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膀胱炎に猪苓湯

2013.03.10

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こんばんは、森岡です(^_^)


よく膀胱炎になる患者さん。

その患者さんが先日チラッと、


「膀胱炎に漢方薬を出されたんです」


と仰った。



こういった場面に出くわすことは少なくない。



特にここ最近、西洋医学において漢方薬が取り上げられ積極的に使用する医師が増えているからだ。


その理論をよく理解せずに・・・。


こういった時は、すかさず何を処方されているのか聞いた方が良い。


なぜなら、その処方により症状が緩解したのか、悪化したのか、不変だったのか、で鍼灸治療におけるヒントを得ることができるからだ。


湯液(漢方)の理論と鍼灸の理論は、その原点をどちらも『黄帝内経』とし、基本的には大きくは相違しない。


(完全には一致しないですが。) 


となると、その漢方が効いたか効かなかったかは重要である。



その患者さんは、


「猪苓湯(ちょれいとう)」


を処方されていた。



猪苓湯は漢方における聖典『傷寒論(しょうかんろん)』にて登場する方剤である。



猪苓湯は、


猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、阿膠(あきょう)、滑石(かっせき)から組成され、 


その効能は、


「利水清熱」 「滋陰」


である 。


つまり、


水分代謝をよくし、小便をつけることで、湿邪と熱邪を排出し、陰を助けましょう ~。


という治療法です。



『傷寒論』の中では、「陽明病」と「少陰病」に登場します。



「陽明病」では、陽明熱証を誤下した後に、


「若脉浮、発熱、渇欲飲水、小便不利者、猪苓湯主之。」


と出てきます。


「陽明熱証に誤って下法を行った後に、浮脈となり、発熱し、口渇があって水を飲みたがり、小便が出ない時は、猪苓湯で治しなさい。」


という意です。(by森岡意訳) 


次いで「少陰病」では、


「少陰病、下利六七日、欬而嘔、渇、心煩、不得眠者、猪苓湯主之。」


です。


「少陰病に罹患し、下痢が6~7日続き、咳嗽、嘔吐、口渇が出現し、心煩し眠れない時は、猪苓湯で治しなさい。」 


という意です。(by森岡意訳) 



どちらも病理は、


下焦において虚熱と湿邪が結び付き、水熱互結(すいねつごけつ)という状態となっているものです。



これは、”火”と”水”という相反する邪が結びついてしまった非常に厄介な状態です。


これを治すには猪苓湯が良いという訳です。



決して原典には「膀胱炎に効く」なんてことは出てこないのです。



確かにこういった病因病理から、西洋医学でいう膀胱炎様の症状を呈することはあります。


しかし、これはあくまで水熱互結という病因病理から生じた膀胱炎であり、


膀胱炎=水熱互結とはなりません。



こういったことが分かっておらず、膀胱炎=猪苓湯という処方の仕方をすることは極めて危険なのです。


(モチロン間違った処方で治療をすれば身体は悪くなります。(まぁ、副作用とでもいうのでしょうか・・・))



いつの日か、キチンと東洋医学が理解される日が来ることを願いますデス。。。 




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