東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
前回は外感による嘔吐についてお話しました。
 
 
 
前回までのお話はこちら!
 
 
 
本日は、内傷による嘔吐について、お話していきたいと思います。
 
 
 
この場合の弁証分類は主に5つあります。
 
 
 
1.食滞
 
 
 
何かを飲食すると激しい嘔吐が起こるものの、吐出後はスッキリする特徴があり、
 
 
 
嘔吐物は、鼻を突くような腐った酸臭がします。
 
 
 
その他にも胃脘部の膨満、ゲップ、厭食といった症状がみられます。
 
 
 
2.痰飲内阻
 
 
 
嘔吐の他に、胃の不快感により飲食したがらない、眩暈、動悸がみられます。
 
 
 
さらさらした涎や痰状のものを嘔吐する場合は、寒証に傾いていることを示します。
 
 
 
熱に傾いていれば、身熱、心煩を伴い、舌苔が黄膩苔~黄濁苔がみられ、湿熱互結、熱痰中阻の状態にある可能性があります。
 
 
 
また、胃脘部が痞えて腹脹し、白膩苔がみられる、熱所見がみられない場合は、湿濁中阻の状態にあると考えられます。
 
 
 
3.肝気犯胃
 
 
 
この場合、呑酸、ゲップが頻繁に出る特徴があり、胸脇部が脹って痛みます。
 
 
 
増悪因子は、イライラ、プレッシャー、悩み事をぐるぐる考えてしまうといったことが挙げられます。
 
 
 
春温病、暑温病の過程で、肝気が高ぶりすぎて肝風内動し、
 
 
 
痙攣や四肢抽搐(ちゅうちく:筋肉がひきつり痙攣すること)、高熱、頭痛、頻繁で噴水のような激しい嘔吐を引き起こすことがあります。
 
 
 
4.脾胃虚寒
 
 
 
飲食量が少し多めになると嘔吐してしまったり、嘔吐してしまいそうになります。
 
 
 
増悪緩解を繰り返す特徴があり、食欲不振により食が進まず、胸や胃脘部に痞えを感じます。
 
 
 
その他に、全身倦怠無力感を伴い、重篤になると、腎陽虚を兼ねるようになり、四肢厥冷、水様下痢がみられます。
 
 
 
5.胃陰虚
 
 
 
熱病の後期や肝鬱化火、嘔吐を繰り返すことにより、胃陰を暗耗すると、胃自体が衰弱し、
 
 
 
下に降ろす降濁機能が低下して、上に向かうベクトルが強くなってしまい、嘔吐を引き起こします。
 
 
 
嘔吐物の量はそれほど多くない、嘔吐を繰り返す特徴があります。
 
 
 
時々、乾嘔、悪心もみられ、陰分の不足により、口乾、咽乾となります。
 
 
 
空腹感は出てくるものの、実際に目の前にすると食べたいと思わない、胃脘部の嘈囃感といった症状がみられます。
 
 
 
内傷による嘔吐についてのお話は以上です。
 
 
 
次回は、「胃痛・胃もたれ」についてお話していきたいと思います。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は、前回の続きで、実際に吐いてしまう「嘔吐」についてお話していきたいと思います。

 

 

 

前回のお話はこちら!

吐き気がする

 

 

 

嘔吐は、外感、内傷どちらによっても引き起こされます。

 

 

 

まずは外感が病因となる場合の嘔吐の弁証分類について、お話していきたいと思います。

 

 

 

外感の場合は、外邪が胃を襲うことで嘔吐を引き起こします。

 

 

 

外邪の主な種類は、次の通りです。

 

 

 

1.風寒邪

 

 

 

突然嘔吐する特徴があります。

 

 

 

この場合は、悪寒、発熱、頭項強痛、無汗、脈浮(緊)といった風寒表証所見を伴います。

 

 

 

2.風熱邪

 

 

 

突然嘔吐する点では、風寒邪と同じです。

 

 

 

軽い症状の場合は悪心して吐きそうになる程度で済みますが、

 

 

 

重篤な場合は、悪心してすぐに吐いたり、飲食中に嘔吐する特徴があります。

 

 

 

この場合は、発熱、微悪風がみられた後に悪熱、咽の発赤や痛みといった風熱表証所見がみられます。

 

 

 

3.暑湿邪

 

 

 

ちょうど今のような時期、夏の蒸し暑いときに嘔吐を引き起こしやすい外邪が暑湿邪です。

 

 

 

突然嘔吐する点では、風寒邪、風熱邪と同じです。

 

 

 

軽い症状の場合は悪心して吐きそうになる程度で、重篤な場合は悪心してすぐに吐いたり、飲食中に嘔吐する特徴は、風熱邪と同じです。

 

 

 

この場合の特徴は、汗がよく出る、口渇がきついといった症状や発熱悪熱、心煩がみられます。

 

 

 

4.邪在膜原

 

 

 

膜原、募原といいますと、横隔膜のことを指しますが、

 

 

 

この場合、湿邪を感受して膜原で邪気が鬱滞して伏してしまうと、嘔吐が引き起こされます。

 

 

 

嘔吐に往来寒熱を伴い、舌苔が白厚で粉が積もったような所見がみられます。

 

 

 

長くなってしまいそうなので、内傷による嘔吐に関しては、次回のお楽しみに!

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

『基礎中医学』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

 

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