東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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背冷(はいれい)とは

2023.03.16

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「背冷(はいれい)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
背冷とは、背部の冷感を指します。
 
 
 
背冷は、表証でも裏証でもみられます。
 
 
 
五臓六腑の兪穴はすべて背部にあり、臓腑の気血はすべて兪穴に注入し、陽経は背部をめぐるため、経絡、臓腑はすべて背部に連絡しています。
 
 
 
その為、外感風寒と臓腑の陽気の衰えと関係が深いといえます。
 
 
 
『丹渓心法・痰』には、「背心の一片常に氷冷なすは、……みな痰飲の致すところなり。よく痰を治す者は、痰を治さずして気を治し、気順(めぐ)ればすなわち一身の津液はまた随いて順る。」と記載があり、治療の参考となります。
 
 
 
弁証分類は主に3つあります。
 
 
 
1.外感風寒の背冷
 
2.陽虚寒盛の背冷
 
3.痰飲内伏の背冷
 
 
 
まずは、外感風寒と陽虚寒盛の背冷についてです。
 
 
 
いずれも寒証ですが、外寒表証と内寒裏証の違いがあります。
 
 
 
外感風寒の背冷は、外感の初期にみられ、風寒が肌表に侵入して外束したために発生します。
 
 
 
特徴は、背部の悪寒のほかに発熱、頭痛、脈浮などの表証がみられることです。
 
 
 
治法は、解表、祛風散寒を用います。
 
 
 
次に陽虚寒盛の背冷についてです。
 
 
 
これは、虚弱者で陽気が衰えたことで内寒が生じたことによって起きます。
 
 
 
特徴は、背部が冷えており、暖めると心地よく、痛みも軽減する特徴をもちます。
 
 
 
また、四肢の冷え、尿量が多い、泥状〜水様便、舌苔白膩、脈沈遅などの陽虚陰盛の症状がみられることです。
 
 
 
治法は、温経助陽、散寒化湿を用います。
 
 
 
次に、痰飲内伏の背冷についてです。
 
 
 
陽虚寒盛と同じく陽虚の裏証ですが、痰飲が病因である点が異なります。
 
 
 
痰飲内伏の背冷は、慢性病による体力消耗や高齢化による衰弱で脾腎陽虚となり、脾陽が虚して運化が低下すると痰飲が貯留し、痰飲が陽気の散布を障害して生じます。
 
 
 
心兪は、背部にあるため、留飲により陽気の輸送が障害されると、背中の一部が冷えて痛みます。
 
 
 
弁証の要点は、『金匱要略』に「それ心下に留飲あれば、その人背寒なること掌大のごとし」とあるように、背中に氷をあてられたように悪寒し、さらに脾腎陽虚の症候を伴うことです。
 
 
 
治法は、健脾除湿を用います。
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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