東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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先天性の異常がある

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は「先天性の異常がある」ことについて、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

先天性の異常といいますと、骨格、視力、聴力の異常など様々ですが、ここでは五遅と五軟について取り上げていきたいと思います。

 

 

 

これらは小児の生長発育不良を主とする症状とされています。

 

 

 

五遅は、3歳くらいまでに発病することが多く、生後6ヶ月から1年の幼児に最も多くみられます。

 

 

 

成長がみられるまでの年齢が遅い症状が主に5つあり、次の通りです。

 

 

①立遅…立つことができる年齢が遅い

 

②行遅…歩けるようになる年齢が遅い

 

③髪遅…髪が生える年齢が遅い

 

④歯遅…歯がなかなか生えてこない

 

⑤語遅…言葉を発する年齢が遅い

 

 

 

次に五軟についてです。

 

 

①頭項軟…泉門が閉じない。頚がすわらず、頭を持ち上げられない。

 

②口軟…口唇の力が弱く乳首に吸い付く力が弱かったり、咀嚼運動が弱い。常に涎を垂れ流している。

 

③手軟、④脚軟…手足に力が無くだらりとして、握力が無く、立って踏ん張ることができない。

 

⑤肌肉軟…身体全体の筋肉・肌肉が弛緩しており、行動全般に力が入っていない。

 

 

 

多くは、先天の稟賦不足(腎精不足)と、後天の濡養失調が絡んで発症する為、脾腎を補う治療をすることが一般的となっています。

 

 

 

五遅の弁証分類は、主に2つあり、どちらの病因も内傷に分類されています。

 

 

 

1.肝腎不足

 

 

 

立遅、行遅、歯遅には肝腎不足が関与しています。

 

 

 

通常、生後半年くらいで歯が生え始め、生後8ヶ月で座ったり起き上がったりでき、1歳ほどで歩けるようになります。

 

 

 

平均的な時期を過ぎても、歯が生えてくる、立ったり座ったり、歩いたりすることが明らかに遅いという症状がみられます。

 

 

 

ひどい場合は、4~5歳になっても歩けないこともあります。

 

 

 

普段から活動が少なく、すぐに疲れて横になりたがり、顔面の血色が悪く、疲れ顔という特徴がみられます。

 

 

 

2.心血不足

 

 

 

髪遅、語遅には心血不足が関与し、脾胃の失調あるいは、気血虚弱により起こります。

 

 

 

知力の発達が遅く、ぼーっとしている特徴があります。

 

 

 

通常1歳で物の名前を言うことができ、1歳半で簡単な単語を話し、3歳で数字を読むことが出来るといわれていますが、それらに明らかな遅れがみられます。

 

 

 

その他に髪遅、食欲不振、舌の色褪せ、虎口三関の指紋の色が淡いといった症状がみられます。

 

 

 

次に五軟の弁証分類についてです。

 

 

 

主に2つあり、どちらも内傷に分類されます。

 

 

 

1.脾腎両虚

 

 

 

頭項軟、手足軟、口軟、肌肉軟がみられ、口唇の色が白っぽく、虎口三関の指紋の色も淡いといった特徴がみられます。

 

 

 

2.気血両虚

 

 

 

肢体全体が軟弱で、四肢関節が柔軟で、力を加えられた方向に曲がる特徴があります。

 

 

 

口を開けっ放しにして、ボーッとしており、反応が鈍い特徴があり、舌を口から出したままの状態になることもあります。

 

 

 

顔面の血色が悪くて蒼白に近く、四肢の冷えがみられます。

 

 

 

食事量は少なく、食欲も旺盛ではありません。

 

 

 

口唇は色が白く、虎口三関の指紋の色も淡いといった特徴があります。

 

 

 

「先天性の異常」についてのお話は以上です。

 

 

 

次回は「精力の減退」について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

『基礎中医学』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

 

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手足が冷える②

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は前回の続きとして、「四肢厥冷」の弁証分類の残り3つについて、お話ししていきたいと思います。

 

 

前回のお話はこちら!

手足が冷える

 

 

 

2.熱厥

 

 

 

この場合は、さらに二つに分類することができます。

 

 

①熱邪内鬱(実熱)

 

 

 

外邪が化熱して裏に入り、裏熱が盛んなために陽気が鬱閉され、四肢末端に達することができず、四肢厥冷を引き起こします。

 

 

 

これは、熱病の極期段階でみられます。

 

 

 

厥冷の程度がひどく、汗の出ない高熱を伴います。

 

 

 

顔面紅潮、心煩、口渇して水分を欲します。

 

 

 

また、胸腹部の灼熱感が強く、お通じは便秘、小水は少なくて色が濃い特徴がみられます。

 

 

 

②陽気鬱阻

 

 

 

熱邪内鬱と同様な四肢厥冷の発症メカニズムによるものであるが、これは正気(陽気)の鬱滞により、引き起こされます。

 

 

 

四肢厥冷は肘膝まで至らない特徴があります。

 

 

 

その他の症状として、胸脇苦満、ゲップ、嘔吐、下痢、腹痛、咳、動悸、小便不利がみられます。

 

 

 

3.痰厥:痰濁内阻

 

 

 

痰湿が盛んな体質で胸陽が宣発されないために四肢厥冷が起きます。

 

 

 

この場合は、風邪を引いたり、悩みや怒りによって厥冷が出現します。

 

 

 

その他の症状として、胸や脘腹が満悶し、喉でゼロゼロと痰が絡む音がします。

 

 

 

痰涎、空腹感はあるが、実際にはそれほど食べない特徴があります。

 

 

 

4.蛔厥:蛔虫擾乱

 

 

 

蛔虫が動き回ったために気が逆流して生じます。

 

 

 

蛔虫が寄生すると脾胃が虚弱となり、軽度の腹痛がみられ、

 

 

 

蛔虫が動いて脾胃を乱すと気の昇降が停滞し、陽気が四肢に達しないために四肢厥冷を生じます。

 

 

 

これは児童に多くみられるとされています。

 

 

 

四肢厥冷が重篤になると、肘膝を越えて冷えを訴えるようになります。

 

 

 

上腹部の劇痛に伴って冷えが出現し、水様物・胆汁を嘔吐したり、時に蛔虫自体を嘔吐します。

 

 

 

嘔吐の際は、顔面蒼白、全身からの冷や汗がみられ、腹痛が治まってくると厥冷も落ち着いてくる特徴を持っています。

 

 

 

四肢厥冷の弁証分類については、以上です。

 

 

 

次回は「痔」について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

『基礎中医学』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

 

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