東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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頭暈(ずうん)とは③

 

 

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こんばんは!樫部です。

 

 

本日は前回の続きで「腎精不足と痰濁中阻の頭暈」について、お話していきたいと思います。

 

 

前回のお話はこちら!

 

 

まずは腎精不足の頭暈についてです。

 

 

腎は精を蔵して髄を生じ、先天の本ですので、先天不足、老化による腎気の衰弱、房労過度などで腎精が消耗して、髄が不足すると頭暈が発生します。

 

 

『霊枢・海論』に、「髄海不足すれば、すなわち脳転じ耳鳴し、脛痠し眩冒し、目は見る所なく、倦怠安臥す」と記載がある通りです。

 

 

特徴は、頭のふらつき、慢性的なめまい感、疲労感、健忘、耳鳴、目花、腰膝酸軟、遺精、陽萎、舌体痩、舌質紅、脈の尺位が細弱などの腎虚の症候を伴うことです。

 

 

治法は補腎填精を用います。

 

 

腎陽虚をともない、寒がる、四肢の冷え、舌質淡、脈沈微などがみられれば、温補腎陽を用います。

 

 

本証では陰虚火旺のように、手足のほてり、イライラ、不眠などの症状は顕著ではないことが弁別のポイントとなります。

 

 

次に痰濁中阻の頭暈についてです。

 

 

暴飲暴食などによって脾胃が損傷し、脾の運化が障害されて水湿が停滞し、湿が集まって痰が生じ、湿痰が中焦を阻滞することで清陽が昇らず、濁陰が下らず、回転性の頭暈が生じます。

 

 

特徴は、湿痰が中脘に停滞して、気の昇降が失調してしまい、腹脹して苦しい、嘔吐、悪心、食欲不振、体が重だるい、いつも眠い、舌苔膩、脈濡滑または弦滑などの痰証がみられることです。

 

 

治法は、祛痰化湿を用います。

 

 

頭が脹って痛む、口苦、イライラ、舌苔黄膩、脈滑数などの痰鬱化熱の症状を呈する場合は、清熱化痰を用います。

 

 

【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店

『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 

 

 

 

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頭暈(ずうん)とは①

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「頭暈」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
頭暈(ずうん)とは、目がかすんで頭がふらつき、物が揺れて見えることであり、乗り物に乗っているような感覚を覚えるものを指します。
 
 
 
激しいときは目を開けると周囲が回転して、立っていることが難しく、悪心、嘔吐して倒れてしまうこともあります。
 
 
 
弁証分類は主に次の6つがあります。
 
 
 
1.肝陽化風の頭暈
 
2.陰虚陽亢の頭暈
 
3.心脾両虚乗頭暈
 
4.中気不足の頭暈
 
5.腎精不足の頭暈
 
6.痰濁中阻の頭暈
 
 
 
本日は、まずは「肝陽化風と陰虚陽亢の頭暈」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
まずは肝陽化風の頭暈についてです。
 
 
 
『素問・至真要大論』に「諸風掉眩はみな肝に属す」と記載がありますが、もともと陽盛火旺の人が肝陽上亢したり、
 
 
 
怒りや悩みが鬱積して気鬱化火し、肝陰が消耗されて肝風内動が生じ、風火が上擾して頭暈が生じます。
 
 
 
特徴としては、『素問玄機原病式・五運主病』に「風火はみな陽に属し、多くは兼化をなし、陽の主は動にあり、両動相摶すれば、すなわちこれ旋転をなす」と記載があるように、
 
 
 
風火が上部を擾動するために、ふらつき、頭暈、脹痛が生じて、怒ると肝火が激しくなる為、頭暈と頭痛が増悪します。
 
 
 
また、風火が心身を乱すため、イライラ、易怒、浅眠、多夢、顔面紅潮、耳鳴、口苦、口乾、舌質紅、舌苔黄、脈弦数などの症状がみられることが特徴です。
 
 
 
治法は、清火熄風、平肝潜陽を用います。
 
 
 
肝胆の熱がキツく、口内炎や鼻の炎症、尿赤短利などの症状がみられるときは、治法は清火肝胆を用います。
 
 
 
中年以上で風火頭暈をみるときは、中風(脳血管障害)の前兆であることが多いため、適切な処置を施して予防することが必要となります。
 
 
 
次に陰虚陽亢の頭暈についてです。
 
 
 
肝陽化風と同じく、頭暈、イライラ、浅眠などの陽亢の症候がみられますが、肝陽化風は実証であるのに対して、陰虚陽亢は虚証に属します。
 
 
 
腎陰虚体質や慢性疾患、熱病などで陰液が消耗したことにより、腎陰が肝陰を滋潤できず、肝陽上亢を引き起こして頭暈が生じます。
 
 
 
その為、この場合の主体は陰虚です。
 
 
 
特徴は、陰液不足で頭が滋潤されないため、ふらつき、頭暈、目の乾燥感や異物感、腎陰不足から心腎不交が生じて焦燥感が出たり、不眠、多夢などの症候がみられます。
 
 
 
その他にも、陰虚内熱のため、五心煩熱、盗汗、口乾、舌質紅、少苔あるいは無苔、脈細数または細弦を呈します。
 
 
 
治法は滋陰、平肝定眩を用います。
 
 
 
つづく
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 

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