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2016.09.27
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こんばんは 浅田です
前回までの話
死を受容する5段階プロセス 「エリザベス・キューブラー・ロス」
参照
前回は死を受容するプロセスの第3段階「取引」についてお話しました。
自分が死ぬと理解し始めると、「やっぱりまだ生きたい」という人間にとっての一番の欲望が出てきます。
その生きたいという想いを、神や仏など自分の信じる絶対的なものに願います。
願うことで気持ちが落ち着き、救われる人もいるようですが、願いは届かず病が進行していくケースが多いです。
「まだ生きたい」、「少しでも苦痛を取り除いてほしい」と願ったにも関わらず、助けてもらえなかった患者は次の段階へと移行していきます。
「取引」の次は「抑鬱」です。
死を受容する5段階プロセス 第4段階「抑鬱」
手術をしなくてはならない、
再入院しなくてはならない、
今まで無かった症状がいろいろ出てくる、
体力が無くなり身体が痩せてくるなど、
病が進行していくことで自分の病気を否定できなくなると、末期患者は楽観的な態度を取り続けることはできません。
無気力さや冷静さ、苦痛や怒り、望みは、すぐに大きな喪失感に変わります。
この段階でようやく、現在自分に起こっている状況を”現実的”に理解するのです。
そして様々な不安や悲しさが襲い掛かってきます。
夢の為に努力してきたのに断念せざるをえない、
まだやりたいこは沢山ある、
残された家族の生活費、
愛する家族にもう会えなくなるなど…
そして何より頭を悩ませるのが医療費です。
治療と入院が長引けば、経済的に負担がかかります。
近年では長期的に高額医療を支払う為に、財産さえも手放す患者も少なくはありません。
日本のように国民皆保険制度ではない国は特に多いそうです。
考えても答えが出ず、解決できない様々な悩みにブチ当たっていると、よりネガティブな思考になり抑鬱状態になっていきます。
普段健康である医療者側は、こういった患者の心情になったことが無い為、心から理解し共感してあげられることはできません。
その為、患者に向かって「悲しむな」とは絶対に言ってはならないのです。
誰だって、愛する者を失うのは何より悲しいことであり、それを我慢しても何も意味はありません。
抑鬱段階にいる間は、余計な明るい話もせず、「悲しむな、前向きに考えよう」などとも言わずに、そっと隣にいてあげることが患者の心を落ち着かせます。
こちら側の介入は必要とせず、話を聞いて、髪を撫でたり、手を取ってあげれば、感覚でお互い理解し合えるからです。
親戚や友人がお見舞いに行くのも、この段階に入る前が良いかもしれません。
自分が置かれている状況を現実に理解し、どうすることもできない不安やもどかしさに悩まされ続けるこの「抑鬱」段階は、精神的に一番辛い時期だと思います。
気持ちが塞ぎ込まれれば塞ぎ込まれるほど、症状も悪化し、悪循環のサイクルへと入ってしまいます。
このサイクルから抜け出し、次の「受容」の段階へ安らかに導くには、家族や医療者の心を通わせた対応が重要なのです。
続く…
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