東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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立春と陰陽

2013.02.02

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こんばんは、森岡です(^_^)


今日はまさに春を感じさせるポカポカ陽気。

それもそのはず、明日から二十四節気では「立春」に突入です。


明日は再び寒さが戻るようですが、これから春の兆しがちらほら顔をのぞかせ始めることでしょう。




春という季節は冬で陰が極まり、打って変わって陽気が盛んになってくる季節です。


ですから自然界でも陽気の性質である「熱」が盛んとなり気温が上昇します。




また春には草花の芽が息吹き始め、木々が上へ上へ生長し始めます。


これらを発見した古代人たちは五行(木火土金水)において「木」を春に配当しました。


「木」の性質として「曲直(きょくちょく)」があります。


これは事物が、


成長したり、上向き外向きに伸び昇っていく様


を表現した言葉です。




東洋医学は天人合一思想。



自然を大宇宙とすると人間は小宇宙であり、そこには相関性があると考えました。


ですから、自然界で陽気が盛んとなる春において、人間の体においても陽気が盛んとなると考えました。


たしかに、陰の極みである冬より、春のほうが相対的に行動的になりますし、


気持ちも明るくなりやすいですよね。




また、人体の五臓六腑で「春」や「木」の性質を担っている臓腑は「肝の臓」です。


この「肝の臓」の働きがより活発になるのが「春」です。



(この辺りのお話は、院長ブログでも頻繁に触れられておりますのでコチラからご参照ください。)




しかし、この春に体調を崩す方がいます。


それは、


もともと「肝の臓」に変調をきたしている人や、体に余分な熱を溜め込んでいる人などです。




これらの人は、春にさまざまな症状を発症する事があります。


身近なものとして「花粉症」や「めまい」(メニエール氏病などは春に多く発症しますね)などがあります。



まさに”季節病”といっても過言ではありません。



自然界の陽気が盛ることで人体の陽気も盛る。



が、しかし、


余分な熱をこもらせている人や、肝の臓に異常がある人は、


春になることでさらに熱が過剰となったり、「曲直」の性質が強くなりすぎてのぼせたりします。



自然界にとっても身体にとって必要な陽気も、


それが”過剰”になれば「邪気」として体にに害を及ぼすと悪いうことですね。



そうすると上記の症状を呈しやすくなってきます。



ですから、基本的に、


春は余分な熱を排出して、肝の臓の状態を整えておくことで多くの症状を緩和することができます。



しかし、過剰な陽気ばかりにとらわれていると治療がウマくいかないこともあります。。。



最近出くわしたそんな症例を一つ。


以前から、アトピー性皮膚炎で鍼灸治療をしている患者さん。


初診時は酷かったアトピーもここ最近では、ほぼ症状が出ないくらいまで落ち着いていた。


しかし、数週間前から皮膚の痒みとガサガサ感が出現。


この方は元々体に熱がこもりやすく、肝の異常がある方。


特に悪化のきっかけもなかったため、


「春に影響され、肝の臓の異常から熱が過剰になった」と考え、


肝の臓を整えながら熱邪をさばく治療を数回。



以前も春に悪化することがたびたびあり、その都度、


上記の処置で緩解していたため、今回もそんなに心配していなかった私。



しかし、一向に良くならない・・・。



たしかに熱が過剰になっている所見もあるし、肝の臓の異常を示す反応も痒みが出てからきつくなっている。



しかし、治らない。



熱邪じゃないのか・・・?



熱邪が過剰になった時起こることとは???



そこでハッとする。




水だ!!




陽邪が過剰になれば相対的に陰気が損傷される。


陰気の弱り。


この場合は、熱邪が盛んとなったことで体のお水が乾かされ、「陰虚(いんきょ)」という状態が生まれる。


この痒みに対して直接的に関わっていたのは、熱邪とか肝の臓の異常というより、


お水の不足、つまり「陰虚」の方でした。


また、よく問診をすると水の不足を引き起こす素地もあったことが分かりました。


そこで、この陰虚を治療すると痒みが見事に引いていきました。



さらに五行でみると、


「木」は根っこから「水」を吸収することで成長していきます。


この「水」の不足は「木」の異常、つまり肝の臓の異常を引き起こしやすくなります。



まとめると、


水不足(陰虚)の素地 → 春になり陽気が盛んとなり熱邪や肝の蔵の異常が発生 → さらなる水不足(陰虚) → アトピー悪化


というメカニズムですね。



陰陽論とは常にこういった相対的な動的平衡を考えながら展開されていきます。


この平衡が崩れたものが病です。



と考えると、


やはり基本をしっかり身に付けておかないと陰陽論を駆使して治療をすることができませんね。





賛成の反対は賛成なのだ。   by バカボンのパパ



ということですかね(笑)



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