東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「不孕」の続きのお話で、「湿痰と血瘀湿熱の不孕」について、お話をしていきたいと思います。
 
 
 
前回までのお話はこちら!
 
 
 
病因病理は異なりますが、どちらも実証に分類されます。
 
 
 
湿痰の不孕は、肥満体質で痰湿な内生したために衝任が阻滞されて受精できなくなって生じます。
 
 
 
これについては『丹渓心法・子嗣』にて、『これ肥盛の婦人、稟受甚だ厚し。子宮閉塞すという。よろしく行湿燥痰すべし』と述べられています。
 
 
 
この場合は、肥満体型、無月経や月経不順、白色の帯下増加、舌苔白膩、脈滑がみられます。
 
 
 
血瘀湿熱の不孕は、月経時や産褥時の性交により胞宮に邪が侵入し、気血の流通を阻害し、湿熱が停滞して生じます。
 
 
 
この場合、下腹部痛があって生理前に増悪しやすく、圧痛もみられます。
 
 
 
また、微熱、月経不順、月経期間の延長、腰部や尾底部のだるい痛み、悪臭のある黄色帯下を伴います。
 
 
 
不孕の弁証分類については、以上です。
 
 
 
『女科証治準縄・胎前門』には、『胎前の道は、求子に始まり、求子の法は、調経に先んずることなし、婦人の子無きを見るごとに、その経は必ずあるいは前あるいは後、あるいは多あるいは少、あるいはまさに行りて病を作し、あるいは行りて後病を作し、あるいは紫あるいは黒、あるいは淡あるいは凝して調わず、調わさればすなわち気血は乖争して孕をなす能わざるなり。』と記載があります。
 
 
 
つまり、『子宝に恵まれたい場合、その方法は、女性の生理を調えるよりも先にすることは無い』ということです。
 
 
 
様々な西洋医学的な不妊治療が確立されてきていますが、まずは体調、特に生理の状態を調える事が重要となってきます。
 
 
 
「生理の状態を調えるなら、身体を調えればいいのでは?」と様々な健康法を試す方もいらっしゃいますが、精神的な問題で生理が乱れる場合も大いにあります。
 
 
 
心身一如、心と身体を分けて考えず、その方の生活環境、人間関係まで考慮に入れて治療を進めていく東洋医学は、西洋医学的な不妊治療との併用やこれから妊活を始めたいという方にとって、有効な手段のひとつではないかと思います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「不孕(ふよう)」について、続きのお話していきたいと思います。
 
 
 
前回のお話はこちら!
 
 
 
まずは「陰虚血熱と肝気鬱結の不孕」についてです。
 
 
 
いずれも虚実挟雑という点では同じですが、病因病理が異なります。
 
 
 
陰虚血熱の不孕は、陰虚体質、慢性病、熱性疾患の傷陰などで陰虚が生じ、胞宮(子宮)に虚熱が鬱積して生じます。
 
 
 
『女科経論・嗣育』には、『婦人の久しく子無きは、衝任の脈中に熱伏せるなり。それ不孕は血少なきによる、血少なければすなわち熱し、そのもとはかならず真陰の不足より起り、真陰不足すれば、すなわち陽勝りて内熱し、内熱すればすなわち栄血枯る、ゆえに孕せず、益陰除熱すれば、すなわち血は旺にして孕し易し』と記載されている通りです。
 
 
 
この場合の特徴としては、月経周期が短縮して経血量が多くて紅色か、月経周期の延長して経血が暗紅色で量が少ない状態となります。
 
 
 
その他にも、頭のふらつき、口咽の乾き、顔面紅潮、頬部のほてり、潮熱、盗汗、舌質紅、舌苔薄などを呈します。
 
 
 
肝気鬱結の不孕は、情志が抑うつすると肝気が条達できず、気血が失調して胞脈が通暢出来ないために生じます。
 
 
 
済陰網目・求子門』には、『およそ婦人の子無きは、多くは七情の傷る所により、血衰え気盛ならしむを致し、経水は調わず、あるいは前あるいは後、あるいは多あるいは少、あるいは色淡なること水のごとく、あるいは紫なること血塊のごとく、あるいは崩漏し帯下し、あるいは肚腹疼痛し、あるいは子宮虚冷し、孕を受くること能わず』と記載されています。
 
 
 
この場合は、月経周期や経血量が一定せず、経血が紫色で瘀血塊が混じる、痛経、月経前の乳房の脹り、イライラ、易怒といった特徴的な症状がみられます。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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