東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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肛門生痔(こうもんせいじ)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「肛門生痔(こうもんせいじ)」について、続きのお話していきたいと思います。
 
 
 
 
 
 
本日は、「気滞血瘀と気虚下陥の肛門生痔」について、詳しくお話していきたいと思います。
 
 
 
まずは、気滞血瘀の肛門生痔についてです。
 
 
 
長時間の坐位や立位、重量物の運搬、妊娠など子宮による圧迫、肝気鬱結などにより、肛門部の気血が瘀滞したために発生します。
 
 
 
『外科正宗』では、このことについて、「それ痔は、すなわちもとより湿熱積し、炙煿を過食し、あるいは久坐によりて血脈行らず、また七情により生冷に過傷し、もって軽きを担い重きを負い、力を竭して遠行するに及び、気血は縦横し、経絡は交錯す、ともによく痔を発すなり」と述べられています。
 
※竭(ケツ)…出し尽くす、枯れるの意。
 
 
 
特徴は、長時間座ったり、立って仕事をする人によくみられ、内痔核と外痔核が混合して腫大し、血栓を形成することがあります。
 
 
 
排便時に痔核が脱出して、出血量も多く、肛門が下墜するような激痛を伴い、内外痔核の腫大により排便困難や残便感が出ます。
 
 
 
腹満、腹痛、舌質は紫暗、脈弦などを呈することです。
 
 
 
治法は、理気活血、消腫化瘀を用います。
 
 
 
次に気虚下陥の肛門生痔についてです。
 
 
 
慢性的な出血による気血の消耗、慢性的な下痢による脾胃の損傷、房労過度による腎気の消耗、高齢者や虚弱体質の中気不足などにより気の固摂作用が低下することで発生します。
 
 
 
特徴は、徒労したり排便により痔核が脱出して、手で戻さなければならず、ときには出血がみられるということです。
 
 
 
その他にも、顔色にツヤがない、息切れ、懶言、四肢の無力感、舌質淡、脈虚などの気血両虚の症候を呈します。
 
 
 
治法は、益気養血、固摂脾腎を用います。
 
 
 
『普済方・痔漏門』に、「けだし熱なればすなわち血傷れ、血傷ればすなわち経は滞り、経滞ればすなわち気は周行せず、気と血ともに滞り、虚に乗じて大腸に墜入す、これその痔をなすゆえんなり。」と記載されている通りです。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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肛漏(こうろう)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「肛漏(こうろう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
肛漏(こうろう)は、「肛瘻」、「痔瘻」ともいい、肛門の周囲の膿ようが潰破したのちに創口が癒合しない、または反復して膿ようが生じて瘻管を形成し、膿や滲出物が漏出することを指します。
 
 
 
「漏」とは、膿ようなどが潰破したのちに瘻管が生じて、滲出物が漏出するものをいい、肛門部に生じた漏を「肛漏」といいます。
 
 
 
肛漏が膣や尿道に穿通して「肛門陰道漏」や「肛門尿道漏」を形成すると、膣や尿道から膿様の汚物が排出され、頻尿、尿意切迫、排尿痛、黄色で生臭い帯下がみられるようになります。
 
 
 
主な弁証分類は、次の3つです。
 
 
 
1.実熱の肛漏
 
 
 
風熱燥火の鬱結や濃い味、酒の嗜好により、直腸、肛門周囲に実熱が停滞し、肛漏を形成して潰破して発生します。
 
 
 
特徴は、急激に発生する肛門の腫脹、発赤、熱感、強い疼痛で、潰破も早く粘稠な膿が漏出することで、
 
 
 
発熱、悪寒、口渇、便秘、尿が濃い、舌質紅、舌苔黄、脈洪数などの症状を伴います。
 
 
 
治法は、清瀉実熱、消瘻排膿を用いますが、寒涼薬を過剰投与して、元腸を損傷しないように注意する事が大切になります。
 
 
 
2.虚熱の肛漏
 
 
 
内傷七情、労倦、房事過多などにより、肺癆が肛門に下伝して発生します。
 
 
 
特徴は、発症が緩慢で、潰破も遅く、米のとぎ汁様の薄い膿が持続し、肛門周囲の創口が陥凹しており、創口自体も難治性となりますが、疼痛は軽度です。
 
 
 
その他にも、欬嗽、咯血、盗汗、潮熱、舌質紅、舌苔少、脈細数などを呈します。
 
 
 
治法は、清虚熱、滋陰排膿を用います。
 
 
 
3.虚寒の肛漏
 
 
 
肛漏が慢性化して気血が消耗したり、寒涼剤の投与のし過ぎにより、陽気を損傷し、脾胃の陽気が衰えて陰寒が凝滞したために発生します。
 
 
 
特徴は、薄い膿あるいは便が混ざった膿が長期間持続し、周辺が石状硬あるいは綿状軟を呈し、寒がる、四肢の冷え、息切れ、倦怠無力感、舌質淡、脈虚などを伴うことです。
 
 
 
治法は、補益気血、和陰清陽を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療  下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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