東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きで「心気陰両虚の胸痛」、「肺癰の胸痛」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
まずは、心気陰両虚の胸痛についてです。
 
 
 
胸痛は、持続性で増減する鈍痛といった特徴を持ち、運動をすると症状が増悪します。
 
 
 
心気虚と同じく虚証であり、多夢、不眠、胸痛、動悸、息切れまたは呼吸促迫、自汗などの気虚の症候をともないます。
 
 
 
ただ、気陰両虚となると、心気と心陰がともに虚している為、気虚の症候に加えて、身熱、口乾、尿が濃い、舌質紅で乾燥、少苔、脈細数で無力といった陰虚の症候を呈します。
 
 
 
治法は、益気養陰を用います。
 
 
 
次に、肺癰の胸痛についてです。
 
 
 
熱毒の邪が肺に停滞して肉を腐乱し、肺癰(肺化膿症)を形成することで発生します。
 
 
 
この場合、胸痛とともに腥臭のある粘調な痰や膿血性の痰を喀出し、胸中の熱感、口乾、咽渇、舌質紅、脈滑数などの熱毒の症候を呈することが特徴となります。
 
 
 
治法は、清熱解毒・排膿を用います。
 
 
 
慢性化すると熱が陰を消耗する為、陰虚をともない、盗汗、潮熱、五心煩熱を呈する場合は、滋陰も治療方針に加えていきます。
 
 
 
熱傷血絡で喀血が多い場合は、血を失うことによる消耗を防ぐ為、止血を考慮した配穴を選択していきます。
 
 
 
以上のように、胸痛は虚証、実証、虚実挟雑とパターンが分かれます。
 
 
 
虚証は、心気虚、心陽虚、心気陰両虚によるもであり、心血瘀阻や痰濁は本虚標実です。
 
 
 
肺癰は実証ですが、慢性化すると虚実挟雑となります。
 
 
 
打撲、挫傷などによる瘀血の胸痛は実証であり、治法は活血化瘀を用いて処置を行います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きで「痰濁の胸痛」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
心血瘀阻と同じく、正虚邪実であり、正虚は心気あるいは胸陽の不振であり、邪実は痰濁あるいは瘀血による脈絡の閉塞によるものです。
 
 
 
『素問・痺論』に「心痺は、脈通ぜず」とあるように、脈絡が上記の理由で通じないために胸痛が生じます。
 
 
 
痰濁の胸痛では、胸痛に加えて、咳嗽、息切れまたは呼吸促迫、多痰、舌苔白潤、脈滑などの湿痰の症候がみられることが特徴です。
 
 
 
症状が重篤になると、疼痛が背部に放散して起坐呼吸がみれます。
 
 
 
治法は、化痰通陽を用います。
 
 
 
心血瘀阻では、固定性の刺すような胸痛がみられ、舌質紫、脈渋などの血瘀の症候がみられるため、鑑別のポイントとなります。
 
 
 
ただ、臨床的には痰濁と血瘀は同時に発生しやすく、「痰瘀」の胸痛もあるため、
 
 
 
その場合は、『柳選四家医案』に記載があるように、それぞれのウエイトをはっきりさせつつ、化痰・活血化瘀により心胃を同治します。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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