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こんばんは!樫部です。
本日は「胸悶(きょうもん)」について、お話していきたいと思います。
胸悶とは、胸が詰まったようで脹って苦しい感覚を指し、「胸痞」、「胸満」、「胸中痞満」ともいわれ、「胸内苦悶」に相当します。
「胸悶」、「胸満」は症状そのものを指します。
「胸痞」は『丹渓心法』に「痞は否と同じく、通泰せず」と記載があるように、病因病理を述べた名称です。
胸中を痞塞する原因は非常に多いため、胸悶は様々な病証であらわれます。
臨時的には、胸悶には「胸脹(脹った感じ)」や「胸痛」をともなうことがあるため、「胸脹悶」、「胸悶痛」とも呼ばれます。
胸悶、胸脹、胸痛の原因、病因病理は大体が似通っており、同一の病証の異なった段階で同時に出現することもあります。
三者を比較すると、重篤度は下記の通りです。
胸悶 < 胸脹 < 胸痛
古典では、胸と胃脘部(上腹部)を「心」と呼称しているため、「胸痞」と「心下痞(上腹部の痞え)」を混同されることが多いですが、両者は区別する必要があります。
胸悶、胸脹、胸痞に関してですが、胸悶、胸痞は痛みを伴わず、胸脹には疼痛が伴うことが多いとされています。
弁証分類は、主に次の通りです。
1.肺気壅滞の胸悶
①外感風寒の肺気壅滞
②熱邪壅肺の肺気壅滞
③肺癰の肺気壅滞
2.心血瘀阻の胸悶
3.肝気鬱滞の胸悶
以上の通りです。
胸悶は実証が臨床的には多いとされており、実証は気滞、熱邪、血瘀などによって胸膈が内阻されることによって生じます。
胸部は心肺の居所であるため、胸悶(胸痞)は、心、肺の病証が多いですが、心下痞は胃の病証が多く、症状も異なるため、弁別が可能となります。
つづく
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
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