東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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肛周瘡毒(こうしゅうそうどく)

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「肛周瘡毒(こうしゅうそうどく)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
肛周瘡毒(こうしゅうそうどく)とは、肛門周囲の癰や潰瘍を指し、潰破したあとに瘡口は閉じにくく、瘻管を形成したり、再発しやすい特徴を持ちます。
 
 
 
弁証分類は主に2つあります。
 
 
 
1.湿熱下注の肛周瘡毒
 
 
2.肺脾腎虚の肛周瘡毒
 
 
 
いずれも湿熱が下注したために発生するが、肛門は足の太陽膀胱経に属し、湿熱は膀胱経に結聚しやすいため、肛門周囲に病変が生じやすくなります。
 
 
 
湿熱下注の肛周瘡毒は、酒や脂物、味の濃い飲食物の嗜好によって湿熱が生じ、湿熱が経絡を阻滞して瘀血が凝滞することで生じたり、内痔、裂肛にともなって発生します。
 
 
 
これは実熱に属します。
 
 
 
特徴は、患部が限局的に隆起して、発熱、疼痛、灼熱感があり、5〜7日で化膿して、潰れ
破すると粘稠な黄緑色の悪臭のある膿が排出される特徴を持ちます
 
 
 
また、瘡口は隆起して、内部は充実しており、悪寒、発熱、便秘、尿が濃くて少ないなどの実熱の症候がみられます。
 
 
 
舌苔は黄膩、脈は滑弦数を呈します。
 
 
 
治法は、清熱利湿、涼血解毒を用います。
 
 
 
次に、肺脾腎虚の肛周瘡毒についてです。
 
 
 
この場合は、肺脾腎の虚に乗じて湿熱が侵入下注し、経絡を阻滞して瘀血が凝滞したことで生じたり、麻疹、急性熱病と併発したりします。
 
 
 
この場合は、虚熱に属します。
 
 
 
特徴は、患部が皮膚面よりも隆起せず、皮膚色は暗赤色または正常で、熱感もなく、疼痛も軽度という特徴をもちます。
 
 
 
また、化膿するまでも期間が長く、10〜20日で化膿し、潰破すると淡白色で希薄な無臭の膿汁が排出し、瘡口は陥凹して内部は空虚であり、発熱はみられません。
 
 
 
舌苔は薄膩、脈弦細あるいは濡緩を呈します。
 
 
 
肺陰虚では、咳嗽、喀血、潮熱、盗汗がみられ、脾虚では、食欲不振、元気がない、泥状〜水様便がみられ、腎虚では腰痛、耳鳴、不眠が顕著となります。
 
 
 
治法は、滋陰利湿、清虚熱を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「肛周生癰(こうしゅうせいよう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
肛周生癰(こうしゅうせいよう)は、「肛癰」とも呼ばれ、肛門から直腸の周囲組織に膿瘍を形成し、潰破した後に瘻管が生じるものを指します。
 
 
 
癰は、毒気の壅結によって形成され、身体のどの部位でもみられるものですが、今回は肛門、直腸周囲に形成された癰腫について述べていきたいと思います。
 
 
 
弁証分類は主に3つあり、次の通りです。
 
 
 
1.実熱の肛周生癰
 
 
 
風火湿熱の毒気を感受したり、酒や油物、味の濃い食物の嗜好によって、熱邪が肛門直腸周囲に停滞することで生じます。
 
 
 
特徴は、発病が急速で腫脹、熱感、疼痛が強く、化膿するまでが早くて消散するまでが速やかという特徴をもちます
 
 
 
また、膿汁は、粘稠で黄緑色であり、その他にも便秘、尿が濃くて少ない、発熱、悪寒、口渇して水分を欲する、舌質紅、舌苔黄、脈滑数あるいは洪大などの実熱の症候がみられることが特徴です。
 
 
 
治法は、清瀉実熱を基本として、膿が形成されていない初期段階では宣散を主体とします。
 
 
 
化膿した後は、托裏透裏を用いて熱毒を膿血とともに外泄させて心への上攻を防ぎます。
 
 
 
圧してみて波動を触れるような膿瘍形成が明らかな場合は、医療機関にて切開して排膿することが適用となることもあります。
 
 
 
2.虚熱の肛周生癰
 
 
 
肺癆が慢性的に経過して肛門直腸周辺に下伝するか、房労過度による肝腎陰虚や精神的ストレスによる心脾両虚などにより、熱毒が虚に乗じて肛門周囲に結聚することで起きます。
 
 
 
特徴は、発病が緩慢で、経過は長期に渡ること、腫脹、発赤、熱感、疼痛は軽度で、化膿するまでが遅いことが特徴です。
 
 
 
また、膿汁は希薄な粥状白色で、潮熱、盗汗、咳嗽、喀血、羸痩、頬部紅潮、脈細数で無力といった所見を伴うことが特徴となります。
 
 
 
治法は、清虚熱、散毒気、固肺腎を用います。
 
 
 
膿が形成されていないときは、托裏透膿を用い、化膿すれば切開して排膿しつつ、滋陰清熱を用います。
 
 
 
3.寒凝の肛周生癰
 
 
 
憂思による脾の損傷や房労過度による腎の消耗で陽虚となり、陰寒毒邪が肛門周囲に凝滞して発生します。
 
 
 
特徴は、数ヶ月から数年単位で経過し、腫脹、発赤、熱感は見られず、石状硬を呈して、汚水のような膿汁がみられることです。
 
 
 
その他にも、寒がる、四肢の冷え、倦怠感、息切れ、脈沈緊などの虚寒の症候がみられることです。
 
 
 
治法は、補陽散寒を用います。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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