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こんばんは、森岡です(^_^)


臨床経験の中で必ずといってよい程出くわす「転倒」という現象。

特に、高齢の方の治療に携わっていると経験しないほうが少ないのではないでしょうか？


ある日、患者さんがまるで前日にボクシングの試合でもしてきたかのように目の周りや、あらゆるところに内出血を作った姿で現れ、


「先生、やっちゃいました・・・（苦笑）」


なんて場面に出くわすことは結構あります。



若人ならともかく高齢者の転倒は致命傷にもなりかねないので、非常に肝を冷やします。。。



これら転倒による怪我は外傷なので、鍼灸治療によって治癒が早まることは言うまでもありません。


（外傷と鍼灸に関しては院長ブログ参照）



ですから患者さんには、


「鍼灸治療すれば早く良くなりますよ」


といって治療しています。



実際、最近も数例診ましたが、シップを貼って安静にしているよりは、鍼灸治療を行ったほうが治り方が数倍は早いですね。



ただし、単純に転んだといっても意外と治し方は難しかったりするんです。


なぜなら、転倒をすることで大きく体のバランスが崩れていることがあるからです。


転倒とはほとんどが”不意の出来事”であるため、


その勢いや衝撃、負荷は思いのほか強く、これによって気血が大きく偏ってしまうことがあります。


イメージとしては、身体をまん丸の水風船だとすると、


転倒の衝撃によって楕円形（だえんけい）に歪んでしまったと言った感じでしょうか。


歪んだからその部分の気血の流れは滞り（中医学でいう”気滞血瘀（きたいけつお）”というやつです）、


偏りができてしまうのです。



この気血の偏りを正確に分析し、治しておかないと、


治りが悪かったり、アンバランスが是正されないため再度転倒しやすくなったりしてしまいます。



そのため、患者さんには、「どの様に転倒したのか」を詳細に聞きます。


前につんのめるように転んだのか、斜め前に転んだのか、真横に転んだのか、真後ろに転んだのか。


膝を先についてから手をついたのか、片側全面を一気に打ちつけたのか、尻もちをついてから頭を打ったのか。



また、内出血屋や切傷がどの経絡上にあるのかも重要です。



これらを鑑みながら体表観察をし、気血の偏りがどの経絡や臓腑に影響してしまっているのかを鑑別します。


（その逆で、どの経絡、臓腑の異常で転倒してしまったのかも同じように重要ですね。）



また、難しいのが単純に転倒した方に気血の偏りがあれば分かりやすいのですが、


全く違ったところに偏りができていることもあります。


（例えば打撲箇所とは反対とか、上半身を打ったのに気血の偏りは下半身に強いとか、、、。）


こういったケースは気血の偏りのバランスが複雑になっており、治りにくかったりします。



さらに、内出血などがひどい場合、治療ポイントを同側にもってきてしまうと、


一過性に非常に強い痛みが出たりすることもあります。


（特に、急性期や気血の停滞がキツイ時など）



ですから、単純に「転倒」といっても緻密な分析を必要とし、これが上手くいかないと早く治っていかないばかりか、逆に、痛みやアンバランスを増長してしまう結果となります。



いくら鍼が効く効くと言っても、しっかりとした診断治療ができなければ病気は思い通りに治ってくれないというのが本当のトコロです。 



ただし、しっかりと治療できれば患者さんも驚くような速さで治っていきますし、


今後の転倒予防にもつながりますので、ぜひ鍼灸治療を提案してあげたいところですね☆ 



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