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経行吐衄(けいこうとじく)とは③

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は経行吐衄の続きで、「肺陰虚と脾不統血の経行吐衄」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
前回までのお話はこちら!
 
 
 
いずれも虚証ですが、病因病理は異なります。
 
 
 
まずは、肺陰虚の経行吐衄についてです。
 
 
 
陰虚体質、多産、房事過多などにより精血を消耗して、陰虚火旺となったことで陽絡を損傷したために生じ、これは虚熱に分類されます。
 
 
 
弁証のポイントは、月経中から終了後に口や鼻から出血し、出血量は少なく紅色を呈することです。
 
 
 
また、普段から頭がふらつく、耳鳴、乾咳、嗄声、鼻腔や咽の乾き、潮熱、盗汗、舌質紅嫩で乾燥、舌苔は花剥または無苔、脈細数で無力といった肺燥の症候を伴います。
 
 
 
女性生理では、経血量は少なくて紅色、血塊は混ざらないといった症状がみられます。
 
 
 
治法は、養陰潤肺、清熱涼血を用います。
 
 
 
次に、脾不統血の経行吐衄についてです。
 
 
 
飲食不節、疲労などにより中気不足をきたすと、脾の統血機能が低下してしまい生じます。
 
 
 
弁証のポイントは、月経中から終了後に口や鼻から出血し、血は淡紅で希薄であることです。
 
 
 
その他にも、顔面蒼白、易疲、横臥したがる、倦怠感、息切れ、嬾言、食欲不振、腹脹、泥状便、舌質は淡胖で歯痕がある、脈細弱あるいは虚大で無力といった気虚の症候がみられることです
 
 
 
女性生理に関しては、希薄な白色帯下、経血量が多い、時に不正性器出血、経血は淡紅色で希薄といった症候がみられます。
 
 
 
治法は、健脾益気、引血帰経を用います。
 
 
 
経行吐衄は、臨床的に血熱気逆によって生じるものが多く、脾不統血によるものは比較的少ないとされています。
 
 
 
出血量、血の色や質、他の症候から鑑別していきます。
 
 
 
月経前、月経中、月経後などの出血時期に拘り過ぎる必要は無いとされていますが、月経前に発生するものが多いとされています。
 
 
 
血熱気逆によって経行吐衄が起きている場合は、清熱涼血、降逆をメインに処置していきます。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「経行吐衄(けいこうとじく)」の続きで、「肝鬱化火と胃火血熱の経行吐衄」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
 
『霊枢・百病始生篇』に「陽絡傷るればすなはち血は外溢し、血外溢すればすなはち衄血す」と記載があります。
 
 
 
肝鬱化火と胃火血熱の経行吐衄は、ともに火熱が上衝して陽絡を損傷し、血が外溢した「実証」「熱証」であり、
 
 
 
血海が充実する月経前、月経期に鼻や口から多量の紅色粘稠な出血が生じるという特徴を持ちますが、病因病理は異なります。
 
 
 
まずは、肝鬱化火の経行吐衄についてです。
 
 
 
この場合は、怒りなどにより肝気が鬱結して化火し、肝火が陰血を擾動することで生じます。
 
 
 
弁別のポイントは、頭のふらつき、めまい感、顔面紅潮、目の充血、イライラ、易怒、口苦、咽渇、胸脇苦満がみられ、尿が濃い、舌質紅、舌苔黄、脈弦数がみられることです。
 
 
 
女性生理に関しては、月経周期が不安定、経血の排出が円滑でない、月経期に下腹部や乳房の脹痛がみられ、経血は紅色であるがポイントとなります。
 
 
 
治法は、清肝解鬱、降逆止血を用います。
 
 
 
次に、胃火血熱の経行吐衄についてです。
 
 
 
辛いもの、熱いもの、味の濃いものなどを嗜好して、胃に積熱し、胃火が上衝することで発生します。
 
 
 
この場合は、寒冷を好み湿熱を嫌う、歯痛、歯肉の腫れ、口臭、口渇、便秘、尿が濃い、舌質紅、舌苔黄、脈洪数といった症状を伴う特徴があります。
 
 
 
女性生理に関しては、月経周期が短縮し、経血は紅〜紫色かつ粘稠で量が多いことが特徴となります。
 
 
 
治法は、清胃瀉火、涼血止血を用います。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

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