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痰が出る

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は「痰が出る」ことについて、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

痰が出るということは、相当な量の津液が停滞して、有形の邪気(湿痰)を形成するに至っているとみることができます。

 

 

 

気滞や外邪の侵襲、脾腎の弱り、湿困脾土などによって津液が停滞すると、それらが凝集して痰を形成します。

 

 

 

この形成の過程に、熱が絡むことが多いです。

 

 

 

また、咳とともに痰が出る病証を咳痰といいます。

 

 

 

痰の特徴から弁別できまして、

 

 

 

痰が稀薄で量が多ければ、寒証や湿証

 

 

 

粘調で少量であれば、熱証や燥証

 

 

 

痰が黄色くて粘調だと熱証であることがわかります。

 

 

 

咳痰の弁証分類は、主に6つありまして、まずは外感による咳痰の分類についてお話ししていきます。

 

 

 

1.風邪犯肺(風寒・風熱)

 

 

 

風寒邪や風熱邪が肺を侵襲し、肺気の宣散が阻害され、水湿が貯留して痰が生じます。

 

 

 

希薄で少量または、やや粘調な痰に加えて、咳嗽、悪寒発熱など風寒表証、風熱表証の所見をともないます。

 

 

 

2.肺寒

 

 

 

体質素因が陽虚陰盛で、冷えや冷たいものの飲酒などによって水飲を生じ、寒飲が停滞しているところへ風寒邪を感受することにより生じます。

 

 

 

白色で希薄な痰がみられ、寒がる、四肢の冷え、悪寒が強く発熱が軽い、

 

 

 

その他にも咳嗽、胸痛、呼吸促進といった症状がみられます。

 

 

 

次に外感または内傷による咳痰の弁証分類についてです。

 

 

 

3.陰虚肺燥

 

 

 

湿熱邪を感受して肺の津液が消耗したり、慢性の咳嗽で肺陰が消耗し、肺の清粛の機能が失調して肺気が上逆することにより生じます。

 

 

 

少量で粘調かつ喀出しづらい痰がみられ、痰に血が混ざったりします。

 

 

 

燥邪あるいは肺陰虚の症状も伴います。

 

 

 

4.肺熱

 

 

 

湿熱邪を感受したり、脂物、甘味の過食で痰を生じて鬱し、化熱することによって生じます。

 

 

 

黄色い粘調で、塊や血液が混じった痰がみられ、

 

 

 

その他にも発熱、咳嗽、胸痛、呼吸促進、鼻翼呼吸をともないます。

 

 

 

5.湿熱蘊肺

 

 

 

湿熱邪を感受したり、熱痰の体質持ちであったり、飲酒、辛い刺激物の嗜好により湿熱が蘊結し、肺を上蒸するために生じます。

 

 

 

膿血性の痰や腥い臭いの痰が出ます。

 

 

 

その他にも咳嗽、高熱、潮熱、身体が動かしづらい、重篤になると起座呼吸がみられます。

 

 

 

最後に内傷による咳痰の弁証分類についてです。

 

 

 

6.湿邪犯肺

 

 

 

脾虚で水湿が運化不足となり、湿痰を生じ、肺を襲うために生じます。

 

 

 

白色で多量の喀出しやすい痰がみられ、咳嗽、四肢がだるい、眩暈、すぐに横になりたがる、顔の浮腫がみられます。

 

 

 

「痰が出る」ことについてのお話は以上です。

 

 

 

次回は、胸が苦しいといった症状の「胸悶:きょうもん」についてお話ししていきたいと思います。

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

『基礎中医学』

神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

 

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溢血⑨

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こんばんは。齋藤です。

 

 

 

前回の続きです。

 

 

 

前回の話はコチラ

 

 

 

実火は、外感を感受したものや、裏熱の勢いが激しくなったもの、湿熱が蓄積したもの、情志が鬱し、肝鬱から火に変化したものなどがあります。

 

 

 

虚火は、肺、肝、腎、胃などの臓腑の陰精が不足したために、陽気がエネルギー源を失い、陽気が高ぶり熱を生じ、その熱が火熱になったものを指します。

 

 

 

そして、気虚となり、血を統率することができなくなり起きた出血で、病状が重いものには陽気虚寒という、病理変化が現れます。

 

 

 

どの臓腑経絡に発生するかにより、喀血や吐血、下血、歯肉からの出血、血尿、皮膚からの出血など、それぞれ異なった症状が現れます。

 

 

 

一般的に実熱による出血の場合、発熱、口苦、口喝、便秘、舌紅、苔黄、脈滑数などの症状を伴う事が多いです。

 

 

 

虚熱による出血の場合、口と咽の乾燥、午後の潮熱、五心煩熱、盗汗、舌紅、少苔あるいは無苔、脈細数を伴います。

 

 

 

気虚による出血の場合、眩暈、目のかすみ、動悸、小食、顔色が萎黄色か蒼白、舌淡、脈細弱などの症状を伴います。

 

 

 

一般的には、実熱による出血が発生し、出血を繰り返すうちに、精血が欠損し、気が血と共に失われ、陰虚火旺や気虚不摂になるといった経過を辿るケースが多い様です。

 

 

 

その為、陰虚火旺は出血によってもたらされると同時に、二次的な出血を引き起こす原因であるとも言えます。

 

 

 

また、気の損傷が、陽にも波及し、正気だけでなく陽気が欠虚して気虚陽弱になり、血液を統率して固守することができなくなれば、虚寒性の血証が起きることもあります。

 

 

 

出血=熱=実という風にとらえてしまうと、もし患者さんが虚証であった場合、悪化させてしまう可能性があります。

 

 

 

出血に至るまでには、色々なケースがあるため、問診等で経過をしっかりと確認したうえで、虚実や病邪、影響を受けている臓腑や経絡をしっかりと断定していく必要があります。

 

 

 

出血に関して、これで終了となります。

 

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

 

 

参考文献

『中医学ってなんだろう』著:小金井信弘 (東洋学術出版)

『基礎中医学』 編著:神戸中医学研究会 (燎原)

『鍼灸 臨床能力 北辰会方式 理論編』 監修:藤本蓮風 編著:一般社団法人 北辰会 学術部 (緑書房)

『中医弁証学』著:兵頭明、 柯雪帆 (東洋学術出版)

『中医病因病機学』 主編:宋 鷺冰 訳:柴﨑 瑛子 (東洋学術出版社)

 

 

 

 

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