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咳嗽(がいそう)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きで、「咳嗽(がいそう)」の弁証分類について、お話していきたいと思います。
 
 
 
弁証分類は、なかなか多く、主なものだけでも12項目あり、次の通りです。
 
 
 
1.風寒束表(表寒)の咳嗽
 
2.風熱襲肺(表熱)の咳嗽
 
3.燥邪傷肺の咳嗽
 
4.暑湿の咳嗽
 
5.肺熱の咳嗽
 
6.肺燥の咳嗽
 
7.痰湿の咳嗽
 
8.脾虚の咳嗽
 
9.肺気虚の咳嗽
 
10.肺陰虚の咳嗽
 
11.腎陽虚の咳嗽
 
12.肝火犯肺の咳嗽
 
 
 
以上のとおり、ずらりとあります。
 
 
 
本日は「風寒束表と風熱襲肺の咳嗽」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
それぞれ外邪を感受することによって発生し、表裏だと表証に属します。
 
 
 
違いとしては、寒熱です。
 
 
 
まずは、風寒束表の咳嗽についてです。
 
 
 
風寒の邪が肌表を束縛し肺を犯し、肺気の宣発が阻害されることで発生します。
 
 
 
この場合、肺気が停滞して津液が散布されないため、痰は希薄で白色のものがみられ、風寒の邪が腠理を閉塞するため、頭痛、発熱、悪風寒を呈することです。
 
 
 
その他にも、鼻閉、鼻汁、喉が痒い、声が濁る、関節痛、舌苔薄白、脈は浮緊あるいは浮緩がみられます。
 
 
 
治法は、疏風散寒、宣肺止咳を用います。
 
 
 
次に、風熱襲肺の咳嗽についてです。
 
 
 
風熱の邪が肺を犯し、肺を粛降出来なくなって発生します。
 
 
 
この場合、熱邪が津液を消耗するため、咳をしてすっきりしない、粘稠な黄色または黄白色の痰、口乾、咽痛を呈します。
 
 
 
その他にも、風熱が頭部の気血を逆乱させるため頭痛がみられ、邪正闘争によって発熱し、邪気が衛気を失調させることで軽度の悪風がして、風熱の邪が昇発、疏泄して腠理を開泄するので自汗がみられます。
 
 
 
舌苔は薄黄、脈は浮数を呈することが多いです。
 
 
 
治法は、疏風清熱、宣肺止咳を用います。
 
 
 
この他に、風寒束表の咳嗽では、表証がありつつも裏熱も盛んな「表寒裏熱」の「寒包火」の症候を呈することがある為、注意が必要です。
 
 
 
この場合、咳嗽、呼吸促迫、口苦、口乾、黄色い痰、重篤になると咳の際に胸痛と暗紅の痰の喀出、咳よりも呼吸困難が強いなどの症状がみられます。
 
 
 
治法は、解表清熱を用います。
 
 
 
このように表邪が裏に入って化熱すると、肺熱の咳嗽に変化します。
 
 
 
『症因脈治・咳嗽』では、脈によって風寒(傷寒)の咳嗽が化熱したかどうかを区別していて、
 
 
 
「傷寒咳嗽の脈、もし浮緊を見れば、裏いまだ鬱ねつせず。もし浮洪を見れば、肺すでに鬱熱す。緊にして数帯びるは、寒をもって熱を包む」と述べられおり、「傷寒=浮緊」とは限らないことが分かります。
 
 
 
風熱襲肺の咳嗽も、表証の有無に関わらず、肺熱に変化することが多いとされており、病の経過について留意しておくことが大切です。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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咳嗽(がいそう)とは①

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「咳嗽(がいそう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
咳嗽は「咳」とも呼ばれます。
 
 
 
『素問・咳論』では、咳嗽について専門的に論じられており、「五臓六腑はみな人をして咳せしめ、独り肺のみにあらざるなり」と述べられていて、「咳=肺のみによる症状」ではありませんよ!ということが強調されています。
 
 
 
咳嗽は、「上気(じょうき)」と併せて呼ばれることが多く、『素問・五臓生成篇』では、「咳嗽上気」、『金匱要略』では「咳嗽上気」あるいは「痰飲咳嗽」と記載があります。
 
 
 
『金匱要略』、『漢代武威医簡』には、「咳逆」、「咳逆上気」と記載されています。
 
 
 
漢代以前には「咳」、「嗽」、「咳逆」は同義であり、咳嗽と「上気」「痰飲」の関係が密接であることが、併称されることが多い理由のようです。
 
 
 
『諸病源候論』では、「咳嗽」「上気」「痰飲」を区別し、専門的に節を立てて記載されています。
 
 
 
『諸病源候論・風十五論』に「咳嗽は、肺は寒を感じ、微なるものすなわち咳嗽をなすなり」と述べられており、湿熱邪を感受したものについては『時気咳嗽候』『温病咳嗽候』にて、内傷によるものは『虚労咳嗽論』にて論じられています。
 
 
 
『素問病機気宣保命集』には、「咳は無痰にして声あるを謂い、肺気傷れて清ならざるなり。嗽はこれ声なくして痰あり、脾湿動きて痰をなすなり。咳嗽は痰ありて声あるを謂い、けだし肺気を傷るにより、脾湿を動かし、咳して嗽をなすなり」と記載がありますが、臨床的には咳嗽を統称として扱われることが多いです。
 
 
 
咳嗽は肺の痰証とされ、痰飲咳嗽は肺脾の病証が、咳嗽上気は肺腎の病証が比較的多いとされ、肺のみが病むことは臨床的には多くない為、四診により弁別していきます。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 
 

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