東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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出産時の痛みの軽減のための鍼灸②

2023.12.24

 

 

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こんばんは 謝敷です^^

 

 

 

今回は出産時の痛みに対する鍼灸治療のCochran評価をご紹介致します。

 

 

 

 

痛みの強さについては Visual Analog Scale: VASという方法を用いて記録されました。

これは10㎝の線の上に、0を全く痛みがない、10を一番強い痛みをとして、マークをつけてもらうものです。

 

 

 

その他、痛みが完全に除去されたとしても、出産体験に満足できるとは限らないようで、

妊婦さんの主体的な体感や、妊娠・出産時の意思決定がこうした出産時満足度に大きく影響するようです。

多くの女性は、分娩時の痛みを軽減するための薬理学的または侵襲的な方法を避けたいと考えており、

鍼灸などの補完的な痛みの管理方法が貢献している可能性が示されています。

 

 

 

鍼が出産時の痛みに効果を及ぼす機序については、色々な理論が示されていますが、

自律神経やホルモンの変化を介して、脳の特定領域で痛みの知覚変化につながる可能性、

鎮痛効果のあるオピオイドと呼ばれる物質が放出される可能性等、

鍼の局所的・中枢的なメカニズムの両方がある可能性が示唆されています。

 

 

 

さて、鍼灸で、出産時の痛みは変化するのでしょうか。

 

 

 

▽偽鍼との比較

鍼治療と偽鍼と比較した場合、痛みの強さにほとんど差は見られなかったようですが、

鎮痛に対する満足度を高める可能性は示唆されており、

満足度は「非常に良い」から「悪い」までの4段階評価で、

鍼治療は偽鍼に比べ、鎮痛に対する満足度を高め、

鎮痛のための服薬を減らす可能性もあると報告されています。

 

 

 

▽通常治療・無治療との比較

痛みの強さについては、エビデンスのレベルが低く効果は不明または非常に低い、

鎮痛の満足度については影響を及ぼさない可能性が報告されています。

また、鍼治療が鎮痛剤を減少させるかも不明です。

ただし、副次的な結果として、鍼灸を受けた女性では産後の出血率が低下する可能性が報告されています、

 

 

 

今回検討した研究28件の研究のうち、8件は中国医学が適用されていますが、

他大部分の研究では、決まったツボを使用しており、鍼の本数や深さ、置鍼時間等は不明なようです。

一般的に使用されていたツボは、

SP6(三陰交)、LI4(合谷)、BL23(腎兪)、BL32(次髎)、HT7(神門)、

GB34(陽陵泉)、LR3(太衝)、ST36(足三里)、PC6(内関)、BL67(至陰)と報告されていました。

 

 

 

 

また、今後の課題として、エビデンスの質の向上のほか、

分娩のコントロール感や出産経験の満足度、痛み軽減の満足度、

新生児の転帰、鍼灸師の熟練度や患者との関係を考慮に入れた研究などが必要であることが指摘されています。

 

 

 

出産時に、どのようなタイミングで治療がなされていたのか、論文によっても差が大きそうですね。

コクランレビューとしてトピックはあっても、

実態としてはエビデンス不足のために評価できていない項目が多いことが分かりました。

 

 

 

鎮痛と満足度で評価が異なるという視点が、個人的には興味深く思えました。

 

 

ご参考:記事概要

データベース等にて、2名の評価者が論文要約をスクリーニングし、

2019年2月までに発表された28件(鍼:13件、灸15件)の研究(3,960名)の効果について検討。

採用された論文は、中国、スウェーデン、ブラジル、トルコ、デンマーク、インド、韓国、フィリピン、台湾、イギリスの論文。

 

【対象者】自然・誘発分娩による出産(単胎・多胎含む/初産・経産含む)

【介入方法】鍼灸治療(耳鍼含む)または指圧

【比較対象】偽鍼、無治療、非薬理的介入

【評価項目】主要評価 痛みの強さ(Visual Analog Scale: VAS)

      副次的評価 鎮痛に対する満足度、分娩中のコントロール感、

            出産体験の満足度、鎮痛剤の使用、安全性、副作用

 

<参考資料>

・Cochran Library 

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD009232.pub2/full#CD009232-abs-0001

 

 

 

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