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こんばんは、松木です。
本日は学校で定期試験の採点を行いました。
試験というのは、学生の皆さんの学習度合いを評価すると同時に、教師の情報伝達力が評価される場だと思います。
「教授錯覚」なる言葉があります。
教授錯覚とは、大学教育において、
「自分の筋道だった理論の授業によって,学生たちもよく理解できているはずだ。」とか、
「自分の教育への熱意は,学生たちに共感をもって受けとられているにちがいない。」
という類の、教師側の勝手な思い込みのことです。
今回も、定期試験の採点をしていて、とても基礎的な内容で間違いを記入しておられる学生が見受けられました。
ここで、「こいつ勉強しなかったんだな。」と考えるのは簡単ですが、教授錯覚に陥っている可能性も否定できません。
特に、同じ箇所を複数の学生が間違っているとなると、その可能性は高くなると思います。
「普通なら正しく解答できるはずの問題」を解答出来ていない。
起こりうるはずのことが起きていない。
こういった場合にこそ、大切な問題が潜んでいるのではないかと思います。
そういう時こそ、教授錯覚に陥ることなく、自分の情報伝達の方法について、もう一度考えることができるチャンスだと思います。
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こんばんは、松木です。
往診という業務上、高齢な患者さんと接する機会がたいへん多いです。
そのなかには、認知症、いわゆる「ぼけ」が進んでおられる方もいらっしゃいます。
そして、そのような方と会話をさせて頂くなかで、学ばせて頂くことが多々あります。
正に、患者さんは先生です。
心理学者の河合隼雄先生が、著書『「老いる」とはどういうことか』のなかで、恩師フレイ先生との思い出について、このようなことを述べられています。
以下引用させて頂きます。
二年ほど前、最後にお会いしたときは、残念ながらだいぶ「ぼけ」ておられた。ついさっき話をしたことを忘れて、また繰り返される。その程度が相当にひどいのである。
ところが、話が内的な深い話になってくると、それがまったくちがってくる。実に鋭く、的を射た言葉が出てくるので驚いてしまった。「ぼけ」などまったく感じさせないのである。
当時、フレイ先生に分析を受けていた人が、フレイ先生と話しあっているときに、先生がぼけたようなことを言われたりするときは、こちらの話題が浅いときで、深くなってゆくと先生は実に的確になられる。フレイ先生の応答によって、自分の話題の程度が測られる、と言われて、なるほどと思った。
老人の「ぼけ」という点について実に考えさせられることだと思った。(引用終わり)
認知症の患者さんと接しているとき、「人間力」が問われているのではないか、と思います。
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