東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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内生五邪④

 

 

 

 

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こんばんは、永井です。

 

 

 

 

 

今回は内燥についてです。

 

 

 

 

 

内燥は、熱から生じるものと、寒から生じるものに分けられます。

 

 

 

 

 

熱は液を枯渇させ、寒は収斂させますが、どちらも津液精血が枯渇することにより、内燥が発生します。

 

 

 

 

 

ほとんどの内燥病機の本は虚で、寒熱は標です。

 

 

 

 

 

症状としては、皮膚の艶なし、毛髪に潤いなくパサつく、爪が割れる、唇が乾いてひびが入る、絶対に潤いなし、口渇、咽乾、目が渋る、鼻が乾く、便が固くなる、尿量減少などです。

 

 

 

 

 

病機は以下です。

 

 

 

 

 

①燥傷肺気

 

 

 

 

 

肺気を損傷する病機は2つあります。

 

 

 

 

 

まず一つは燥熱が肺気を損傷する場合です。

 

 

 

 

 

陰津が消耗され体内に燥熱が発生し、肺気損傷。

 

 

 

 

 

肺気は粛降作用失調して気が上逆します。症状は咳嗽です。

 

 

 

 

 

肺津不足で陰液枯渇により、体内を潤すことが出来なくなります。症状は乾燥に関連するもの。

 

 

 

 

 

また、燥熱が強くなり、肺気損傷されると、水が津に変化せず、直接流れ落ちるため、多量の頻尿が現れたり、津液不足で全身に巡らせることができないため、筋脈が潤いを失い、四肢が萎えて動かなくなる、といった症状が現れます。

 

 

 

 

 

二つ目は冷燥が肺気を損傷する場合です。

 

 

 

 

 

燥による肺気の損傷が長引くために、陰の損傷が陽に波及します。

 

 

 

 

 

また、大病、久疾の後、気が消耗されて陽が損傷され陽虚となり寒が生じます。

 

 

 

 

 

すると、肺が虚冷し、気が津を巡らせることが出来ず、肺が潤いを失い、肺の宣発機能失調します。

 

 

 

 

 

また、上焦が虚して下焦を制御出来ないために、通調機能失調し、膀胱が緩みます。

 

 

 

 

 

②燥傷津液

 

 

 

 

 

病機変化には燥熱と冷燥があります。

 

 

 

 

 

燥熱は、燥が熱へ変化し、火熱が燃え上がり津液が奪われます。

 

 

 

 

 

冷燥は、陽気が虚するために陰寒が生じ、津液を化生出来ないため、津液が蒸発して全身に栄養を与えることができません。また、寒は収引性を持つため、津液は寒のために凝結し、皮膚、筋脈は潤いを失い乾燥症状が現れます。

 

 

 

 

 

③陰虚血燥

 

 

 

 

 

生まれつき陰虚傾向、大病、久疾をしたり、陰の欠乏が回復しない場合は、津液欠乏、皮膚、臓腑に潤いなくなり、乾燥病理が現れます。

 

 

 

 

 

陰精不足により血、液が欠損するため皮膚に栄養が与えられず、皮膚掻痒・乾燥、大量の落屑が現れます。

 

 

 

 

 

④津枯腸燥

 

 

 

 

 

病機は腸熱津枯と血虚津枯の2つです。

 

 

 

 

 

腸熱津枯は腸に熱があり、液を焼き、腸管の潤いがなくなり伝導機能失調することで起こります。

 

 

 

 

 

原因は元々、陽が強い体質、酒の飲み過ぎ、辛味、味の濃いものの過食、熱病を患い余熱が残っている状態などです。

 

 

 

 

 

血虚津枯は血虚により津液が枯渇し、腸管が潤すことできず、腑気が降りなくなることで起こります。

 

 

 

 

 

原因は過労による内傷、病後、産後で虚証状態が回復していないこと、老化による体力の衰えで気血が虚していることなどです。

 

 

 

 

 

⑤五臓内燥(臓燥)

 

 

 

 

 

七情が太過のために起こります。

 

 

 

 

 

情志が抑圧され肝気が鬱結、愁いがちになり怒りっぽくなります。さらに肝気が激化するため肝かがが損傷され、血が筋肉に栄養与えられず筋脈が拘急します。

 

 

 

 

 

また、思い悩み心配すると、心脾を損傷、心陰が消耗され、心血不足となります。

 

 

 

 

その結果、心神に栄養が行き届かず、喜んだり悲しんだり泣いたり、眠れなくなったりします。

 

 

 

 

 

脾胃が損傷されると、受納・運化機能失調し、飲食減退。脾が虚して化生できないと腎の精気、形体も欠乏、しきりにあくびしたり、眠ってばかりいたりします。

 

 

 

 

次回へ続きます。

 

 

 

 

参考文献

『基礎中医学』 編者:神戸中医学研究所

『中医病因病機学論』 主編:宋 鷺冰

『中医弁証論』    編著 柯 雪 帆

『内経気象学入門』 著者: 橋本 浩一

 

 

 

 

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口中生瘡(こうちゅうせいそう)とは②

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「口中生瘡」の続きで、「脾胃積熱と陰虚火旺の口中生瘡」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
前回のお話はこちら
 
 
 
いずれも熱証ですが、実熱と虚熱の違いがあります。
 
 
 
まずは脾胃積熱の口中生瘡についてです。
 
 
 
飲食不節、飲食癖、辛いもの、脂っこいものの嗜好により、脾胃に積熱が生じ、脾胃の熱が口に上蒸して、口中生瘡が生じます。
 
 
 
特徴は、口内、唇、舌、歯齦に潰瘍が生じ、潰瘍面が発赤して腫れ、疼痛により食事に差し支えるほどであることです。
 
 
症状が重篤になると、舌、頬部が腫脹します。
 
 
 
口渇して喜冷飲、便秘、尿が濃い、身体の熱感、舌質紅あるいは裂紋あり、舌苔黄、脈は数で有力など、実熱の症候がみられることです。
 
 
 
治法は、清熱瀉火を用います。
 
 
 
次に陰虚火旺の口中生瘡についてです。
 
 
 
睡眠不足、心身の疲労により心陰が次第に消耗したり、熱病の後期の傷陰などで、陰虚火旺が生じて虚火が口に上炎して、口中生瘡が発生します。
 
 
 
特徴は、口内炎が広範囲に広がって、なかなか治癒しなかったり、反復して発生し、
 
 
 
潰瘍面は黄白色を呈して周囲が淡紅色で、腫脹は強くなく、疼痛は日中に軽く夜間に増悪することです。
 
 
 
また、口乾、イライラ、焦燥感、不眠、手足のほてり、舌質紅あるいは裂紋、舌苔少、脈沈細数などの陰虚の症候をともないます。
 
 
 
治法は、滋陰清火であり、苦寒薬を用いてはいけないという重要ポイントがあります。
 
 
 
「苦寒薬」の薬性は、沈降、抑制、乾燥があります。
 
 
 
陰虚である為、乾燥させてはならず、あくまで潤しながら、熱を冷ましていく処置を行います。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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