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マイコプラズマ肺炎急増(その8)

こんばんは、森岡です(^_^)

前回までのお話し・・・

マイコプラズマ肺炎急増(その1)

マイコプラズマ肺炎急増(その2)

マイコプラズマ肺炎急増(その3)

マイコプラズマ肺炎急増(その4)

マイコプラズマ肺炎急増(その5)

マイコプラズマ肺炎急増(その6)

マイコプラズマ肺炎急増(その7)

7回に渡り書いてきたこのシリーズも、いったん終わりです。

今年、マイコプラズマ肺炎が流行した理由を挙げると、

1.今年の猛暑+過度な発汗により内熱がこもった

2.過度の水分摂取+暴食により脾の臓を弱らせ湿熱を生んだ

3.秋の収斂作用により、内熱がもれにくい環境が生まれた

4.今年は燥邪が多く、燥邪により肺の臓の潤いが奪われ、咳を発症しやすくなった

5.寒邪により、腎の臓が影響を受け、衛気が作り出せなくなったことで、肺の臓に悪影響を及ぼした

という、大きく分けて5つの原因が考えられます。

この原因が複雑に絡み合うことにより、咳を主体とするマイコプラズマ肺炎が、大流行するきっかけとなっているのではないかと推測できます。

この様に、東洋医学では、病気になるまでの過程を非常に重視します。

咳がでてるから、じゃあ咳止めのお薬出しときましょう、ではなしに、

その患者さんが、普段の生活の中から、どのような体質を形成しているか。

また、そういった体質の患者さんが、どのような変化を体に引き起こした結果、咳が出るに至ったのか。

様々なことを細かく分析し、原因を究明していくのです。

ですから、一人一人体質も違いますし、原因も違います。

もちろん、治療法も変わってきます。

鍼灸が、オーダーメイド治療と言われたりする所以は、この様なことからです。

また多くの場合、急に病気が形成されるのではなく、数週間、数か月、時には数年間かけて作り出されているのです。

ですから、僕ら鍼灸家は、その年の気候がどのようになるのか、また患者さんの生活習慣の乱れなどを予測することで、患者さんが、今後なりうるかもしれない病気を予測することができます。

また、患者さんに合った養生法も教えることができます。

これらは、鍼灸の良さである「未病治」につながっていきます。

こういったことができるのも、東洋医学の素晴らしさではないでしょうか。

今後の医療は、

「病気を治すこと」より「病気にならないこと」

が重要になってきます。

予防医学というやつです。

この予防医学を実践するには、鍼灸が最も効果を発揮するんじゃないかなぁって思います。

ではこれで肺炎シリーズ終了。

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「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その10)

こんばんは、松木です。

続きを書いていきます。

「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その1)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その2)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その3)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その4)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その5)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その6)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その7)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その8)
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その9)

とうとうEBMのお話も10記事目に突入です。

今日は「症例集積」について書いていきます。

「症例集積」とは、関心ある転帰を示す一連の患者の報告で、対象群は含まないものを指します。

対象群とは、これまでのお話にも出てきましたが、何も治療をしていない人たちや、他の治療を行った人たちのことです。

・無作為化比較試験(RCT)

・コホート(追跡)研究

・症例-対象(case-control)研究

これらの研究方法では対象群を設定してありましたが、「症例集積」には対象群は設けていないわけです。

お忘れの方がいらっしゃるかもしれませんが、
「EBM(根拠に基づいた医療)」について(その3)
に書いたように、EBMでは研究方法によってデータの信頼度に差を設けています。

「症例集積」はそれほど信頼度の高い研究とは言えません。

しかし、鍼灸において昔から行われている研究の多くは、この「症例集積」です。

そして「症例集積」には、EBMの信頼度とは別に、重要な意義がある場合があります。

日本統合医療学会のホームページにこのような事が書いてあります。

以下引用させて頂きます。

近代西洋医学の医薬品のEBMで広く使用されるRCT(ランダム化比較試験)だけでは、伝統医学や相補・代替医療の科学的根拠を研究するには限界があるとの討議が2000年のミュンヘンでの国際会議でなされています。

実際、米国の国立癌研究所(NCI)や国立相補・代替医療センター(NCCAM)でも、RCT研究にそぐわない伝統医学や相補・代替医療は、ベストケースシリーズ(Best Case Series)として取り上げられています。

ベストケースとは、伝統医学や相補・代替医療の実施によって得られた、以下のような様々な症例を集積し、臨床試験実施に向けた情報の収集と基礎資料を提供するものです。

1、1回あるいは数回の治療によって、劇的な症状の改善あるいは治癒が見られた症例

2、近代西洋医学に伝統医学や相補・代替医療を併用することによって、症状の進行を顕著に遅らせ改善させた症例

3、近代西洋医学に抵抗を示す病態に対し、伝統医学や相補・代替医療によって症状の明らかな改善が認められた症例

4、その他、伝統医学や相補・代替医療で特異な効果が得られたケース

伝統医学や相補・代替医療のEBMでは、有効性や安全性、経済性が症例によって異なる場合が多くなります。今後、伝統医学や相補・代替医療の適応や 有効性を検証するためにも広く情報の共有を図り、ベストケースの集積からエビデンスの検証へと繋がる研究体系が望まれています。

引用終わり

EBMの信頼度は低い「症例集積」ですが、上記のような印象的な症例は、「ベストケースシリーズ」として重要であるという事です。

鍼灸の古くからある「症例集積」は、EBMの観点からは価値が薄いように言われることがありますが、

このように考えるとまた違った価値を持っていると思います。

つづく

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