東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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EBMの実践①

 

 

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こんばんは  謝敷です^^

 

 

今回は、「EBMの実践」に必要となる3つの要素をご紹介します。

 

 

これまで見てきたようにEBMの基本原則としては、以下の3つが示されていました。

 

 

 1.エビデンス・ピラミッド

 2.複数のエビデンスを包括的に参照し検討すること

 3.患者さんの価値観を考慮すること

 

 

 

エビデンスを参照する場合には、これらの基本原則がある、ということですね。

 

 

 

そのうえで、「医療の実践」においては、以下の3つの要素が必要となると述べられています。

 

 

 ① 利用可能な最善の科学的根拠

 ② 臨床的な専門技術や経験

 ③ 患者さんの価値観や期待

 

 

 

基本原則の1と2はこの、要素の①に含まれ、

基本原則の3は要素の③と同じですね。

 

 

 

しかしEBMはそれだけではなく、

 

②としての”医療者それぞれの臨床的な専門知識や熟練度”も

 

もちろん重要である、ということですね。

 

 

 

確かに振り返ってみると、初出論説においても、

 

医師の経験や先達の助言に「加えて」として、

 

適切なエビデンスの参照が述べられています。

 

 

 

EBMという言葉は、科学的でクリアカットな概念のように思えていましたが、

 

丁寧にひも解いてみると、

 

 

 

それは、単にそれらしい研究結果を参照し、患者さんに適用することではなく、

 

 

 

多種多様なエビデンスを精査・吟味し、

 

医療者の経験や技術も活用して検討し、

 

さらには患者個々人の状況や価値観も重視する

 

 

 

という、血の通った医療を目指しているのですね。

 

 

 

多くの人が知るようになった「EBM」という言葉。

 

 

 

漠然とした概念だけでなく、この深みや複雑性を再認識したうえで、

 

大学院での研究に繋げていきたいと思いました。

 

 

 

<参考資料>

・Sackett DL. Evidence-based medicine. Semin Perinatol. 1997 ;21(1):3-5.

・(3要素の日本語訳)厚生労働省医政局研究開発振興課 片岡穣「厚生労働行政の立場からの提言」

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/forum/150308/pdf/03.pdf

 
 
 
 

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こんばんは 謝敷です^^

 

 

 

前回、前々回は、EBMの四半世紀を振り返った論文から、

 

EBMの基本原則の1つ目と2つ目をご紹介しました(論文は→こちら)。

 

 

 

本日はいよいよ最後の3つ目をご紹介します!

 

 

 

 

3つ目の基本原則は、患者さんの価値観を考慮すること。

 

 

 

 

どんなに最良と言われるエビデンスがあっても、

 

患者さんの状態、価値観や選好、経済状況等によって「最良」であるかは異なります。

 

 

 

医療者は最良と思われるエビデンスを熟慮したうえで、

 

最後に「この人に」どのような提案と伝え方が最良であるかを改めて検討し、

 

患者さんの意思決定を助ける必要があると述べています。

 

 

 

 

この四半世紀において、医療の領域も多様化し、患者さんの自主性が重視されるようになりました。

 

 

 

 

基本原則の1・2でエビデンスの整理が進んでも、

 

限られた診察時間の中で、医療者が患者さんにとって、

 

治療のメリットやデメリット、さらには代替案等を分かりやすく伝え、

 

患者さんの意思決定をサポートする、という最後の段階は、今なお、課題が残っているようです。

 

 

 

 

情報革新とあいまって、医学界の新たな常識となったEBMですが、他にも課題を指摘する声があります。

 

 

 

例えば…

 

 

 

医療者が自身の感覚や熟考の鍛錬をせず、

 

暗にルールやマニュアルに基づいた医療となりがちであることや、

 

 

 

EBMを医療外の分野(商業等)で誇張な宣伝に悪用される例が出てきていること、

 

 

 

論文化されていないことはエビデンスとならないこと(出版バイアス)などです。

 

 

 

 

 

さらに近年のEBMについて述べた論文では、

 

ウェアラブル技術やビッグデータ・AIの活用、希少疾患への対応、

 

遺伝子治療や個別医療への対応も新たに取り組むべき課題として挙げられています。

 

 

 

 

 

“Evidence based”は、現在、医療の枠を超え、政策や経済面にも応用されるようになり、

 

物事を検証するうえで、“新しい常識”となったといっても過言ではないのかもしれません。

 

 

 

 

本当は早く鍼灸のエビデンスについてご紹介したいのですが、

 

あと少し、EBMの理解に必要なEBMの3つの要素と5つのステップについて、次回、ご紹介させて頂きます!

 

 

 

 

 

本日もありがとうございました^^

 

 

 

 

<参考論文>

・Djulbegovic B, Guyatt GH. Progress in evidence-based medicine: a quarter century on. Lancet. 2017 Jul 22;390(10092):415-423. doi: 10.1016/S0140-6736(16)31592-6.

・Rethinking evidence in medicine. Nat Med. 2023 Jan;29(1):1.

・Subbiah V. The next generation of evidence-based medicine. Nat Med. 2023 Jan;29(1):49-58. doi: 10.1038/s41591-022-02160-z. Epub 2023 Jan 16.

・Sackett DL, Rosenberg WM, Gray JA, Haynes RB, Richardson WS. Evidence based medicine: what it is and what it isn’t. BMJ. 1996 Jan 13;312(7023):71-2.

・Chloros GD, Prodromidis AD, Giannoudis PV. Has anything changed in Evidence-Based Medicine? Injury. 2023 May;54 Suppl 3:S20-S25. doi: 10.1016/j.injury.2022.04.012. Epub 2022 Apr 20.

 
 
 

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