東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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背冷(はいれい)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「背冷(はいれい)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
背冷とは、背部の冷感を指します。
 
 
 
背冷は、表証でも裏証でもみられます。
 
 
 
五臓六腑の兪穴はすべて背部にあり、臓腑の気血はすべて兪穴に注入し、陽経は背部をめぐるため、経絡、臓腑はすべて背部に連絡しています。
 
 
 
その為、外感風寒と臓腑の陽気の衰えと関係が深いといえます。
 
 
 
『丹渓心法・痰』には、「背心の一片常に氷冷なすは、……みな痰飲の致すところなり。よく痰を治す者は、痰を治さずして気を治し、気順(めぐ)ればすなわち一身の津液はまた随いて順る。」と記載があり、治療の参考となります。
 
 
 
弁証分類は主に3つあります。
 
 
 
1.外感風寒の背冷
 
2.陽虚寒盛の背冷
 
3.痰飲内伏の背冷
 
 
 
まずは、外感風寒と陽虚寒盛の背冷についてです。
 
 
 
いずれも寒証ですが、外寒表証と内寒裏証の違いがあります。
 
 
 
外感風寒の背冷は、外感の初期にみられ、風寒が肌表に侵入して外束したために発生します。
 
 
 
特徴は、背部の悪寒のほかに発熱、頭痛、脈浮などの表証がみられることです。
 
 
 
治法は、解表、祛風散寒を用います。
 
 
 
次に陽虚寒盛の背冷についてです。
 
 
 
これは、虚弱者で陽気が衰えたことで内寒が生じたことによって起きます。
 
 
 
特徴は、背部が冷えており、暖めると心地よく、痛みも軽減する特徴をもちます。
 
 
 
また、四肢の冷え、尿量が多い、泥状〜水様便、舌苔白膩、脈沈遅などの陽虚陰盛の症状がみられることです。
 
 
 
治法は、温経助陽、散寒化湿を用います。
 
 
 
次に、痰飲内伏の背冷についてです。
 
 
 
陽虚寒盛と同じく陽虚の裏証ですが、痰飲が病因である点が異なります。
 
 
 
痰飲内伏の背冷は、慢性病による体力消耗や高齢化による衰弱で脾腎陽虚となり、脾陽が虚して運化が低下すると痰飲が貯留し、痰飲が陽気の散布を障害して生じます。
 
 
 
心兪は、背部にあるため、留飲により陽気の輸送が障害されると、背中の一部が冷えて痛みます。
 
 
 
弁証の要点は、『金匱要略』に「それ心下に留飲あれば、その人背寒なること掌大のごとし」とあるように、背中に氷をあてられたように悪寒し、さらに脾腎陽虚の症候を伴うことです。
 
 
 
治法は、健脾除湿を用います。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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肛門生痔(こうもんせいじ)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「肛門生痔(こうもんせいじ)」について、続きのお話していきたいと思います。
 
 
 
 
 
 
本日は、「気滞血瘀と気虚下陥の肛門生痔」について、詳しくお話していきたいと思います。
 
 
 
まずは、気滞血瘀の肛門生痔についてです。
 
 
 
長時間の坐位や立位、重量物の運搬、妊娠など子宮による圧迫、肝気鬱結などにより、肛門部の気血が瘀滞したために発生します。
 
 
 
『外科正宗』では、このことについて、「それ痔は、すなわちもとより湿熱積し、炙煿を過食し、あるいは久坐によりて血脈行らず、また七情により生冷に過傷し、もって軽きを担い重きを負い、力を竭して遠行するに及び、気血は縦横し、経絡は交錯す、ともによく痔を発すなり」と述べられています。
 
※竭(ケツ)…出し尽くす、枯れるの意。
 
 
 
特徴は、長時間座ったり、立って仕事をする人によくみられ、内痔核と外痔核が混合して腫大し、血栓を形成することがあります。
 
 
 
排便時に痔核が脱出して、出血量も多く、肛門が下墜するような激痛を伴い、内外痔核の腫大により排便困難や残便感が出ます。
 
 
 
腹満、腹痛、舌質は紫暗、脈弦などを呈することです。
 
 
 
治法は、理気活血、消腫化瘀を用います。
 
 
 
次に気虚下陥の肛門生痔についてです。
 
 
 
慢性的な出血による気血の消耗、慢性的な下痢による脾胃の損傷、房労過度による腎気の消耗、高齢者や虚弱体質の中気不足などにより気の固摂作用が低下することで発生します。
 
 
 
特徴は、徒労したり排便により痔核が脱出して、手で戻さなければならず、ときには出血がみられるということです。
 
 
 
その他にも、顔色にツヤがない、息切れ、懶言、四肢の無力感、舌質淡、脈虚などの気血両虚の症候を呈します。
 
 
 
治法は、益気養血、固摂脾腎を用います。
 
 
 
『普済方・痔漏門』に、「けだし熱なればすなわち血傷れ、血傷ればすなわち経は滞り、経滞ればすなわち気は周行せず、気と血ともに滞り、虚に乗じて大腸に墜入す、これその痔をなすゆえんなり。」と記載されている通りです。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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