東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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アレルギーと肺の臓

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「アレルギー」についてお話ししていきたいと思います。
 
 
 
アレルギーとひとくちに言っても、症状は様々です。
 
 
 
ある特定の飲食物を摂取したり、特定の植物、動物と接触すると、呼吸困難や蕁麻疹が出るなど、多様です。
 
 
 
問診時に重要になってくるのは、
 
 
 
1.いつから症状が出ているのか
 
 
2.どのような条件で症状が出てくるのか
 
 
3.どのような症状なのか
 
 
 
以上ですので、問診時に得られるように積極的にお話ししていきます。
 
 
 
今回はアレルギーの中でも「アトピー性皮膚炎」を例にお話ししていきたいと思います。
 
 
 
アトピー性皮膚炎は、中医学の概念には存在せず、現代病と言われています。
 
 
 
日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎診療 ガイドライン 2018年版」には、次のように定義されています。
 
 
 
増悪・緩解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。
 
 
 
アトピー素因とは、家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)があること、またはIgE抗体を産生しやすい素因をさす。
 
 
 
アトピー性皮膚炎の診断基準としては、
 
 
 
1.掻痒がある
 
 
 
2.特徴的皮診と分布がみられる
 
 
 
皮診は湿疹病変である。
 
 
 
急性病変では、紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑、痂皮がみられる。
 
 
 
慢性病変では、湿潤性紅斑、痒疹、鱗屑、痂皮がみられる。
 
 
 
分布は左右対称性、好発部位は前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周囲、頚部、四肢関節部、体幹である。
 
 
 
年齢による特徴は、乳児期は頭、顔に湿疹ができ始め、体幹、四肢に下降していき、
 
 
 
幼小児期は頚部、四肢屈曲部に病変が現れ、
 
 
 
思春期・成人期は、頭、顔、頚部、胸、背といった上半身に皮疹が強い傾向がある。
 
 
 
3.慢性・反復性経過
 
 
 
皮疹が慢性もしくは反復性を持って発現し、新旧の皮疹が混在する。
 
 
 
乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上を慢性とする。
 
 
 
ガイドラインによると、以上の1~3の項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断し、
 
 
 
その他は急性、慢性の皮疹とし、年齢や経過を参考にして診断するそうです。
 
 
 
北辰会方式では、アトピー性皮膚炎の原因として、
 
 
 
空気や水、食物の汚染、七情の過不足、様々な内熱要因、飲食の不摂生を挙げています。
 
 
 
これらの病因によって、結果的に肺の機能が失調して、皮膚に発疹が出ます。
 
 
 
アレルギーのなかでも、喘息、喘息様症状として、咳嗽、痰咳が現れることからも、肺の臓が不調を起こしていることが分かります。
 
 
 
また、湿疹を治そうと薬を服用し、一時的に皮膚症状が治っても、肺気の失調が喘息という形で顔を出して来てしまうということが起きます。
 
 
その為、服薬の有無、服薬後の主訴の変化だけでなく、新たに身体症状が出ていないか、問診にて確認しておく必要があります。
 
 
 
空気や食物の汚染については、身体に蓄積されていくことで、何かをきっかけに発病することがある為、
 
 
 
これまでの生活環境や発症のきっかけについても、詳しくお話を伺っていきます。
 
 
 
乳児が発病する場合、親の体内の邪気が子供に受け継がれたことが考えられる為、親の妊娠中の精神状態の問題や飲食不節が無かったかといったところまで、お話を伺っていきます。
 
 
 
七情の過不足といいますと、精神的ストレスのことを指しますが、アレルギーが現代病といわれるのも、患者さんを取り巻く社会環境が複雑化しており、様々なストレス刺激を受けやすい状況になってきていることが関係していると言えるのではないでしょうか。
 
 
 
「アレルギー」についてのお話は、以上です。
 
 
 
次回は「むくみ」について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「身体の痒み」について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
皮膚に掻痒感を自覚して、爪で掻きたくなる症状を「痒み」と定義されています。
 
 
 
 
皮膚掻痒の病位は皮膚の為、直接的に関係する臓腑は「肺 (肺魄)」が想起されます。
 
 
 
しかし、痒みなど感覚刺激を知覚するのは「心」である為、心神が不安定になると痒みの感覚が激しくなる特徴があります。
 
 
 
痒みの弁証分類については、病因が外感によるものと内傷によるものに分けられます。
 
 
 
まずは外感による痒みについてです。
 
 
 
1.風湿、風寒
 
 
 
外邪の侵襲によって肌膚での経気が鬱滞し、邪気が同部位に停滞していると正気とせめぎ合う際に、さらに気血の停滞が起こり、痛痒い感覚を引き起こします。
 
 
 
次に内傷による痒みについてです。
 
 
 
1.湿熱
 
 
 
飲食不節によって湿熱が内生し、湿熱邪が皮毛腠理で鬱滞していると、熱化して風を生じます。
 
 
 
その湿熱と内風を内から疏泄したり、外に発散出来ないでいると、皮毛腠理にこもってしまい痒みを引き起こします。
 
 
 
動風すると心火が助長され、血熱が皮膚を襲うと激しい痒みを引き起こします。
 
 
 
この場合、高温多湿、飲酒や辛辣物、脂物、甘味など湿熱を助長するものによって増悪します。
 
 
 
湿邪がきついほど患部がジュクジュクし、皮膚を掻いた際の肌汁の性状を問うことで湿と熱の比重を大まかに捉えることが出来ます。
 
 
 
熱がきつければ、色が濃くて、臭いもきつくなり、粘調性が高い特徴があります。
 
 
 
2.血熱
 
情志が鬱々として気が晴れない状態となったり、精神的に緊張がきつくなると、五志化火して血熱が内蘊し、化火生風して痒みを引き起こします。
 
 
 
夜中に痒みが増悪し、掻いて出血することで清熱されると痒みが緩解する特徴があります。
 
 
 
3.血虚
 
肝腎が弱ると陰血不足となり、皮膚を濡養できず、乾燥して痒みを引き起こします。
 
 
 
4.陰虚内熱
 
 
 
この場合、夕方~夜間に痒みが増悪しやすく、肉体疲労で悪化する特徴があります。
 
 
 
5.瘀血
 
 
 
この場合は、肌膚甲錯や皮膚の色素沈着がみられます。
 
 
 
痒みの弁証分類については、以上です。
 
 
 
次回は、「皮膚掻痒」の弁証分類について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
【参考文献】
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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