東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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耳痛(じつう)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。

 
 
 
本日は「耳痛(じつう)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
耳痛とは、耳の疼痛を自覚することであり、耳介、外耳道、鼓膜等の病変によって生じ、耳垂れ(耳内流膿)を伴うことが多いです。
 
 
 
『素問・至真要大論』には、「少陽の熱勝れば、耳痛み溺赤し」と記載があり、耳痛が肝経の熱盛であることを示しています。
 
 
 
弁証分類は主に次の3つです。
 
 
 
1.風熱邪毒の耳痛
 
2.肝胆熱毒の耳痛
 
3.気血瘀阻の耳痛
 
 
 
どの弁証分類も、病変部位による違いは下記の通りです。
 
 
 
①耳介の疼痛
 
この場合は、耳介部の痛みが強く、重篤になると発赤、腫脹して耳介が肥厚します。
 
 
②外耳道の疼痛
 
耳癤・外傷の初期にみられ、耳の灼熱性の疼痛が咀嚼や欠伸時に増悪し、外耳道の皮膚に発赤、腫脹がみられ、重篤になると聴覚障害を併発します。
 
 
③中耳の疼痛
 
外感風熱の初期にみられ、耳内の疼痛、聴覚減退、鼓膜の充血や水疱形成、鼻閉、鼻汁などを呈します。
 
 
 
まずは、風熱邪毒の耳痛についてです。
 
 
 
耳介の擦過傷、外耳道の掻破などの外傷部の皮膚から風熱邪毒が侵入したことで痛みが生じます。
 
 
 
肌膚が傷を受けて経絡が阻滞されると、気血が凝聚して痛みます。
 
 
 
特徴は、耳痛に腫脹を随伴することですが、病変部位によって違いがあります。
局所症状以外に、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などの全身症状、舌質紅、舌苔薄黄、脈浮数をともないます。
 
 
 
治法は、疏風清熱、解毒消腫を用います。
 
 
 
肝胆熱毒の耳痛は、肝鬱化火して湿熱が生じ、熱毒が上行して耳竅はを蒸灼することで生じます。
 
 
 
特徴は、疼痛が激しく、皮膚が発赤、腫脹、膨隆することです。
 
 
 
その他にも、口苦、咽乾、便秘、尿が濃い、舌質紅、舌苔黄膩、脈弦数等の症状がみられます。
 
 
 
治法は、清肝瀉火を用います。
 
 
 
気血瘀阻の耳痛は、肝胆の熱邪が上乗して経絡を阻塞して気血の運行を阻害するか、耳竅の外傷で気血が凝滞した為に発生します。
 
 
 
特徴は、患部の皮膚の腫脹、発赤は無いか軽度であり、時に小水疱がみられることであり、耳内が引き攣るように痛むことです。
 
 
 
その他にも、眩暈、耳鳴、舌苔薄、脈細渋などを呈します。
 
 
 
治法は、清肝泄熱、活絡通竅を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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耳内流膿(じないりゅうのう)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「耳内流膿」の各弁証分類について、お話していきたいと思います。
 
 
 
まずは、風熱上擾と肝胆湿熱の耳内流膿についてです。
 
 
 
いずれも急性で発症する実熱証ですが、病因病理は異なります。
 
 
 
風熱上擾の耳内流膿は、風熱邪が侵襲して裏に入り、耳竅を燻蒸して化腐生膿することで発生します。
 
 
 
この場合、耳内が脹ったような痛み、拍動痛あるいは錐で刺すような痛み、激痛後に耳内から膿が流出すると痛みが軽減し、多量の黄色粘稠の膿を排出する特徴をもちます。
 
 
 
その他にも、聴覚障害、頭痛、悪寒、鼻閉、咽の乾燥、口渇、舌苔薄黄、脈浮数などの表証をともなうことが特徴です。
 
 
 
治法は、祛風清熱、辛涼解表を用います。
 
肝胆湿熱の耳内流膿は、湿熱邪が蘊結して足の少陽胆経を循って上擾し、化腐生膿することにより発生します。
 
 
 
特徴は、急激に発症し、鼓膜が穿孔して腫脹、疼痛が強く、膿は黄色粘稠があり、膿を排出すると痛みが軽減することです。
 
 
 
その他にも、発熱、胸脇苦満、目赤、口苦、咽の乾燥、便秘、尿が濃い、舌苔黄膩、脈弦数などの肝胆湿熱の症候を呈することです。
 
 
 
治法は、清肝胆湿熱を用います。
 
 
 
次に腎陰虚・虚火上炎の耳内流膿についてです。
 
 
 
腎陰虚で虚火が上炎して耳を上蒸すると同時に、腎竅が空虚になって外邪を受けやすくなっており、外邪と虚火が交蒸して化腐生膿することで発生します。
 
 
 
この場合、膿が間欠的に長期間持続し、膿は無色で稀薄で無臭という特徴をもちます。
 
 
 
その他にも、聴力減退、耳鳴、頭のふらつき、腰膝酸軟、口乾、焦燥感、微熱、顔面紅潮、舌質紅、脈細数などの腎陰虚の症状をともなうことが特徴となります。
 
 
 
治法は、滋陰降火を用います。
 
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房

『症状による中医診断と治療 下』
神戸中医学研究会、燎原書店

『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店

 
 
 
 

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