東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「気」の字解き 9

2014.10.12

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これまでのお話


「気」の字解き 
「気」の字解き 2 
「気」の字解き 3 
「気」の字解き 4  
「気」の字解き 5 
「気」の字解き 6 
「気」の字解き 7 
「気」の字解き 8
    参照

 

では続きいきます。

 

さて、長々と書いてきた「気」の字解きシリーズも、今回でいったん区切りにします。

 

今回はちょっと番外編的な感じです。

 

◆「炁」という文字について

 


ここまで、あーだこーだと「気」という文字について解説してきましたが、その中で、この「炁」という文字だけは、毛色が違いました。

 

・・・で、今日は、

”何なんだ、この字は!?”

というお話です。

 

この字は、「気」と同じ意味なんだけども、とりわけ「道教」の世界で用いられる字、とされております。

道教についてはカテゴリ 道教・道家思想 参照

 


これは、何故なんでしょうか。

 


・・・で、手持ちの道教関係の本や、「気」に関して研究されてる本や論文やネットをザーッとあさってみたんですが、なんと、ハッキリしたことは分かりませんでした!!(*‘∀‘)

 

誰か詳しい人、教えてください!!<m(__)m>

 

 


・・・で、このまま引き下がるのも悔しいので、とりあえずこういう場合は、「炁」「旡」「灬」に分解して意味を考え、なぜ道教においてはこっちの字を使うのか、

 

自分なりに考察してみるしかないです。

 

「旡」の意味は、人が後ろを向いて口を開いている様子が元々の字源なんだそうで、字源的には「欠」と非常に似ているのですが、顔の向きが「欠」と反対になっているんだそうです。

 


これに関して、黒田源次氏は著書『氣の研究』の中で、「満腹の後のあくびと解釈できなくもない。」と述べております。

 


欠伸(あくび)という現象は、覚醒と睡眠の境界から覚醒に向かう時に出やすく、ハッキリとしたメカニズムは分かっていないものの、肺での酸素と二酸化炭素の交換を高める、

 

顔面のストレッチ、内耳の圧力を外気と調整する、などの仮説が提案されてきました。

 

より最近の学説としては、あくびは体温の調節に使われるという説もあり、オルバニー大学の Gordon G. Gallup らによれば、あくびは脳の温度を調節する働きがあるかもしれない、というそうです。

 

東洋医学では、あくびは主に肺の臓の働きを活性化するために起こる現象、とされています。

「肺」って何ですか?(その12) 参照

 

そして「灬(れっか、れんが)」の意味ですが、これは主に「火」を示すものだそうです。

 


・・・ということは、「炁」という字が、上が飲食、あくび(呼吸の活性化)の形象、そして下が火、という意味を持つ、ということになると、

 

まさに飲食物と呼吸と、下焦からの陽火によって”気”を作り出すという、道教の生命観と一致しているのが分かります。

 

因みに余談ですが、「气(きがまえ)」の中に「火」という文字を入れて「キ」と読ませる漢字もあったようです。

 

清明院に飾ってあるこの図は、もともと中国の道教の寺院にある図で、道教の身体観に則って人体を模式的に図示した、ものなのですが、

 

下半身を示す下の方に、炎があるのが見えます。

 

 

wp-1598000981547.jpg


(↑↑下の方にいる牛さんの右の方、4つの太極図の下の方ね。)

 

 


しかし、後代になって結局、「炁」ではなく「気」という文字が用いられるようになったのは、「炁」という文字では表現しきれない、とてつもなく広範な意味を、

 

「気」という概念が含んでいったからではないかと思います。

 


まあこのように、非常に広くて深い意味を持つ「気」なんですが、東洋医学はその「気」を動かし、病を治す医学です。

 


東洋医学の医者たるもの、「気」に対する理解は、深いほどいい。

 

・・・まあ、長々と書いてきましたが、「気」の字解きシリーズ、ここまででいったん終わり。

 

 

 

また勉強が進んだら、書き足すかもしれません。

 

 

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滋陰スピード

2014.08.29

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東洋医学では、何でも陰陽に分けます。

当然、五臓六腑の生理的な働きも、陰陽に分けて考えます。

例えば肝の臓なら、肝の臓それ自体の中で、陰陽バランスを崩してるケースもあります。

肝の陰が弱った場合を、「肝陰虚」と言ったりして、治療は「肝陰(肝血や肝の津液など、いわゆる陰分)」をフォローすることを眼目とします。

それを「滋陰(じいん)」とか、「滋補肝陰(じほかんいん)」と呼んだりします。

・・・で、問題は、患者さんにより、この「滋陰」が遂行されるスピードは違います。

その患者さんの気の動きの速さや、陰の絶対量なんかにも依存しますし、虚熱と実熱のバランス、位置や深さ、

こういう事にも注意を払わなくてはなりませんし、さらには時期的、時間的なものの影響も受けます。

その辺を見極めなくては、適切な「滋陰」は困難となり、「陰虚」の患者さんの治療も困難となります。

「滋陰」には色々な方法があります。

アイデアも大事です。

陰のもとは飲食物と空気です。

呼吸や飲食物を工夫することで、全くスピードが違ってきます。

神業的な鍼のウデがないなら、そうやって勝負すりゃあいいんです。


意外と勝てます。(笑)

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「衛気」って何ですか? その5

2014.07.25

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これまでのお話

 


「衛気(えき)」って何ですか? 

「衛気」って何ですか? その2 
「衛気」って何ですか? その3 
「衛気」って何ですか? その4     参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

さてここまで、「衛気」というものについて理解を深めるため、


◆東洋医学的な基本的概念

◆西洋医学における、皮膚の構造と機能


について書いてきました。

 


では今日は再び角度を変えまして・・・、

 


◆「衛」の字義解釈

 


まあ、
小児喘息と霊台シリーズにも書きましたが、東洋医学用語一つ一つに対する理解の幅を広げていく上で、この”字義解釈”ってやつがひとつ重要です。

 


まずは諸橋轍次『廣漢和辞典』からいきますと、

 


1.まもり

2.まもる

3.ふせぐ

4.おおう

5.いとなむ

6.よい

7.いぶかる

8.するどい

9.つかがしら

10.矢の名前

11.静脈の血(水穀の悍気)

12.驢(ろ…ロバのこと)の別名

13.五服(地域の名前)の一

14.明代、要所に設けた軍営


(なげえー。。(゜o゜))

まあ、1.2.3.4.5.8.11.14.あたりの意味が東洋医学の「衛気」に使われている「衛」の意味に近いでしょう。


因みに11.”水穀の悍気(かんき)”というのは、そういう風に『黄帝内経素問 痹論(43)』に載っているんですが、

これを「静脈の血」と解釈するとは、あれあれ、どうしたんすか?諸橋先生!?って感じですね。

(大学者の間違いを発見して喜ぶ、小物丸出し発言☆(爆))


まあ東洋医学の専門家の端くれとして、真面目に言わせてもらうと、この11.は完全なミスリードだと思います。

『痹論』に書いてあるのは、柴崎保三先生の言を引けば、

「悍気の悍は勇猛という意味。」

であります。

(根拠もちゃんと色々示してくれてありますが、長くなるので割愛。読みたい人は柴崎内経25巻セット、気合いで買おうぜ☆)


つまり、水穀(飲食物)から得た、生命維持に欠かせない営気と衛気の原料のうち、

 

相対的に静的なもの(水穀の精気)は営気に、

 

相対的に動的なもの(水穀の悍気)は衛気になる、

 

という解釈が穏当であって、営気は動脈血、衛気は静脈血、なんていう解釈は、まさに木に竹を接ぐ様な不自然な解釈だと思います。

 

 

諸橋先生は漢字学者でありますから、分かり易くするために、あえて方便としてそう説明したとも思えません。

・・・ま、そんなことを揚げ足取りみたいにいちいち論っても何の意味もないので(笑)、いずれにせよ、「衛気」「衛」の字義としては

 

”まもる”という意味が一番強い訳ですが、一部、武器としての意味もあるワケです。

 

昨今の集団的自衛権問題に通じますね。

 

 

・・・ナンテネ☆

 

つづく

 

 

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「肥満」と東洋医学 6

2014.05.30

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前回のお話し・・・

「肥満」と東洋医学
「肥満」と東洋医学 2
「肥満」と東洋医学 3
「肥満」と東洋医学 4
「肥満」と東洋医学 5

 

・・・では、続きいきます!!

 

ここらでいったん切りましょう。

 


◆糖尿病の治療で肥満になる!?


肥満には、西洋医学的には、飲食の不摂生や、運動不足に起因する

単純性肥満

と、ホルモンや脳の病気などに由来する

症候性肥満

と、2種類の肥満があります。

(単純性肥満が90%とも言われます。)

慶応義塾大学 KOMPAS「肥満」

日本肥満学会診療ガイドライン2016   参照

 

 

 

この、症候性肥満の中に、内分泌性とか、遺伝性とか、色々な種類があるのですが、この中に、

 

”糖尿病の治療によって、結果的にホルモンの異常が起こってなるもの”

 

というのがあるそうです。

 


これについて、少し考えてみましょう。

 

普通、糖尿病といったら、一般人としては「二型糖尿病」を連想する訳で、暴飲暴食や贅沢な食事を繰り返し、結果的に肥満になったり、

 

結果的に糖代謝が乱れ、血液中の糖の値、つまり血糖値が上がってしまった病気、という認識だと思います。


(・・・ザックリし過ぎ?(笑))

 

因みに「二型糖尿病」以外に、免疫の異常から、膵臓のインスリンを分泌する細胞が壊れてしまって、結果的に血糖値の上がってしまう「一型糖尿病」があります。

 


いずれにせよ、これらを治療していて、肥満になるとは、一体全体、どういう訳か。

 


これは、糖尿病の治療で、糖代謝を正常化するために、インスリンというホルモンを注射したりして補充する治療を行う場合があるのですが、

これによってインスリンがかえって過多になったりすると、脂肪が合成される方向に働き、肥満になってしまう、という場合があるようです。


あるいは、治療によって目的通り血糖値が下がったが、それによって空腹感が強く出て、我慢できなくて食べ過ぎてしまって、かえって肥満になってしまう、というケースもあるようです。

この背景には、糖尿病の患者さんの管理に関しては、入院でもさせない限りは、患者さんの3食の時間やメニューまでキッチリと管理することは難しいため、調整が難しい現状があるようです。

 

ですので、上記のような不具合がありつつも、漫然とインスリン投与を続けてしまう患者さんも多いのだとか。

我々も、糖尿病の患者さんを診ることはありますので、この辺の知識は踏まえておいた方がいいと思い、最後に加えました。

 

・・・なんか最後は堅い、しかも西洋医学の話になっちゃったけど、肥満と東洋医学、いったん終わり。(笑)

 

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「肥満」と東洋医学 3

2014.05.24

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前回のお話し・・・

「肥満」と東洋医学
「肥満」と東洋医学 2

 


・・・では、続きいきます!!

 

 

前回まで、肥満のメカニズム、東西両医学の肥満に対する認識について話してきました。


いずれにせよ、現代では、古代中国と違って、あまりにも簡単に飲食物が手に入る。

そして、好きなものを好きなだけ食べることで、日頃の緊張を緩めて、ストレスを一定程度発散し、バランスをとっているパターンが多い。


・・・で、日中はPC作業中心の、頭脳労働。

運動不足。

こりゃー、肥満が増加するにきまってますね。(笑)

生活自体を変えないと、もはや太る一方です。

だから、自分ではどうにもできないと感じ、他力本願になる人が多いのも分かる。

そんなワケで、近年では東洋医学サイドも、肥満に対してはどちらかというと「予防、改善すべき病的な状態」として認識している、という感じでしょう。

 

 


◆耳鍼について


よく、鍼灸の分野で、”痩せる鍼”なんて言われて有名なのが「耳鍼」です。


聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。


僕も実は、かつて雇われの時にやっていたことがあります。


でも、今はやっていません。

要望があってもお断りしています。(苦笑)

これは、実は1950年代にフランス、リヨンのポール・ノジエというという整形外科医が、それまでヨーロッパに伝わっていた民間医療を応用して、

”耳介療法”という、耳を刺激する治療法を研究発表したことが始まりなんだそうです。

(エライ最近の話でしょ?)


始まりは、ノジエ医師にかかった患者の坐骨神経痛が、「耳のある部分を焼く」療法を行っていたおばあちゃんの治療で、確かに治っていることに興味を持ち、

 

ノジエは当時、鍼灸治療も習っていたため、耳を鍼で刺激することで、様々な疾患に効果があることに気づきました。


その臨床研究の成果が、ドイツ、ミュンヘンのバッハマン(鍼灸専門誌の主幹)に伝わり、彼の雑誌に掲載されたことが世界中に広まり、

 

それを日本の長友次男(ながともつぎお)という先生が昭和23年に翻訳して日本に紹介し、実は”日本経由で”中国に伝わった経緯があるそうです。

 

医道の日本『欧米耳針法の理論と臨床』

長友次男『長友・MP鍼灸講話八十八輯』 参照

 

 

・・・しかし当時、中国はそれ(耳鍼の発表)を受けて、

「は?別に、以前からやってましたけど・・・?」

というようなリアクションを取ったそうです。(苦笑)

 

でも実は、耳鍼について専門的に研究された古典等々は、その時なかったはずです。

 

内心、けっこう慌てたんじゃないでしょうか。(笑)

 

 

因みに、ノジエの調査によれば、ヒポクラテスの本や、エジプトにも、耳の一部を出血させたり、耳を鍼で刺激して遠隔部位を治療する方法はあったそうです。

 

 

続く

 

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「肥満」と東洋医学 2

2014.05.23

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前回のお話し・・・

「肥満」と東洋医学

 

では続きいきます!!

前回、肥満は現代病として、問題視されているが、中国古代では、さほど問題視されていなかった、というお話をしました。

◆肥満のメカニズム


・・・なぜ、肥満になるのか。


これは、西洋医学的に言えば、摂取カロリーと消費カロリーのアンバランス(摂取過剰)から、体内に余ったエネルギーを脂肪組織に蓄えてしまうため、

それが徐々に徐々に体内に蓄積するためです。

何故脂肪なのかというと、糖質やたんぱく質よりも、圧倒的に脂肪の方が貯蔵効率が高いからですよね。


これが、単純な運動不足や飲食の不摂生に起因する、単純性肥満の西洋医学的なメカニズムだそうです。

 

(詳しくは(一社)日本肥満症予防協会様のサイト 参照)

・・・では、東洋医学ではどうか。

中医学では、肥満のことを”肥胖(ひはん)”と呼び、

主に脾の臓を中心とした臓腑及び全身の代謝機能の低下(気虚)+痰湿、脂膏を中心とした病理産物の増加

と説明されます。

 

(『症状による中医診断と治療 上巻』参照)

 


因みに中医学、脾の臓、気、湿痰については過去記事

カテゴリ「中医学」
「脾」って何ですか?(その9)

「気」ってなんですか?
「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について
「湿熱」について                参照


まぁ要は、東洋も西洋も、似たようなこと言ってるわけですが、これは中医学の方が、西洋医学の考え方に寄せてまとめたような感じがします。


なぜなら、前回言うように、東洋医学では、太っていること自体はあまり問題ではなく、太っている人が何らかの陰陽バランスの不調和を起こしていないかどうか、

を問題にするので、肥満そのものについては「イコール病気」とはとらえてこなかったからではないかと思います。

 

ここにも、個体差(各々における陰陽バランスの調和度合い)を重視する東洋医学と、やれBMIだの理想体重だのと、集団における平均値や理想値を重視する西洋医学の違いがハッキリと見て取れますね。

 

 

また、一般国民が理想とするような体格も、男性は背が高く、手足が長く、スリムであり、女性では胸があり、腰はくびれがあり、お尻は大きく、足は長く、

 

という、もともとの日本人らしからぬ体型なのも、明治維新以降の、西洋化の流れの一つかもしれませんね。

 

 

そういう視点で見ても、興味深いと思います。

 


因みに、あまり聞きなれない「脂膏」という表現ですが、『黄帝内経霊枢 衞氣失常(59)』に出てきますし、『黄帝内経素問 異法方宜論(12)』には「脂肥」という表現が出てきます。

 

 

専門家の方はご参照あれ。

 

続く

 

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「肥満」と東洋医学

2014.05.22

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前にも書いたけど、たまーに、というかいまだに、患者さんから聞かれる、この質問。

「鍼で痩せられますか?」

 

・・・僕は大体、

「食う量減らして、運動すりゃあ、鍼しなくても痩せるよ。(笑)」

と答えています。

肥満に関しては、飲食の不摂生と、運動不足が大半(90%とも言われる)ですので、そう答えるのが普通、という認識です。

まあ中には、症候性肥満といって、病気が隠れているものもありますが。


因みにこれに関する真面目な回答は、清明院HP内の「よくある質問」のページに上げてあります。↓↓

http://www.seimei-in.com/question.html#no_10


確かに、現代では、芸能人やモデルのように痩せたスタイルは、多くの女性の憧れです。

男性でも、だらしなく太った体よりも、引き締まったスリムな体の方が見栄えがいいと考えるのは分かります。

だから、自助努力なしで痩せることが出来れば、願ったり叶ったりです。

しかしそういう考えが、すでにしてだらしない。(笑)

ココロの肥満ですな。

来週、学校で「肥満」の講義をするんですが、肥満は、飽食の時代における現代病です。

脳や心臓や代謝障害など、あらゆる病気のリスクを高めます。

現代ほど食べるものに恵まれていない古代中国では、実はあまり「肥満」そのものを問題視する傾向はなかったようです。

たとえ肥満であっても、その体に東洋医学的な異常所見や症状がなければ良しとしていたようです。

 


これから、ちょっとこれについて書こうと思います。

 

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「月経」の「生理」

2014.02.26

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今日は東洋鍼灸専門学校にて、「月経異常」について喋ってきました!!


まあ相変わらず、鍼灸学校が使用している教科書、

『東洋医学臨床論 鍼灸編』

では、月経異常に関して、鍼灸の適応範囲として示されているものは、実際のものよりも非常に狭いのですが(苦笑)、それより問題に感じるのは、

 

女性を診察、診療する上で極めて重要な、この「月経」という現象に関する、東洋医学的な理解、というものを、鍼灸学校自体が重要視して「いない」ことだと思います。

 

(僕にはそう見えます)

 

「月経」というのは、「生理」と言われるように、もちろん病気でも何でもなく、呼吸したり、飲食したり、大便や小便が出たり、発汗したりするのと同じように、

 

女性にとっては実に”生理的な”現象であります。


中医学では「中医婦人科学」という学問分野を設けて、女性生理について生理、病理、治療法など、実に詳細に論じております。


そういう、基本的な知識の理解なしに、月経に起こってくる多彩な異常を診療することは不可能だと思います。


なのに、月経異常については下腹部や腰に鍼灸しなさい、と書いてあるぐらいで、「東洋医学的な」理論面が非常に希薄に見えます。

ま、そうは言っても、僕一人の力では、東洋療法学校協会の方針や、この国の鍼灸師養成制度そのものを変更させることなど不可能。

分かる学生さんにのみ、アピールしていくしかないのかな、と思っています。


・・・まあー、問題は山積み。

 


クラクラするわー

 

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深在の熱邪をおびき出す

2013.11.18

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東洋医学的に診て、重症、難病の場合、「熱邪」というものが、患体の奥深くに沈んでしまっていることがある。

 

地中奥深くにあるマグマのようなイメージか。

生きてれば、熱が発生するのが普通。

飲食物を消化吸収するため、全身に巡る気血を産生するため、一定の熱(陽気)は必要です。

これが体内に籠らないように、発汗(不感蒸泄も含む)、排尿、排便、月経、その他の排出物などの排泄行為が、日々行われているわけです。

・・・で、これらがうまく行われずに、熱が籠ると問題発生。

すぐに改善すればいいけど、この状況が長期にわたると、徐々に内臓にキツイ病変が形成されることがあります。

キホン、熱は発散されてればOK。

発散されないと問題が起こる。

・・・で、治療する場合は、「どこに」「どの程度」籠ったかが問題になる。

籠った熱邪を、すぐにガーンと散らすことが出来れば、苦労はない。

場合によっては、籠った熱邪を根気良く、ちょっとづつちょっとづつ浮かせて、徐々に徐々に散らせていかないとしょうがないことがある。

この場合は、なかなか症状も動かないし、患者さんもこっちもやきもきするけど、そういう病理なんだから仕方ない。

慌てて、下手に手を出すと、症状悪化することもある。

きれいにおびき出して、散らしていかないといけない。

だからおびき出し方が重要なんだけど、これがなかなか難しい。。。

患者によって違い、決め手がない。

同じ患者でも、その時によって違う。

臨機応変性と、集中力が要求される。

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脳卒中と鍼灸 その3

2013.06.01

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これまでのお話・・・

脳卒中と鍼灸 その1
脳卒中と鍼灸 その2

 


では続きいきます!

 

現代人にひっじょ~に増加傾向の「脳卒中」・・・。

これは、東洋医学でも2500年前に認識され、原因から治療方法まで、あれやこれやと模索されてきました。

・・・で、2500年分の膨大な情報を大体まとめると、原因としては、


1.精神的なストレス(特に急激な怒り)

2.飲食の不摂生(特に酒)

3.過労(特に過度のSEX)

4.急激な気温変化

だそうです。

結局、どんな病気も、根本原因は似たようなもんですな。(笑)

前回述べたように、東洋医学では「脳卒中」は最終的には主に「肝の臓」「胆の腑」の病、という風に認識するんですが、

 

それが成立するまでには「心の臓」「腎の臓」「火邪」「痰」「風邪」「瘀血」なんかも大きく関わります。


カテゴリ 肝・胆
カテゴリ 心・小腸
カテゴリ 腎・膀胱
カテゴリ 邪気(発病因子
) 参照

 


これらの臓腑の弱りや、各種の邪気が複雑に関わり合って体をいためているところに、さらにそれらが上記の1.~4.の4つの原因によって、

急激に助長され、成立するのが「脳卒中」という病なのです。

次回、これの具体的な症状とそのメカニズムを考えてみます。

 

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