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鍼灸に関するRWD研究(乳がんサバイバーの疼痛)②

 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 

 

 
いつの間にか、蝉の声は全く聞こえなくなり、
秋の虫の音色に、心が鎮まるころとなりましたね。
9月はほとんど雨だったので、10月はもう少し秋晴れを味わいたいです。
 
 
 
 
 
 
今回から、乳がん経験者の痛みに対する鍼治療の影響を、
リアルワールドデータ(RWD)で検討した論文を見ていきます。
 
 
 
 
 
米国では年間200万人以上ががんと診断され、
がんを経験しながら生活する人は今後さらに増えていくと予測されています。
その中で、疼痛は患者さんのQOL(生活の質)を
大きく損なう症状の一つであることが、
この論文の主たる着眼点です。
 
 
 
 
 
 
がんの疼痛にはさまざまな原因があり、
特に乳癌では、治療そのものが痛みの原因になったり、
便秘や胃潰瘍、薬剤依存等の有害事象も報告されており、
こうした背景から、薬物療法だけでなく、
補完的な非薬物療法も組み合わせて疼痛を管理する
統合医療への関心が高まっていることが紹介されています。
 
 
 
 
 
中でも鍼は、ランダム化比較試験において、
疼痛軽減効果が報告されています。
しかし、臨床試験で示された効果が、実
際の日常診療の中でも同じようにみられるのかは、
まだ十分に分かっていません。
 
 
 
 
 
 
また、鍼治療の利用には格差があり、
民間保険に加入している人や、
自己負担で治療を受けられる経済的余裕のある人に
偏っていることも指摘されています。
 
 
 
 
 
そのため、患者さんにとっての効果だけでなく、
保険者の立場から見た鍼治療の価値についても検討する必要がある、
というのがこの研究の問題意識です。
 
 
 
 
 
こうした背景から、疼痛を有する乳がんサバイバーを対象に、
「鍼治療を受けた人では、鎮痛薬の使用が減るのか」
を検討したのが、これから読んでいく論文です。

さらにこの研究では、鎮痛薬の使用だけでなく、
医療費や入院、救急受診などの医療資源利用についても評価し、
鍼治療が実際の医療現場でどのような影響を与えているのか、
また保険者の立場からどのような価値を持ち得るのかを検討しています。
 
 
 
 
 
 
次回は具体的な方法を見ていきます。
 
 
 

 

Ng DQ, Lee S, Lee RT, Wang Y, Chan A.
Real-world impact of acupuncture on analgesics and healthcare resource utilization in breast cancer survivors with pain.
BMC Med. 2024 Sep 16;22(1):394. doi: 10.1186/s12916-024-03626-2. PMID: 39285302; PMCID: PMC11406884.

 
 
 

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こんばんは 謝敷です。
 
 
 
 
 
雨がずーっと続きますね。
先週あった束の間の晴れ間に、秋の空気を感じて、今年も残すところあと3ヵ月と少しなのだということを感じました。
秋になると、乾いた空気にのってくる金木犀の香りに、何か寂しさのようなものを感じます。
シルバーウィークも丁度半ばでしょうか。皆様素敵な休日をお過ごしください。
 
 
 
 
 
 
さて、先週までは米国におけるHospitalist(病院総合医)という職業についての論文を読んできました。
AIの浸透や発展にも思うことですが、
Hospitalist(病院総合医)について調べながら感じたのは、
社会のニーズに合致した仕組みは、想像以上の速さで、
地域的にも、その役割の内容としても広がっていくのだということでした。
 
 
 
 
 
 
その過程では、当初は想定していなかった変化や影響も生まれてくるのではないかと思います。
 
 
 
 
のんびり屋の私としては、そうした急速に広がるものに、少し不安を感じます。
 
 
 
 
 
 
速く育つ木の密度が少し粗いように、大切な哲学や文化、思考のようなものが形骸化し、
物質的な部分(制度や人数)のみが先にどんどんと育ってしまう可能性があると思うためです。
 
 
 
 
 
そうした若干の不安を抱きつつ、
社会の大きな潮流として今後さらに広がっていくであろうものの一つに、
RWD(リアルワールドデータ)を用いた研究があります。
 
 
 
ただ不安だから避けるのではなく、その波と勢いの中に入りながら、
「これらの検討から本当に何が分かるのか」
を考え続ける必要があるのではないかとも感じています。
 
 
 
 
 
 
これまで医学研究、とりわけ治療の有効性を検証する臨床研究では、
研究目的に合わせて対象者や評価項目、データを取得する時期や方法を
あらかじめ定め、必要なデータを収集する方法が中心的な役割を担ってきました。
 
 
 
 
 
一方で、人々の生活や医療のさまざまな場面がデジタル化される中、
研究のために新たに集めるデータだけでなく、
日常の診療や生活の中ですでに生まれているデータを研究に活用することが可能になってきました。
 
 
 
 
 
例えば、商業の世界では、人々の行動から生まれるさまざまなデータを分析し、
購買傾向の把握やサービス、製品の開発などに活用しています。
 
 
 
 
 
 

同じように医療の世界でも、
診療や保険請求の過程で日々生み出されるデータの電子化・蓄積が進み、
それらを研究や医療政策に活用する動きが広がっています。

 

 

 

 

病院を受診した際に生じるレセプトデータ、
電子カルテのデータ、
病院での診断や診療行為、在院日数などを含むDPC(診断群分類包括評価)データ、
さらに近年では、ウェアラブル機器によって日常生活の中で取得される生体情報なども、
研究に活用されるようになってきました。

 
 
 
 
こうしたデータは、日常の医療の中で実際に生じた情報を捉えられる一方で、
決して患者さんの「リアル」そのものではありません。
 
 
 
 
例えば、データ上では薬が「処方された」ことは分かっても、
本当にその薬が服用されたかまでは分からないことがあります。
また、ある傷病名が記録されていたとしても、
それだけでその疾患が確定診断されたと判断できるとは限りません。
 
 
 
何をもって病気や治療、アウトカムを捉えるのか。
データとして記録されている情報が、私たちの知りたいものを本当に表しているのか…
RWD(リアルワールドデータ)を扱う上では、こうした点を慎重に考える必要があります。
 
 
 
 
 
 
 
また、何万人、何百万人という患者さんを含む匿名化されたデータベースを扱う場合、
その一人ひとりがどのような生活を送り、
どのような思いで医療機関を受診したのかまで辿ることはできません。
 
 
 
 
 
 
しかし、RWDを活用するからこそ見えてくる情報、検討できる問いがあるのだと思います。
 
 
 
 
 
 
最近私は、医療の中でこうしたRWD(リアルワールドデータ)が
何を、どのように捉え、どのように活用されているのかに興味を持つようになりました。
 
 
 
 
 

そして同時に、日々の臨床で出会う、
「多くの病院を巡り、“ストレスのせい” “年齢のせい” “原因不明”と言われ、
それでも苦しみ続けた末に来院される患者さん」の実態や経緯を、
こうしたデータから捉えることはできるのだろうか。
その中で東洋医学や鍼灸の役割や有用性を検討したり、示すことはできるのだろうか…

 
 
 
 
 

そんなことを考えるようになりました。

 

 

 

そこで次回から、乳がんを経験し、疼痛を有する患者さんを対象に、
鍼灸治療が鎮痛薬の使用や医療資源の利用にどのような影響を与えていたのかを検討した、
米国のRWD(リアルワールドデータ)研究を読んでいきたいと思います。

 
 
 
 

 

Ng DQ, Lee S, Lee RT, Wang Y, Chan A.
Real-world impact of acupuncture on analgesics and healthcare resource utilization in breast cancer survivors with pain.
BMC Med. 2024 Sep 16;22(1):394. doi: 10.1186/s12916-024-03626-2. PMID: 39285302; PMCID: PMC11406884.

 
 
 

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