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正岡子規の「病牀六尺」

2011.02.05

こんばんは、松木です。

先日とある患者さんと俳句の話になりましたので、ちょっとそれにまつわる事を書こうと思います。

私は以前は俳句なんて何がいいのやらイマイチよく分からなかったのですが、いつだったか俳句の持つ「間」や「リズム感」に興味を持ってからは、急に好きになった経緯があります。

そんなきっかけで、あるとき正岡子規の「病牀六尺」という本を読みました。


これは正岡子規が結核から脊椎カリエスを発症してから、子規が亡くなる2日前まで書き続けていた随筆集です。(実際は弟子の高浜虚子の口述筆記だそうですが)

今でいうブログみたいなもんですね。


蒲団から起きることもままならない子規にとっては、六尺の病床が自分の世界である、ということがタイトルになっています。

淡々と食べたものの事が書いてあったり、
もし起きれたら行ってみたい所のリストを書いていたり、
時に病について悲痛な思いを書いていたりします。

しかし、どこか客観的に書いてあるので感傷的になりすぎずに読んでいく事ができます。


我々が日々接している患者さんも、この子規が書いているような心理状態である人も少なくないように思います。

私はまだ若くて健康ですから、患者さんの気持ちを心から共感することは残念ながらできません。

しかし、このような本を読むことで、ほんの少しでも患者さんの気持ちが理解できるようになればと思っています。


最後に「病牀六尺」の中で、印象に残っている箇所を引用して、終わりにしたいと思います。


余は今まで禅宗のいはゆる悟りといふ事を誤解して居た。

悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思つて居たのは間違ひで、

悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた。




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