東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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鄭声(ていせい)とは

2024.04.09

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「鄭声(ていせい)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
鄭声とは意識が混濁して弱い声でつぶやくように、繰り返し同じうわごとを言うことを指します。
 
 
 
疾病の末期にみられ、危篤状態といえます。
 
 
 
鄭声は、譫語とは異なります。
 
 
 
譫語は声高で力のあるうわごとであることが特徴で、実熱証であることが多いです。
 
 
 
鄭声は、疾病末期の危篤状態であり、精気が亡失しかかっているため、声が低く息切れし、つぶやくように繰り返しうわごとを言う特徴があります。
 
 
 
この場合、顔色は衰微し、呼びかけても無反応で、神虚の範疇に属します。
 
 
 
『傷寒論・弁陽明病脈証並治』に「実すればすなわち譫語し、虚すれば鄭声す、鄭声は、重語なり」と述べられている通りです。
 
 
 
弁証分類は、主に次の2つです。
 
 
 
1.亡陰の鄭声
 
2.亡陽の鄭声
 
 
 
以上のいずれも危篤な状態です。
 
 
 
亡陰の鄭声は、ひどい嘔吐や下痢、高度の発汗、産後の出血、外傷による出血、長期間の熱邪の持続などにより、陰精が消耗して心神が散乱することで発症します。
 
 
 
弁証のポイントは、眼が落ちくぼむ、肌膚が熱くて乾燥、手足が温かい、やや粘稠な発汗、口渇して喜冷飲、呼吸促迫、口唇・舌が紅く乾燥、脈はが虚大で数などの熱証を呈することです。
 
 
 
治法は、救陰斂陽を用います。
 
 
 
亡陽の鄭声は、亡陰が進んで起こることが多く、慢性病で元気が衰微したり、強い寒邪による元陽の暴脱や心気の耗散でも生じ、真陽が亡絶しかかったことで発症します。
 
 
 
弁証のポイントは、激しい発汗、四肢が冷たい、顔面蒼白、呼吸が微弱促迫、口渇が無い、熱飲を好む、口唇や舌が淡白あるいは青紫、脈は微などの寒証を呈することです。
 
 
 
治法は、回陽救逆を用います。
 
 
 
以上のように、鄭声は亡陰と亡陽の区別がありますが、亡陰は陽気が付随するところがなくなって散越し、亡陽は陰液が化生されないために亡失する為、それぞれ関連しあって出現します。
 
 
 
病の流れとしては、亡陰から亡陽に発展することが多いです。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 
 

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