東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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腹瀉(ふくしゃ)とは④

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

本日は前回の続きで「脾虚と腎虚による腹瀉」について、お話していきたいと思います。

 

 

前回までのお話はこちら!

 

 

『景岳全書・泄瀉』に「久瀉は火なく、多くは脾腎の虚寒によるなり」と述べられているように、いずれも虚寒による腹瀉ですが、臓腑の違いにより、病因病理や随伴症状が異なります。

 

 

まずは脾虚の腹瀉についてです。

 

 

脾は運化を主り、清気を昇らせて精微を輸布するため、脾虚体質、寒湿邪の直中による脾陽の阻滞などにより運化が失調すると、清陽は昇らず濁陰は降りなくり、津液と糟粕がともに大腸に下り、腹瀉を発生させます。

 

 

上記の内容は、『素問・臓気法時論』に「脾病めば、…虚すればすなわち腹満、腸鳴、飧泄し、食化さず」と述べられています。

※飧泄(そんせつ)…不消化便、腹鳴を伴う下痢。

 

 

特徴は、水様便や不消化便、鴨糞のような便がみられ、腹痛があるが、温めたり押さえると軽減します。

 

 

逆に生もの、冷たいものを食べると、水様便が増悪します。

 

 

治法は、健脾利湿を用います。

 

 

次に腎虚の腹瀉についてです。

 

 

腎陽、つまり命門の火が衰えて蒸化することができないために引き起こされ、「五更泄瀉」「五更瀉」「晨泄(しんせつ)」とも呼ばれます。

※晨(シン)…朝、夜明けを意味する。

 

 

特徴は、早朝に臍周囲が痛み、腹鳴して水様便や不消化便を排出すると楽になります。

 

 

また、腰膝酸軟、尿量多くて色が薄い、夜間尿がみられるといった腎陽虚の症候を伴います。

 

 

『景岳全書・泄瀉』に「今腎中に陽気不足すればすなわち命門の火衰えて、陰寒は独り盛んなり、ゆえに子丑五更の後、いまだ復せず、陰気盛極の時にあたり、すなわち人をして洞泄とまざらしむ」と述べられている通りです。

 

 

治法は、温腎健腎・止瀉を用います。

 

 

脾虚と腎虚は密接な関係にあり、脾虚の泄瀉が長期間続くと腎に波及して、脾腎陽虚となります。

 

 

この場合、食べると腹鳴し、腹痛して水様便を排出します。

 

 

食べなければ問題なく、食後に必ず瀉下するため、俗に「禄食瀉」、「漏食瀉」と呼ばれています。

 

 

腹瀉が長期間続いて脾腎陽虚となり、真火が水穀を腐熟できなくなることで発生します。

 

 

治法は、温腎健脾を用います。

 

 

 

【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店

『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「腹瀉」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
腹瀉は、「泄瀉」とも言われ、泥状または水様の便で、排便時に裏急後重が無い、小腸性の下痢に相当するものをいいます。
 
 
 
腹瀉と痢疾は異なり、『類証治裁・泄瀉門』には「泄は水穀を分かたざるにより、病中焦にあり、痢は血脂傷敗するをもって、病は下焦にあり、中焦にあるは脾胃の湿を分離し、下焦にある肝腎の傷を調理す」と述べられています。
 
 
 
膿血便で裏急するのを、古くは「滞下(痢疾)」と称されています。
 
 
 
弁償分類型は主に7つあり、次の通りです。
 
 
 
1.湿熱の腹瀉
 
2.寒湿の腹瀉
 
3.食積の腹瀉
 
4.肝脾不和の腹瀉
 
5.熱結傍流の腹瀉
 
6.脾虚の腹瀉
 
7.腎虚の腹瀉
 
 
 
以上です。
 
 
 
本日は、「湿熱と寒湿の腹瀉」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
どちらも湿邪が関与していることが共通していますが、寒熱の違いがあります。
 
 
 
湿熱は陽明を、寒湿は太陰を傷害することが多いとされています。
 
 
 
湿熱の腹瀉は、湿熱の邪が胃腸を傷害して、昇降と伝導機能が失調し、清濁を分けられないために発生します。
 
 
 
この場合、黄褐色の水様便が出て、臭いはキツく、肛門の灼熱感、腹鳴して痛む、腹が痛むとすぐに排便があるが排便後もスッキリしない、口渇があるが飲みたくない、舌苔が黄膩苔がみられます。
 
 
 
また、湿邪は陰邪で性質が粘膩であるところから、上腹部がつかえて苦しい、身体が重だるい、食欲不振を呈します。
 
 
 
治法は、清熱化湿を用います。
 
 
 
寒湿の腹瀉は、寒湿邪により脾胃の昇降と運化が失調して、飲食物が消化されないために発生します。
 
 
 
この場合、腹鳴とともに水様便が生じるものの、臭いはキツくない特徴があります。
 
 
 
また、腹部を温めると腹痛が軽減し、腹部の膨満感があり、口渇は無し、白膩苔といった寒湿の症候がみられます。
 
 
 
治法は、温中散寒を用います。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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