東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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単腹脹大(たんぷくちょうだい)

2023.01.19

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「単腹脹大(たんぷくちょうだい)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
単腹脹大(たんぷくちょうだい)は、「鼓脹(こちょう)」「単鼓(たんこ)」とも呼ばわれ、腹部のみが膨大膨隆し、体幹、四肢がやせ細る状態を指します。
 
 
 
単腹脹大と「腫満」は異なり、腫満は浮腫であり、多くは眼瞼、四肢に始まり全身に及ぶ特徴を持ちます。
 
 
 
単腹脹大は、お腹だけが膨隆し、四肢には浮腫がみられないことが多いですが、重篤になると四肢に浮腫がみられるようになります。
 
 
 
『医学心悟・腫脹』は、「水腫と鼓脹は何をもってこれを別つや?答えていわく、眼窩と足まず腫れ、後に腹大するもの、水なり。まず腹大し、のち四肢腫れるもの脹なり」と記載されています。
 
 
 
単腹脹大と「腹中痞塊」は区別しなければならず、腹中痞塊は腹腔内の腫瘤で、脹った感じや疼痛を伴う特徴をもちます。
 
 
 
単腹脹大にも腹中痞塊がみられるものの、痞塊は慢性的で固定性であり腹壁に静脈怒脹が生じ、症状は腹中痞塊よりも重篤であり、腹中痞塊の出現が単腹脹大の前兆となることが多いとされています
 
 
 
『医門法律』では、「およそ癥瘕積聚痞塊を有するもの、すなわち脹病の根を呈し、日積月累すれば、腹大なること箕のごとく、腹の大なること瓫のごときは、これ単腹脹となす」と述べられています。
 
 
 
単腹脹大は、気滞、血瘀、水停などが原因で次第に形成されますが、まずは肝気鬱結が生じて、次に脾の運化が失調して水湿が内停し、さらに気滞血瘀が加わることで増悪します。
 
 
 
一般的には実証から虚証に移行したり、虚実挟雑したりします。
 
 
 
治療原則として、実証の場合、祛邪主体としつつも扶正を忘れてはならず、虚証の場合は扶正を主体としつつも、少々祛邪の処置を入れつつ治療を進めていくことが挙げられています。
 
 
 
初期にも攻伐が強すぎるのはよくなく、速効を期待することはかえって危急状態に陥らせることもあります
 
 
 
また、後期には辛辣温補が過ぎると増悪を招くことがあるとされています
 
 
 
『格致余論』では、「医者は病の虚に起きるを察せず、効をなすを急ぎ、炫いてよく賞を希み、病者は脹急に苦しむに、行利薬をもって一時の快を求めるを喜(この)み、寛を得ること一日半日を知らず、その脹は愈(ますます)甚しく、病邪甚しきなり」と指摘されています。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 

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