東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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舌痛(ぜつつう)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「舌痛(ぜつつう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
舌痛とは、舌の痛みの総称であり、灼熱性の痛みである灼痛、ピリピリした痛みである辣痛、痺れた痛みである麻痛、ザラザラした痛みである渋痛などの感覚すべてが含まれます。
 
 
 
痛みの部位も、舌全体であったり、舌の先端である舌尖、舌の辺縁である舌辺、舌中部である舌心、舌根部である舌根に偏在する場合があります。
 
 
 
『霊枢・経脈篇』には「これ脾の主るところに生ずる病は、舌本痛む」と初めて記載されていますが、後世で様々な所見によって細分化されていますが、今現在では舌痛と総称されています。
 
 
 
主な弁証分類は2つです。
 
 
 
1.臓腑実熱の舌痛
 
2.陰虚火旺の舌痛
 
 
 
まずは臓腑実熱の舌痛についてです。
 
 
 
心、脾、肝、腎など多くの臓腑経絡が舌に流注している為、各臓腑にて発生した火熱の邪はすべて舌絡に上攻して舌痛を引き起こします。
 
 
 
基本的に舌質は紅赤で芒刺がみられますが、臓腑の違いにより痛む部位や症状が異なる為、弁別の参考にします。
 
 
 
心火では、舌尖の発赤、刺すような灼熱痛がみられ、焦燥感や不眠を伴います。
 
 
 
肝火では、舌の両舌辺に痛みがみられ、口苦、易怒を伴います。
 
 
 
胃火では、舌中部が痛み、舌苔が黄厚で乾燥し、喜冷飲、食欲不振、尿赤短利、便秘を伴います。
 
 
 
肺火では、舌尖部がピリピリと痛みます。
 
 
 
痰火では、舌が痺れたように痛み、めまいも伴います。
 
 
 
臓腑の熱毒では、舌全体が紫色を呈して、痛みも全体に及びます。
 
 
 
この場合、脈は実数がみられやすいです。
 
 
 
治法は基本的に清熱瀉火を用いますが、目的とした臓腑を意識した配穴となります。
 
 
 
次に陰虚火旺の舌痛についてです。
 
 
 
朝早くから夜遅くまで働いて疲労し、真陰を消耗して起こることが多いとされていますが、陰虚の程度は強くないとされています。
 
 
 
『舌診研究』に「舌色は紅で潤いがあり、舌尖に小さなとげ状の突起があって痛むのは、不眠あるいは夜間労働者にみられることが多い」と記載されているとおりです。
 
 
 
陰虚の程度が強かったり、虚火上炎するものについては、『弁舌指南』に「燥渋は津液すでに耗するためなり」「舌に横裂を生じる者は素体陰虚なり」「苔なく点なくして裂紋する者は陰虚火炎なり」と記載されているとおりであり、所見が異なってきます。
 
 
 
弁証のポイントは、舌質が紅で灼熱性の疼痛を伴い、口乾を訴えて水を欲しても少量を頻回に飲みたがり、一度に大量の水分を飲まないことが特徴的です。
 
 
 
他にも、心神が十分に養われないことで不眠や、陰虚火旺の五心煩熱などもみられることがあります。
 
 
 
治法は滋陰清熱を用います。
 
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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目乾渋(もくかんじゅう)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は、「目乾渋(もくかんじゅう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
目乾渋とは、両眼が乾燥してザラザラした異物感があり、目が疲れやすいことをいいます。
 
 
 
「目昏(もくこん)」と併発しやすいですが、目昏は視力減退が主体である為、目乾渋とは異なります。
 
 
 
弁証分類は主に2つです。
 
 
 
1.陰虚血虚の目乾渋
 
2.燥熱傷津の目乾渋
 
 
 
まずは陰虚血虚の目乾渋についてです。
 
 
 
読書などで目を使いすぎ久視傷血したり、酒癖や房事過多で陰精が不足したり、悲哀で涙を流しすぎて津液を消耗したり、憂思で脾が虚して生化けの源が不足したことで陰血が虚して目を栄養できなくなり、発生します。
 
 
 
特徴は、目が乾燥して異物感があり、疲労しやすいことに加えて、
 
 
 
顔色萎黄、爪が淡色、咽舌の乾燥感、不眠、多夢、頭のふらつき、耳鳴、五心煩熱、腰膝酸軟、遺精、舌質淡または紅、脈細数などを呈することです。
 
 
 
治法は養血活血、滋補肝腎を用います。
 
 
 
次に燥熱傷津の目乾渋についてです。
 
 
 
燥熱の邪によって津液を消耗することで発症します。
 
 
 
『銀海指南・燥』に「目の白珠は、肺なり、燥けばすなわち目乾き痒作す」と記載がある通りです。
 
 
 
特徴は両眼の乾燥、熱感、掻痒、異物感に加えて、
 
 
 
口鼻の乾燥、口渇、多飲、乾咳、少痰をともない、舌質紅で乾燥、脈数を呈することです。
 
 
 
治法は清熱潤燥を用います。
 
 
 
『霊枢・口問』には、目について、次のようなことが記載されています。
 
 
 
「目は、宗脈の聚るところなり、上液の道なり……ゆえに悲哀愁憂すればすなわち心動し、心動すればすなわち五臓六腑みな揺れ、揺れればすなわち宗脈感じ、宗脈感ずればすなわち液道開き、液道開くがゆえに涙涕出づ。液は、精を濯ぎ空竅を潤すゆえんのものなり、ゆえに上液の道開けばすなわち泣き、泣止まらざればすなわち液渇き、液渇けばすなわち精灌がずすなわち目はみるところなく、ゆえに命じて奪精という。」
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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