み気味になってしまいがちな介護生活を、なんとか乗り切ることが出来ました。
本当に最後まで在宅介護でよく頑張ったと思います。
また、本患者さんのように、お母様が亡くなられた後も、当院を信頼して治療の相談をしてきて下さることは、我々にとっても大変嬉しいことであります。
娘さんから頂いたこの文章を読んでいてふと思い出しましたが、お母様が亡くなられた後、娘さんご夫婦が、主治医の先生、ヘルパーさんと私を、お別れ会といってお食事会にご招待いただき、決してしんみりせずに、楽しいひと時を過ごさせていただいたことがありました。
当時まだまだ経験が浅く、知識も少なく、呼吸苦発作が起こらないようにと祈るように、慎重に、緊張しながら治療する私を、「先生、先生」と呼んで、丁寧な態度で最大限立ててくれたお母様の、優しいお人柄がよく表れているように感じた食事会だったことを、懐かしく思い出します。
今後もこのご一家の健康な日々を見守っていきたいと考えております。