東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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舌腫(ぜつしゅ)とは①

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は、「舌腫(ぜつしゅ)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
舌腫とは、舌体が腫大することをいい、木のように硬くなったり、疼痛を伴うことです。
 
 
 
腫大が甚だしいと、口を塞いで飲食が難しくなったり、発生や呼吸にも障害をきたします。
 
 
 
隋の『諸病源候論』では「舌腫強」、唐の『千金方』では「舌脹」と呼ばれ、宋以降は、舌が腫れて木のように硬いものを「木舌」、「木舌脹」、「木舌風」などと記載されています。
 
 
 
古籍には、「重舌」、「子舌」といった記載があるものの、明確な定義はされていないようです。
 
 
 
舌下が腫脹して、小さな舌のように突起するとの説が有力とされています。
 
 
 
舌下が腫脹して蓮花のように突起がいくつもあるものを特に「蓮花舌」と呼びます。
 
 
 
舌根の腫脹突起や急に発言した舌腫を重舌ということもあります。
 
 
 
弁証分類は主に4つあり、次の通りです。
 
 
1.外感風寒の舌腫
 
2.心経鬱火の舌腫
 
3.心脾熱盛のの舌腫
 
4.脾虚寒湿の舌腫
 
 
 
本日は、「外感風寒と心経鬱火の舌腫」についてお話していきたいと思います。
 
 
 
発症はともに急激である特徴をもち、特に心火暴盛は特に急激であり、「一夜の中に口一杯に舌が腫れ、数時間で言葉を発することさえ不可能になる」という記載があります。
 
 
 
外感風寒の舌腫は、風寒の邪が心脾両経に侵入し、心は舌に開竅し、脾脈は舌本に連なるので、風寒の邪が舌の血脈を滞らせて発生します。
 
 
 
弁証のポイントは、悪寒、発熱、筋肉痛、脈浮緊などの表証があり、
 
 
 
血脈凝滞による舌の腫大や暗紫色、舌体が硬くなって痛むなどの症状がみられ、舌尖部に顕著にみられることがポイントとなります。
 
 
 
その他にも、口淡無味、食欲不振、腹が冷える、腹痛、下痢、動悸、不安感、言語が滑らかでないといった症状もみられます。
 
 
 
治法は、疏散風寒を用います。
 
 
 
次に、心経鬱火の舌腫についてです。
 
 
 
この場合、重大な心配事や非常事態に直面して、思慮過多となり、突然心火が盛んになり、舌に上攻して生じます。
 
 
 
特徴は、口苦、舌体が口一杯に腫脹して灼熱感があり、舌質紅、焼針を刺すような耐え難い痛みを伴うことです。
 
 
 
その為、症状がひどいと飲食や会話が難しくなります。
 
 
 
その他にも、顔面紅潮、焦燥感があってじっとしていられない、浅眠、尿が濃く量が少ないといった症状がみられます。
 
 
 
治法は、苦寒清泄心火を用います。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は、「大便艱難(だいべんかんなん)」の続きで、「肝脾気滞と陰虚血虚の大便艱難」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
 
 
まずは肝脾気滞の大便艱難についてです。
 
 
 
情緒の不安定、鬱積した怒り、心配事などにより、肝の疏泄調達の機能が失調し、肝脾の気が鬱滞して昇降が失調して、大腸の伝導が障害されて生じます。
 
 
 
 
特徴は、便意が促迫して排便したいが出ない、脇肋部の脹痛、曖気、悪心などの昇降失調による症状が顕著となることです。
 
 
 
 
治法は、順気導滞、降気通便です。
 
 
 
一見、大腸熱結のようでもありますが、その場合、腹満、腹痛、圧痛、口渇、舌苔黄膩などの症候がみられる為、鑑別することが出来ます。
 
 
 
次に、陰虚血虚の大便艱難についてです。
 
 
 
熱病による傷陰、慢性疾患による消耗、産後の失血過多、発汗や利小便の誤治、虚弱者、高齢者などで、陰血が虚し、腸管を潤養できず発生します。
 
 
 
特徴は、頭のふらつき、耳鳴、口や咽の乾燥、動悸、不眠などの陰血不足の症候をともなうことです。
 
 
 
治法は、血虚がキツい場合は養血・潤腸通便、陰虚がキツければ養陰生津・通便を施します。
 
 
 
張景岳が「ただその水を壮んにすれば、涇胃は必ず通ず」と述べている通りと言えます。
 
 
 
脾肺気虚、脾腎陽虚の大便艱難は、筋肉が弛緩して伝送力がなくなったために生じるものであり、疲労倦怠感、息切れ、自汗、四肢の冷え、寒冷を嫌うなどの症状を伴う為、随伴症状を確認して鑑別していきます。
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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