東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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口苦(こうく)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「口苦(こうく)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
口苦とは、口腔内に苦味を自覚することをいいます。
 
 
 
『黄帝内経』では、「胆瘅(たんたん)」と呼ばれており、『素問・奇病論』に「病ありて口苦きは、……病名は胆瘅という。……これは人は、数(しばしば)謀慮して決せず、ゆえに胆の虚気は上溢して口はこれがために苦し」と述べられています。
 
 
 
ただし、厳密には口苦は症状であり、「胆瘅」は病名であるため、イコール同じものという訳ではなく、「胆瘅」の主要症状として口苦があげられます。
 
 
 
弁証分類は、主に2つです。
 
 
 
1.邪在少陽の口苦
 
2.肝胆鬱熱の口苦
 
 
 
いずれも、口苦に加えて、咽の乾燥、イライラ、目がくらむなどの症状がみられますが、病因病理は異なります。
 
 
 
まず、邪在少陽の口苦についてです。
 
 
 
傷寒太陽病が治癒せず、邪が少陽に伝入し、胆は少陽の腑であることから、胆熱が上蒸して口苦が発生します。
 
 
 
『針灸甲乙経・巻九』に「それ胆は、中精の腑。五臓は胆より取決し、咽はこの使たり。……胆気上溢して、口はこれがために苦し」と記載されている通りです。
 
 
 
この場合、口苦に加えて、寒熱往来、食欲不振、悪心、胸脇部が脹って苦しいなどの半表半裏証がみられることが特徴です
 
 
 
その他にも、尿は黄色で、舌苔薄白あるいは薄黄、脈浮弦で有力といった所見を呈します。
 
 
 
治法は、和解少陽を用います。
 
 
 
次に、肝胆鬱熱の口苦についてです。
 
 
 
情緒の抑うつ、五志過極などで化火して、肝胆の鬱火が生じて疏泄が失調してしまい、胆気が上溢して口苦が引き起こされます。
 
 
 
『雑病源流瘅燭・口歯唇舌病源流』には、「肝は胆に熱を移せばまた口苦く、内経の言う胆瘅これなり。注にいう、肝は謀を主り、胆は決を主る、あるいは謀りて決せず、これがために急怒すれば、すなわち気は上逆し、胆汁は上溢するゆえなり」と述べられています。
 
 
 
この場合、頭痛、目眩感、両脇の脹痛、顔面紅潮、目の充血、イライラ、易怒、舌質尖辺紅、舌苔薄黄あるいは黄膩、脈弦数などの肝火の症候がみられることが特徴です。
 
 
 
その他にも、口渇して水分を欲する特徴をもち、太息、尿が濃い、便が硬いといった症状もみられます。
 
 
 
治法は、清熱疏肝、解鬱を用います。
 
 
 
苦いという味は、胆の味であり、『黄帝内経 素問・四時気篇』に「胆液泄すればすなはち口苦し」、『黄帝内経 素問・邪気臓腑病形篇』には「胆病めば、善太息し、口苦く、宿汁嘔し、……」と記載があります。
 
 
 
胆汁の分泌は、肝の疏泄にも関連がありまして、『黄帝内経 素問・痿論』に「肝気熱すれば、すなわち胆泄し口苦く筋膜乾く、……」と述べられています。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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面部疼痛(めんぶとうつう)とは①

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「面部疼痛(めんぶとうつう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
面部疼痛とは、顔面の一部または全体の皮膚、骨格やその他の組織の疼痛で、臨床の中では片側の疼痛が多いとされています。
 
 
 
別名では「面痛」と呼ばれています。
 
 
 
流行性耳下腺炎、歯槽膿漏、歯痛、眼疾患、鼻疾患なども面部疼痛をともないますが、局所に腫脹、発赤があり、単なる疼痛ではないため、別ものとして扱います。
 
 
 
弁証分類は、主に次の4つあります。
 
 
 
1.風熱挟痰阻絡の面痛
 
2.風寒挟痰阻絡の面痛
 
3.肝鬱化火の面痛
 
4.気虚血瘀の面痛
 
 
 
本日は、「風熱挟痰阻絡と風寒挟痰阻絡の面痛」について、お話ししていきたいと思います。
 
 
 
いずれも、風邪に痰をともなって発症しますが、寒熱の違いがあります。
 
 
 
頭面部は、全身の陽経が会するところで、足の三陽経筋は両顴部で会し、手の三陽経筋は側頭部で会する。
 
 
 
脾虚の体質で痰湿を生じ、風熱あるいは風寒の邪に侵襲されると、風邪が痰とともに経絡を阻滞するため、「通ぜざればすなわち痛む」ことになります。
 
 
 
風邪は、「よく行り、しばしば変ず」で、風邪が痰と結びついて集まったり、散ったりすることとリンクして、疼痛も急に起こったり、止んだりする特徴を持ちます。
 
 
 
風熱挟痰阻絡の面痛では、発作性で灼熱感あるいは切られるような激しい疼痛を訴えます。
 
 
 
鼻傍や唇傍に引痛をともない、触れることで疼痛発作が起こることがあります。
 
 
 
その他にも、顔面紅潮、目の充血がみられ、温めると疼痛が悪化し、冷やすと軽減する特徴を持ちます。
 
 
 
また、舌質紅、舌苔黄、脈数などを呈し、発熱、口乾、尿濃、微悪風寒などの表熱の症候をともなうこともあります。
 
 
 
痰火阻絡では、頭のふらつきに、胸苦しい、四肢の痺れ、舌質紅、舌苔黄膩、脈滑数などの症候が加わってきます。
 
 
 
治法は、疏風散熱、滌痰活絡
 
 
 
風寒挟痰阻絡の面痛では、発作性の引き攣れるような激しい疼痛を訴えます。
 
 
 
その他にも、顔面蒼白、冷やすと疼痛が悪化し、温めると軽減する特徴をもちます。
 
 
 
また、舌質淡、舌苔薄白で潤、脈緊などを呈して、発熱、強い悪風寒などの表寒の症候をともないます。
 
 
 
寒短縮阻絡では、顔面の浮腫、頭が締めつけられるような感じ、舌質淡で胖、舌苔白厚膩、脈濡滑などが加わってきます。
 
 
 
治法は、疏風散寒、滌痰活絡を用います。
 
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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