東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「悪心・嘔吐」と鍼灸(その8)

2013.11.24

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こんばんは、森岡です(^_^)


前回までのお話・・・


「悪心・嘔吐」と鍼灸
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その2)
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その3)
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その4)
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その5)
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その6)
「悪心・嘔吐」と鍼灸(その7)

続き行きます!! 

前回は『傷寒論』の六経弁証における「少陽病」と「悪心・嘔吐」について少し触れました。


今回は、少陽病でなぜ「悪心・嘔吐」が起こるのか?


です。



少陽病の「少陽」とは三焦を指します。


少陽胆経と少陽三焦経はともに体の側面を走行し、身体の前面と後面の中間に位置し、


これらを連絡し、関係を緊密にするという重要な役割を担っています。


それゆえ、


少陽は表裏、前後、左右、上下など全身を結ぶ要(かなめ)のような働きを持っています。



『素問 陰陽離合論』に「少陽は枢なり」と記載され、 少陽は様々なものの中間に位置し、


蝶つがいの様にバランスをうまくとる枢軸であると考えられております。



ですから、「少陽」を示す場所を人体で考えると、


心下部、胸脇、膈膜(ちょうど季肋部あたり)、人体側面など広範囲に渡ります。



上記の内容から、少陽部位は表と裏の中間である、


半表半裏(半分表、半分裏)」


と呼ばれることもあります。



そして少陽病は、この少陽部位で侵襲した寒邪と正気が争っていることを指します。



正気と邪気が争うことで、気機は停滞し、火邪が発生し、


少陽病の主症状である口苦、咽乾、目眩などが出現します。 



少陽病は先ほども言いましたが、胆と三焦の病変です。


その中でも、中心はです。


そして、胆と表裏関係にある臓は肝です。


肝の主な働きは疏泄作用です。


(肝・胆の働きについては院長ブログ参照)



ですから、少陽病になると胆→肝と機能失調が波及し、


肝の疏泄作用が失調することで気機がスムーズにめぐらないという事態に陥ります。



この疏泄作用は気をめぐらせる働き以外に、


脾胃の運化作用(主に飲食物の消化・吸収作用)を補助し、胆汁の排泄を促します。


(脾・胃の働きについては院長ブログ参照)



東洋医学における胆汁(精汁)の働きは、


やはり、脾胃の運化作用を円滑に行わせることにあります。



ですから、少陽病となるとこれらが全体的に上手くいかず、


脾胃の機能に甚大な影響を及ぼすことになります。



少陽病から、疏泄がうまく行かず、


中焦脾胃の気の停滞が増長されると胃の和降作用が失調し、胃気が上逆し、


「悪心・嘔吐」が出現するということです。 



この少陽病の治療は『傷寒論』では、主に「小柴胡湯(しょうさいことう)」とされております。



鍼灸では少陽にいる寒邪を駆逐し、気の停滞を取り除いてあげればいいのですから、


胆経や三焦経にある経穴を使って治療してあげればよいと思います。 



この様に、「悪心・嘔吐」にもさまざまな病機があり、


そのいずれかによって治療法も大きく変わることが分かりますね。



次回は、「船酔い」についてです。 



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