東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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手足が思うように動かない②

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

本日は前回の続きで、痿証の証候分類についてお話ししていきます。

 

 

 

前回のお話しはこちら!

手足が思うように動かない

 

 

 

まずは病因が外感の場合の痿証についてです。

 

 

 

1.湿熱壅滞

 

 

 

外邪としての湿熱邪を感受し、経絡に伝わり、筋を傷ることで、気血が肌肉筋骨を濡養できず発症します。

 

 

 

この場合、外感発熱期あるいは発熱後に四肢が軟弱無力となります。

 

 

 

重篤になると物を持ったり、足を地につけて体重を支えることが難しくなります。

 

 

 

徐々に肌肉が痩せ細り、皮膚まで乾燥して艶がなくなってきます。

 

 

下肢に浮腫がみられることがあり、手足の感覚麻痺、微熱が続き、悪熱となります。

 

 

また、全身重だるく、顔面が黄色くなり、食欲不振、脘腹満悶、小便の色が濃くてスムーズに出ないといった症状がみられます。

 

 

 

次に病因が内傷の場合の痿証についてです。

 

 

 

1.肺熱傷津

 

 

 

温熱邪の感受、燥邪が肺を傷る、邪熱が肺を犯す、病後の邪熱を清熱しきれない等など…

 

 

肺の宣発粛降、水道通調失調により津液が筋を濡養できないと痿証の中でも、皮痿・肺痿を発症します。

 

 

 

両足の筋肉が軟らかくなってきて、力が入らなくなり、徐々に肉自体も痩せてきてしまいます。

 

 

 

津液不足により、皮膚が乾燥して艶がなくなり、空咳が多く、咽喉の痛みと乾燥、違和感の訴えがみられます。

 

 

 

その他に心煩、口渇、小便短赤、排尿時の灼熱感がみられます。

 

 

 

2.脾胃気虚

 

 

 

脂物や甘味の過食、飲酒過多など飲食不節により、脾の機能失調が起き、脾が主る肌肉を濡養出来なくなることで痿証となります。

 

 

 

普段から全身倦怠感、食欲不振、大便の異常(便秘、軟便、下痢など)がみられます。

 

 

 

下肢の筋肉は弱って痩せてくる為、力が入らず、重篤になると下肢の肌肉自体が萎縮してきてしまいます。

 

 

 

3.肝腎両虚(肝腎陰虚)

 

 

 

腎精がおおいに虚損すると、肝血も不足してしまいます。

 

 

 

すると、肌肉、筋骨を濡養出来ず、痿証のなかでも脈痿・骨痿・筋痿となります。

 

 

 

大腿部や下腿部の筋肉、肌肉が徐々に痩せ細ることで下肢に力がはいらなくなり、長く立っていることが難しくなります。

 

 

 

重篤になると、足がまったく踏み出せなくなります。

 

 

 

その他に、遺尿、遺精、早泄、腰の酸痛、脊柱に柔軟性がない、咽の乾燥、目眩、夜間発熱がみられます。

 

 

 

4.瘀血阻絡

 

 

 

産後の悪露が出きらないために腰膝の経絡の流れが阻害されるか、

 

 

 

外傷打撲によって血の流れが阻害され、四肢が気血の濡養を受けられなくなることで痿証を発症します。

 

 

 

四肢が萎えて力が入らない、手足の痺れ、感覚麻痺、四肢に細絡や静脈瘤が出てきます。

 

 

 

また、四肢に固定性の刺痛がみられることが多いということが特徴です。

 

 

 

痿証についてのお話は以上です。

 

 

 

次回は「八綱陰陽」について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『症状による中医診断と治療 下』

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『基礎中医学』

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卒中風と後遺症⑤

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

 

前回は、卒中風のなかでも中臓腑について、お話ししました。

 

 

 

前回までのお話はこちら!

卒中風と後遺症

卒中風と後遺症②

卒中風と後遺症③

卒中風と後遺症④

 

 

 

本日は、中臓腑を2つに分類した場合のお話しをしていきたいと思います。

 

 

 

1.閉証

 

 

 

閉証・中風閉証は、実証に属す、急いで祛邪しなければならない危急重症とされています。

 

 

 

これはさらに次の通りに2分類できます。

 

 

 

共通症状としては、突然昏倒し、人事不省、牙関緊急、両手を硬く握りしめる、大小便が出ない、肢体が強ばり痙攣する、舌が強ばって話せないといった症状がみられます。

 

 

 

①陽閉

 

 

 

熱象をかね、病因は内風+痰火とされています。

 

 

 

煩躁して落ち着かない、顔面紅潮、呼吸が荒い、口臭といった症状がみられ、

 

 

 

口唇紅、乾燥気味、舌質紅、黄膩苔、弦滑・弦数脈といった所見がみられます。

 

 

 

②陰閉

 

 

 

陰象をかね、病因は内風+湿痰(陽虚による湿生)とされています。

 

 

 

静かに横たわっており煩躁しない、顔色が青白い、手足が冷たい、呼吸時に痰が絡む音がするといった症状がみられ、

 

 

 

口唇の血色暗く、湿潤(涎があふれる感じあり)、舌は暗色で白膩苔、沈滑・沈緩脈といった所見がみられる特徴があります。

 

 

 

特に陽閉は、病状の進展が迅速で、悪化するのが非常に早いといった特徴をもち、

 

 

 

陽閉と陰閉は相互に転化することがあります。

 

 

 

2.脱証

 

 

 

脱証・中風脱証は五臓の気が衰弱し、まさに絶えようとしている危急状態を指します。

 

 

 

閉証よりも数段重篤で絶命の危機にある状態ともいえます。

 

 

 

この場合、突然昏倒し、人事不省、四肢厥冷、多汗(冷や汗)、呼吸が浅く弱い、四肢がだらりとして力が入らない、口が空いたままとなり、舌が萎縮して、脈が微弱過ぎて今にも絶えてしまいそうな状態となるといった症状がみられます。

 

 

 

五絶の症は、口が空いたままになる、手がだらりとして解放した状態になる、目を閉じたまま開かない、二便失禁、イビキのような声を出して昏睡するという状態を指し、これらが現れると治療は困難を極める状況となってしまいます。

 

 

 

中臓腑のお話は以上です。

 

 

 

卒中風についてのお話は今回で終わりです。

 

 

 

次回は「痿証」について、お話ししていきたいと思います。

 

 

 

 

【参考文献】

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』

藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

 

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