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信頼関係を築くには(その7)

2011.02.06

こんばんは、森岡です(^_^)

信頼関係を築くには(その1)

信頼関係を築くには(その2)

信頼関係を築くには(その3)

信頼関係を築くには(その4)

信頼関係を築くには(その5)

信頼関係を築くには(その6)

少し間が空きましたが続き行きます!!

「共感的理解」

これはクライアントの苦悩を、最大限の想像力と共感能力で自分自身の感情として理解してあげることです。

つまり感情移入」によって、クライアントを深い次元において理解していこうという態度です。

この「共感」ですが、普段皆さんが使っている”共感”とは若干意味合いが変わってきます。

よく友達などと話していて「あーそれは共感できるなぁ」とか「それに関しては共感しかねる」などと思うことがあると思います。

この共感は、”自分自身の物差し(価値観)”が基準となっています。

自身の価値観に沿うか、沿わないか、が判断基準です。

これは”同情”とか”同意”と言われるものです。


しかし、ここでいう「共感」とは、

”クライアントの物差し(価値観)を理解し共有する”

という態度を重視します。


つまり、クライアントの物差しをできるだけ理解し、なぜそのような状態になってしまったのかを一緒に建設的に考えていくということをします。

だから感情移入的に聞く訳です。

クライアントになりきるのです。

しかし、この共感的理解には欠点があります。

それはクライアントの”感情に巻き込まれる”ということです。

クライアントの物差しを理解し、なりきって話しを聞いていると、そのままクライアントの感情に飲み込まれ、同じ状態になってしまうということが起こります。

つまり、クライアントが悲しいと思っていれば、自分も悲しくなって落ち込んでしまったりします。

臨床をしていても、心が病んでいる患者さんを治療し終わった後、どっと疲れてしまうこととかありますよね。

これもその一種じゃないかと思います。

そして、そのクライアントと離れてからも、その人のことが心配で心配で気になってしまったり、

自分の言ったアドバイスが本当によかったんだろうか、いや悪い方向に行ってしまうんじゃないかなどと、四六時中考えてしまったりします。

こうなると正常な判断ができなくなります。

クライアントのためにいろんなことをやってあげたくなっちゃたりします。

そして、よかれと思ってやったことが逆に、クライアントにとって不利益となる場合だってあります。

例えば、

彼氏にフラれてもう何もやる気が起きない。

でも学校の課題があり一週間後に提出しなければならない。

という人がいたとします。

感情に巻き込まれ、正常な判断ができなくなると、

「かわいそうだな。それはつらいな。じゃ課題を手伝ってあげるよ」

となります。

この時の正解は、その状況をどう脱出して、その人自身が課題ができる状態にもっていかせることです。

決して付焼刃的に手伝うことではありません。

しかし、正常でない思考では、手伝うことがその人の苦しみを和らげる方法であるとしてしまうのです。

これをすると”依存”を生んでしまいますね。


こうならないポイントは”あたかも”ということを忘れないことです。


クライアントの気持ちを感情移入し、理解するのだけども、それは、

”あたかも自分が感じている気持であるかのよう”に行っている行為だということを冷静に念頭に置いておかねばなりません。

これができていれば、クライアントの感情に巻き込まれることはありません。

そして、クライアントに共感できれば、それを相手に伝えることも重要です。

「あなたが感じているのはこんな感じに違いありませんか?」と。

もしわからなければ「その時あなたはどう感じたのですか?」と素直に聞くことも重要です。

このようにしていくと、共感的理解がもう一歩深い次元となり、クライアントは

「解ってもらえた」

という感覚が湧きます。

こうしてまた一つ「信頼関係」が構築されるのです。


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この記事に関するコメント

“信頼関係を築くには(その7)” への2件のフィードバック

  1. はる より:

    とても興味深く、楽しく読ませて頂いてます。クライアントとカウンセラーの関係程深いものではないですが、日常の人間関係においても似たことが言える気がします。
    自分と他者は、当たり前ですが、「違う」という意識を根本に持っていると、飲み込まれずにスーッと軽くなるように感じます(ちょっと例えが違うかな?)
    例えば、病院にお見舞いに行った後とても疲れることがありますが、これも感情に巻き込まれるという一種なのでしょうか?

  2. すたっふ より:

    はるさん
    はじめまして。
    コメントありがとうございます(^o^)/
    > とても興味深く、楽しく読ませて頂いてます。
    ありがとうございます!!
    > 自分と他者は、当たり前ですが、「違う」という意識を根本に持っていると、飲み込まれずにスーッと軽くなるように感じます(ちょっと例えが違うかな?)
    自分を理解していれば、他者との「相違性」や「相似性」がよく見えてきますよね。
    そうすると、許容範囲が広がり、心に余裕が出来ると思います。
    > 例えば、病院にお見舞いに行った後とても疲れることがありますが、これも感情に巻き込まれるという一種なのでしょうか?
    病院というある種の特殊な「場」に飲み込まれているのかも知れないですね。
    また、辛い相手を気遣う訳ですから感情にものみ込まれやすいでしょうね。

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