東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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線維筋痛症と鍼灸⑦

2024.02.18

 

 

 

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こんばんは 謝敷です^^

 

 

前回は、線維筋痛症のCochranレビューで参照されていた論文での課題について
評価項目についてと治療点の理論的根拠についてご紹介しました。

 

 

今回は偽鍼と有害事象について取り上げていきたいと思います。

 

 

 

▽比較対象としての偽鍼治療

 

鍼治療の効果と比較する対象として、偽鍼が用いられていました。
この偽鍼とは、どのようなもの(方法)が理想なのかについて、
まだその解が出ていないという点が指摘されています。

 

 

 

今回参照した論文では、刺さない鍼(非侵襲的な鍼)が4件、
治療点からずれたところに鍼を刺入するものが3件、
治療とは無関係なポイントに鍼を刺入するものが1件ありました。

 

 

 

刺さない鍼については、
線維筋痛症患者の筋肉の血流と、健康な対照者の筋肉の血流を比較した試験において、
健康な人では経穴への深く鍼を挿入した場合にのみ血流が増加したけれど、
線維筋痛症患者では浅い刺入でも深い刺入でも同様に効果があったことが報告されており、

中枢神経系の機能不全 (中枢感作) に起因する線維筋痛症患者さんでは、
刺さない鍼でも、十分に痛みを抑制する体の機能を活性化させる可能性が指摘されています。

 

 

 

また、治療点をずらしたり、それ以外の点に刺入するという偽鍼の方法についても、
皮膚のどこかに鍼を刺すと、何らかしらの形で体は反応するため、
効果が生じてしまうのではないか、という指摘もなされています。

 

 

 

さらに、患者さんの期待や、患者さんと治療者の関係等によるプラセボ効果についても、
鍼鎮痛を説明するメカニズムの 1 つと考えられ、
鍼治療は複数の要素を含む複雑な介入であることも指摘されています。

 

 

 

比較対象として、鍼の効果を完全に除外したような「偽鍼」については、
その方法について検討が必要なようですね。
北辰会では刺さない鍼でも治療を行い、実際に身体が変化している例を見聞きしていると、
そもそもこの偽鍼の定義や解釈、様々な前提に疑問が湧いたりもします笑

 

 

 

 

▽有害事象についての一貫性

論文によって「何を有害事象とするか」の判断が一律でないことが指摘されています。
鍼を刺入した際の痛みや、鍼をした後の脱力感を有害事象とするか、
はたまた鍼による正常な反応と判断するかの判断は研究によって異なっているようです。

 

 

 

また、施術担当者によっても、出血や刺入時の痛みの報告頻度には大きな差が生じており、
何を「有害事象」とするか、施術者の違いへの検討等、
鍼を介入とする研究でのコンセンサス形成が必要であることが指摘されていました。

 

 

 

 

鍼のEBMにおける課題が沢山述べられていましたね。
私も常々これらの課題について考えています。
各項目について新たな方法の有無も含めて広く検討し、
鍼灸でも適切なエビデンスが形成できるよう検討していきたいです!

 

 

 

ご参考:記事概要

9つの試験(365名)

データベース等にて、2名の評価者が論文要約をスクリーニングし、
2011年12月までに発表された米国、スイス、ブラジル、日本、中国での研究を採用。

【対象者】米国リウマチ学会の線維筋痛症分類基準にて線維筋痛症と診断れた18歳以上
【介入方法】鍼灸治療(経皮電気刺激療法、赤外線、レーザー、デジタル圧力、刺さない鍼は除外)
【比較対象】偽鍼、認知行動療法、薬物、運動療法
【評価項目】主要評価 痛みの強さ、身体機能、幸福度、睡眠、疲労、朝のこわばり、有害事象
      副次的評価 圧痛、精神的な健康、鎮痛剤の使用、症状変化、介護者による全体的な健康状態

 

 

 

<参考文献>
・Cochranレビュー 線維筋痛症
https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD007070.pub2/full#CD007070-abs-0001

 

 

 

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