東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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胸痛とは④

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は前回の続きで「心気陰両虚の胸痛」、「肺癰の胸痛」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
まずは、心気陰両虚の胸痛についてです。
 
 
 
胸痛は、持続性で増減する鈍痛といった特徴を持ち、運動をすると症状が増悪します。
 
 
 
心気虚と同じく虚証であり、多夢、不眠、胸痛、動悸、息切れまたは呼吸促迫、自汗などの気虚の症候をともないます。
 
 
 
ただ、気陰両虚となると、心気と心陰がともに虚している為、気虚の症候に加えて、身熱、口乾、尿が濃い、舌質紅で乾燥、少苔、脈細数で無力といった陰虚の症候を呈します。
 
 
 
治法は、益気養陰を用います。
 
 
 
次に、肺癰の胸痛についてです。
 
 
 
熱毒の邪が肺に停滞して肉を腐乱し、肺癰(肺化膿症)を形成することで発生します。
 
 
 
この場合、胸痛とともに腥臭のある粘調な痰や膿血性の痰を喀出し、胸中の熱感、口乾、咽渇、舌質紅、脈滑数などの熱毒の症候を呈することが特徴となります。
 
 
 
治法は、清熱解毒・排膿を用います。
 
 
 
慢性化すると熱が陰を消耗する為、陰虚をともない、盗汗、潮熱、五心煩熱を呈する場合は、滋陰も治療方針に加えていきます。
 
 
 
熱傷血絡で喀血が多い場合は、血を失うことによる消耗を防ぐ為、止血を考慮した配穴を選択していきます。
 
 
 
以上のように、胸痛は虚証、実証、虚実挟雑とパターンが分かれます。
 
 
 
虚証は、心気虚、心陽虚、心気陰両虚によるもであり、心血瘀阻や痰濁は本虚標実です。
 
 
 
肺癰は実証ですが、慢性化すると虚実挟雑となります。
 
 
 
打撲、挫傷などによる瘀血の胸痛は実証であり、治法は活血化瘀を用いて処置を行います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「舌麻(ぜつま)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
舌麻とは、舌尖部が痺れることをいい、舌のこわばりを伴います。
 
 
 
もともと、舌尖が痺れて感覚がないものを「舌麻」といい、舌のこわばりを伴うものを「舌痺」と呼んでいましたが、近代になると、混同したり合わせたりして書物に記載されるようになっています。
 
 
 
今回は知覚麻痺(痺れ)とこわばりを合わせて「舌麻」として扱っていきたいと思います。
 
 
 
弁証分類は主に3つあります。
 
 
 
1.血虚の舌麻
 
2.肝風の舌麻
 
3.痰阻の舌麻
(①風痰の舌麻、②痰火の舌麻)
 
 
 
まずは血虚の舌麻についてです。
 
 
 
『素問・逆調論』に「栄気虚せばすなわち不仁す」とあるように、栄血が不足して舌を栄養できなくなると、舌麻を生じます。
 
 
 
栄血不足は、出血過多や血の化源不足によって発生します。
 
 
 
特徴は、舌が痺れるがこわばりは無く、飲食や言語には大きな障害は無く、顔色黄萎あるいは白、動悸、息切れ、頭のふらつき、不眠、多夢、健忘、舌質淡、脈細で無力などの血虚所見を伴うことです。
 
 
 
治法は養血を用います。
 
 
 
次に肝風の舌麻についてです。
 
 
 
肝腎陰虚で肝陽が上亢して抑制されず、肝風が生じて舌を上擾することで発生します。
 
 
 
基本は陰虚であり、症候は陽亢によって引き起こされます。
 
 
 
特徴は、舌の痺れとこわばりがみられ、飲食・言語にも障害があることです。
 
 
 
また、舌質紅、舌苔少、脈弦で細数、頭痛、頭のふらつき、、突然に意識障害、半身不随を生じることもあるという特徴をもちます。
 
 
 
治法は、平肝熄風を用います。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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