東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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乳がんの内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛と鍼灸⑤

 

 

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こんばんは 謝敷です

 

 

 

前回は、乳癌診療ガイドラインで参考にされている
内分泌療法による関節痛に対する鍼治療の効果を検討した論文をご紹介致しました。

 

 

今回は、もう1つ、同じくガイドラインで参照されている
アロマターゼ阻害薬による関節痛に対する鍼灸の治療効果を検討した
システマティックレビューをご紹介したいと思います。

 

 

 

この論文では2014年までに発表された
アロマターゼ阻害薬による関節痛に対する鍼治療の254件の論文のうち、
重複や介入研究以外の論文を除いた、4本の研究を対象としています。

 

 

 

これらの研究ではいずれも、
通電を含む鍼治療と、何もしないまたは
治療に用いるツボではない経穴を使用した偽鍼治療とを比較しています。

 

 

鍼治療は6~8週間にわたり、8~12回実施され、
1件の研究は関節痛が有意に改善したことを報告しており、
残りの3件では、介入なしに比べると、関節痛を改善しているものの、
偽鍼治療と比較した場合には効果に差が見られなかったと報告しています。

 

 

1つの研究では血液検査も同時に行っており、
炎症を示すCRP(C反応性蛋白)や赤血球沈降速度では、差が見られなかったものの、
IL-17 という炎症性のサイトカインは鍼治療群で減少し、
痛みのスコアとわずかに関連したと報告されています。

 

 

 

しかし、いずれの研究もも対象人数の少なさや、追跡時間の短さ等の課題があり、
この論文も対象としている論文数が少ないことを限界として述べています。

 

ご参考:記事概要
・Acupuncture for Aromatase Inhibitor-Induced Arthralgia: A Systematic Review. Integr Cancer Ther. 2015 Nov;14(6):496-502. doi: 10.1177/1534735415596573.https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1534735415596573?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

4つの試験
データベース等にて、2名の評価者が論文要約をスクリーニングし、
2014年5月までに発表された研究を採用。
【対象者】乳がん患者
【介入方法】鍼治療、耳鍼、鍼通電
【比較対象】偽鍼(非治療点)
【評価項目】主要評価 関節痛
      副次的評価 握力等の機能、血液検査値

 

 
 
 
 
 

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乳がんの内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛と鍼灸④

 

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こんばんは 謝敷です

 

 

 

前回は乳がんの内分泌療法による関節痛の概要をご紹介しました。

今回は、ガイドラインで参照されている論文のうち

 

 

 

早期乳がんの女性226名を対象に

鍼治療群、偽鍼治療群、何もしない群の3つのグループに分けた際の

内分泌療法(アロマターゼ阻害薬)による関節痛への効果を検討した論文をご紹介します。

 

 

 

鍼治療・偽鍼治療では共にまず、週2回のペースで6週間治療を受け、

その後週1回のペースでさらに6週間治療を受けました。

この研究での偽鍼は「ツボでない位置への浅い刺鍼」でした。

 

 

 

結果、研究開始から52週後の時点で、

鍼治療群では、鍼治療前よりも痛みのスコアが2.27点減少し、

偽鍼治療群では、1.46点、無治療群では1.55点減少していました。

 

 

 

年齢等の他の影響因子を調整しても、

鍼治療と偽鍼治療の効果の差は、1.08点、

鍼治療と無治療の効果の差は、0.99点と統計的に意味ある差があったと報告されています。

 

 

鍼治療と偽鍼治療は、24週までは統計的に効果の差は認められませんでしたが、

鍼治療と無治療群の間では、有意な差が認められました。

 

 

 

また、鍼治療と偽鍼治療の効果の差は52週目で最大となりましたが、

無介入との差は12週目の方が大きく、

52週目では、偽鍼治療と無治療の効果の差に統計的な差は認められなかったことから、

鍼治療では、治療後も効果が持続する可能性が示唆されたと報告しています。

 

 

 

また、この論文では、

鍼治療は、薬物療法に比べて副作用が一般的に限定されている点を利点として挙げていますが、

一方で保険で対応できないことが課題としても挙げられています。

 

 

 

 

また、鍼治療の効果機序について、

迷走神経が副腎系を刺激し、炎症を軽減した可能性があると記載しています。

 

 

 

 

ご参考:記事概要

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2798317

【デザイン】多施設共同RCT

【対象者】早期乳がん患者226名(鍼治療群110名、偽鍼治療群59名、無治療57名)

【介入方法】鍼治療 週2回×6週間の後、週1回×6週間(1回あたり30~45分セッション)

【比較対象】偽鍼 週2回×6週間の後、週1回×6週間(1回あたり30~45分セッション)

      無治療 何もしない

      いずれの群も24週目以降52週までの間に10回の鍼治療を実施

【評価項目】主要評価 52週目時点の関節痛のスコア(Brief Pain Inventory Worst Pain(BPI-WP))

      副次評価項目 疼痛重症度、こわばり、握力、Time Up & Go Test(身体機能)

 

 

 

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