東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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脱肛(だっこう)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「脱肛(だっこう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
脱肛(だっこう)とは、肛門が脱出することを指し、常に脱出している場合と、排便、咳、用力などで脱出する場合が存在します。
 
 
 
弁証分類は、主に次の3つです。
 
 
1.気虚下陥の脱肛
 
2.腎陽虚の脱肛
 
3.大腸湿熱の脱肛
 
 
 
まずは、気虚下陥と腎陽虚の脱肛についてです。
 
 
 
どちらも虚証の脱肛であり、関連性も強い分類です。
 
 
 
老化による衰弱、分娩過多、産後の消耗などによる元気不足、慢性の下痢、水様便などによる脾腎の消耗、慢性の咳嗽による肺気消耗、気血未熟な小児がよく泣くといった原因で、
 
 
 
肺脾の気が虚して下陥が生じたり、腎陽が虚して大腸の関門不固がひきおこされ、肛門の肌肉が弛緩して脱肛となります。
 
 
 
『類証治裁・脱肛』では、「脱肛は、元気下陥の症なり、ただ気虚して禁固することあたわず、ゆえにおよそ産後および久痢、用力多、老人病衰、幼児の気血不足、多くこれあり」と記載されています。
 
 
 
女性では、重篤になると、子宮脱も同時に生じることもあります。
 
 
 
気虚下陥の脱肛は、息切れ、元気がない、顔色が白い、口唇淡白などの気虚症候をともなう特徴を持ちます。
 
 
 
治法は、益気昇陥、固渋収脱を用います。
 
 
 
腎陽虚の脱肛は、腰膝酸軟、陽萎、夜明け前の下痢、頻尿、寒がるなどの虚寒の症候をともなう特徴をもちます。
 
 
 
治法は、益気昇提、固摂に温補腎陽を加えます。
 
 
 
最後に、大腸湿熱の脱肛についてです。
 
 
 
この場合、脂っこくて濃厚な食物や酒を嗜好することにより、脾胃湿熱が生じて肛門に下迫したり、長期間の便秘や痢疾、飲酒による熱積、酔って性交するも射精しない場合に火が大腸に乗じるといった原因により、湿熱が肛門に停滞して発生します。
 
 
 
特徴は、肛門が脱出して発赤、腫脹、疼痛、出血をともない、口渇、舌質紅、舌苔黄、脈弦数を呈することです。
 
 
 
この場合は、一般的に努力性排便をしたことで脱肛することが多いとされています。
 
 
 
治法は、清熱利湿、散火通便を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は、「唇裂(しんれつ)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
唇裂とは、口唇が乾燥して皸裂することを指します。
 
※皸…音:クン、キン、訓:あかぎれ、ひび
 
 
 
「唇焦」は口唇の乾燥であり、唇裂と病因病理が同じであるため、唇裂と合わせて述べていきたいと思います。
 
 
 
弁証分類は主に次の2つです。
 
 
 
1.脾胃実熱の唇裂
 
 
 
熱邪が裏に入ったり、辛辣なものや脂物をを多食することが主な原因となります。
 
 
 
口唇は脾の外候であり、足の陽明胃経は口を挟み口唇をめぐるため、脾胃実熱で口唇が滋養されないと発生します。
 
 
 
口唇の発赤、膨張に加えて、激しい口渇があるので水分を飲みたがります。
 
 
 
また、多食してもすぐにお腹が空いてしまい飢餓感がある、口臭、便秘といった陽明実熱の症候を伴います。
 
 
 
脈は洪大あるいは滑数あるいは沈実、舌質紅、舌苔黄厚を呈します。
 
 
 
治法は、清泄脾胃実熱を用います。
 
 
 
2.陰虚火旺の唇裂
 
 
 
急性の熱病で陰液が消耗したり、五志過極で化火したために傷陰したり、温燥の薬物を服用しすぎて傷陰し、陰虚火旺となって火炎が口を灼いて発生します。
 
 
 
特徴は、頬部紅潮、口唇の発赤、潮熱、盗汗、イライラ、不眠がみられ、舌質紅、脈細数などの陰虚内熱の症状を呈することです。
 
 
 
治法は、滋陰清熱を用います。
 
 
 
上記2つの証は、ともに熱証に属しますが、虚熱と実熱の違いがあります。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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