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2010.01.23
「寒燥」、「湿熱」について書いてきたので、せっかくだから「風(ふう)」、「火(か)」についても書いておこうと思います。
「風」と「火」については、「寒燥」「湿熱」の時のように陰陽一対になっている訳ではありません。
風も火も、どちらも性質の上から「陽」に分類され、「陽邪(ようじゃ)」と呼ばれます。
◆「風」について
まず「風邪」ですが、これは自然界に吹く風(かぜ)を想像すれば分かりやすいと思います。
気圧の高いところから低いところに向かって大気が移動する、あれのことです。
これが冷たいところから吹くと寒く、暖かいところから吹けば暖かい気候を形成します。
それが極端だったり、季節はずれだったりすると、人体に悪影響を与えやすく、病因になる場合がある訳ですね。
ここ何日か、季節外れの南風が吹いて、妙に暖かくなりましたね。
皆さん体調は崩していませんでしょうか?
古代、この働きをみた東洋医学の医者達は、
「風は百病の長たり」
と言いました。
(『黄帝内経素問』玉機真蔵論(19))
これは要するに「風邪」が他の邪気(寒邪や熱邪など)と合わさって、いろんな病気を連れてくることがある、と考えた訳です。
・・・ということは、「風」は自然界(外界)にはあるけど、人間の体内にはないかと言うと、東洋医学では「ある」と考えています。
例えば、緊張すると手が震える、ピクピクと筋肉が痙攣する、などの症状を「内風(ないふう)」と考え、人間の体の中に吹く「風」に相当する現象だ、と考えました。
手が震えていたり、筋肉が痙攣しているのを見て、風が木々を揺らしている現象と重ね合わせたんでしょうか。
おもしろいですね。(^v^)
このように、自然現象をそのまま人体に置き換えて考える考え方は、この医学の言う「天人合一思想」に基づいている、という話は以前このブログに書いた通りです。
まあ、この見方考え方をして、そのつもりで治療を考えた結果、何の効果も得られなかったら、まったくの机上の空論、ゼロ意味になってしまいますが、
それで効果が得られる、という事実があることは、そこに何らかの真実がある証拠だと思います。
◆「火」について
次に「火」ですが、自然界の「火」は分かりやすいですよね?
燃えさかる炎です。
山火事、噴火など、太古の昔から「火」が人間に与えるインパクトのすごさは今と変わらなかったでしょうし、人間が生活する上でも、火は欠かせませんよね。
・・・この「火」も、東洋医学では人体の中でおこる現象のひとつ、と考えます。
詳しい説明は難しくなるので避けますが、これはいわゆる”人体発火現象”みたいなもののことを言っている訳では無く(笑)、人体をめぐる正常な「気」が滞り、
鬱滞が長引いたりした時に起こる病理現象の一つとして考えています。
急激に熱症状が上半身や皮膚に出て、痛みや痒みを引き起こす、非常に激しい邪気、と考えております。
東洋医学ではこのように、自然現象が時に起こす特徴的な現象を、人体でも同じように置き換えて考え、さらに自然の異常と人体の異常との微妙な関係性にまで注目して、
独特の優れた医学体系を構築してきました。
「じゃあ、近年問題になっているウイルスだとか、新手のばい菌とか、その他のあらゆる病原体については、東洋医学では想定していなかったんだから、対応できないんでしょうか?」
というと、僕はそう思っておらず、
「出来る可能性は大いにあるのではないでしょうか。」
となります。
確かに、東洋医学には病原体の構造や種類を細かく分析する、という考え方はありません。
(顕微鏡や血液成分の分析など、技術的に出来なかったわけです。)
しかし、原因はどうあれ、結果的に人体に起こった異常を正常に調える、あるいは近づける方法は、これでもかと言うぐらい考え尽くしています。
なので、現代の様々な病気にも、東洋医学の考え方を応用すると、あっけなく治ったりするものが多くあります。
病原菌を顕微鏡的に明らかにして、殺してしまうのがいいか、病原菌によって起こった体の異常を調え、結果として病原菌を体から追い出すのがいいか、というアプローチの違いがあります。
・・・実際は、どちらがいいかはケースバイケースですので、方法論自体に優劣はないと思っています。
でも、実はこういう分野(東西の医学どちらが適応する病気か)の研究って、全然進んでいないという現実があります。
僕らとしては、東洋医学の言う判断基準に従って治療にあたるのみですが、ここら辺(どのタイミングなら東洋医学的手法の方が良いのか)がもっともっと明確になると、
患者さんのためにとてもいいことだと思っています。
(今の日本の医療体制じゃ難しいでしょうが・・・。)
東洋医学と西洋医学が、いつか「患者さんのために」手を組む日が来ることを祈っています・・・。
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2010.01.22
昨日は、清明院に僕の姉と、甥っこであるよしのぶくんがみえました!
↑抱いているのは姉ですが、写真NGとのことで、よしのぶくんのみの登場です!(苦笑)
・・・まあ、「THE・赤ちゃん」て感じでした(笑)意外とおとなしかったですね。
個人的には赤ちゃん言葉でよしのぶくんに話しかける姉の姿が妙でした(笑)・・・そういうキャラではなかったんでね。やっぱ親になるとそうなるんですね~。
昨日は悲しいブログでしたが、今日は嬉しいブログです!(これまた陰陽。)
ゆく命があればくる命もあるんですね。彼(よしのぶくん)はどんな男になるんでしょうか・・・。
今後が楽しみです!
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2010.01.19
それにしても、最近寒いし、空気が乾燥してますねー。
東洋医学では、空気の乾燥が人体に悪影響を与えることを「燥邪(そうじゃ)」と呼んで問題視する、ということは以前このブログでも紹介しました。
「乾燥」に強い清明院 参照
ではこの「寒さ」の方はどうか、というと、こちらも、もし人体に悪影響を与えたならば、病の原因の一つと考え、東洋医学では、「寒邪(かんじゃ)」と呼んで問題視しています。
最近はこれら2つが合わさっていますね。
すなわち「乾燥」ではなく「寒燥」の日々です。
最近の寒さや乾燥によってかぜをひいたり、体調を崩したりした場合、東洋医学では、「寒邪と燥邪」によって「正気(せいき・・・人体の正常な気)」の働きが阻害されたもの、と考え、治療します。
この場合、治療するにあたって、厄介なことがあります。
東洋医学は何でも陰陽に分けますが、「邪気」にも、「陽邪」と「陰邪」の2種類があります。
性質の上から、「寒邪」は陰、「燥邪」は陽、と分類されます。
となると、「寒(陰)」と「燥(陽)」の合体した「寒燥の邪気」というものは、邪気の中でもある意味、陰陽のバランスのとれた、「手強い奴」なんです。
通常、極端な「冷え」であれば積極的に温めればいいわけだし、極端な「熱」であれば積極的に冷ませばいい、というのは誰が考えても分かりやすいと思います。
ところが、邪気がその両面の性質を持つ場合、
「この二者がどういうバランスで人体に悪影響を与えたか」
ということをよく分析して、明らかにした上で治療しないと、ミスを犯す場合があります。
「寒燥の邪気」の例で言うと、「寒邪」による「冷え」が中心なのか、「燥邪」による「乾き、乾燥」が中心なのかで、治療のやり方や、養生指導が変わってきます。
単純に、
「冷えたんだから温めりゃいい!」
・・・と考えて温めてみたら、咽がチリチリに乾燥して全然治らんかった、とか、
「乾燥してんだから潤せばいい!」
・・・とか言って飲み物飲みまくってたら、体が冷えちゃって全然治らんかった、ということになります。
(経験のある方もいるのでは?)
冷えが中心であれば、温まるように治療し、乾きが中心であればからだが潤う(必要な水分を取り込み、不要な水分を排出する力を高める)ように治療するのが東洋医学です。
・・・結局、健康な人体のバランスをキチッと整えるためには、からだ側(正気)のバランスと、それを阻害する因子(邪気)のバランスを正確に把握できてないと難しい、ということです。
東洋医学ではそれをキチッと把握する「学」と「術」を、数千年に渡って研究し続けて、膨大な成功例、失敗例を集積し、もっとも確からしい理論を採用し、現代に伝えています。
非常に信憑性の高い医学だと思います。
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2010.01.14
こないだの、大阪であった鍼治療による気胸の事故について、インターネットへの書き込みなんかを見ていますと、事故そのものに対する批判が高じて、
「鍼灸批判」から「鍼灸師批判」まで、中にはなぜか憎悪たっぷりの、悪意に満ち満ちた書き込みも大分ありました。
・・・んーまあ、この手の話は笑い飛ばして、無視したって別にいいと思うんだけど、僕としては、言われっぱなしも悔しいと思うタチなんで、
たまにはこういうことも考えてみましょう。
書き込みを見ていますと、
1、「鍼灸は非科学医療だから信用できない。」
2、「鍼灸師みたいな低学歴の連中に体を診てもらおうとは思わない。」
3、「鍼灸って宗教みたいなもんでしょ?なんか胡散臭い。怖い。」
また、鍼灸を擁護するような内容の、おそらく鍼灸師による書き込みに対してまで、
4、「もともと少ない患者を減らさないために必死だね(笑)」
などなど、読んでいて腹立つというより、悲しくなってしまうような書き込みがたくさんありましたが、大きく分けると上記の4つの内容が多かったように思います。
こういう匿名での、冷静さを欠いた批判に対して、あまり真剣に向き合い過ぎるのもどうかと思いますが、今日は上記の4つに対しての、僕なりの見解を「冷静に」述べてみたいと思います。
まず1、については、まあ本当はねー、個人的には、この意見を述べた方の「科学論」でも、是非ともじっくり伺ってみて、それからじゃないと話にならないな、
とは思うのですが、おそらくは、
「現代科学の手法と論理で説明がしきれないものだから信用出来ない。」
ということじゃないかな、と思います。
もしそうだとすれば、僕からしたら
「エ!?そんなん当たり前じゃん!?それがなにか?」
です。
・・・まあここで、甚だ簡単ではありますが、僕の考えを述べてみましょう。
確かに現代人は、実証主義的な現代科学のおかげで、豊かで高度で文明的な生活を得ました。
医学の分野においても、平均寿命が延びたり、ある種の感染症が治せるようになったりしたのは、現代西洋医学の力が大きいのは疑いないでしょう。
しかしその一方で、人類はさまざまな新しい慢性の難病や環境問題など、難しい問題にさらされているという現実があります。
この時点でまず、現代科学や現代医学が万能で、完全無欠なものではない、ということがすぐに分かります。
(結局、生活の利便性や分析知の高度化の代償として、自然からのしっぺ返しにあうことになってる訳です。)
また僕のように、新宿なんていう都会のど真ん中で生活してたって、日々の生活の中で、空気を吸わない日はなく、緑を目にしない日はありません。
つまり、どこまでいっても人間は大いなる自然に囲まれ、支配されているちっぽけな存在であることに気付きます。
(他の動植物と比べれば相対的には独立してるけどね。)
古代の中国人達は、人間の存在それ自体が自然現象の一部でしかなく、自然とうまく共存することが、健康への王道だ、と考え、東洋医学を構築してきました。
その東洋医学というものは、数千年の歴史(史実としての実績)に裏打ちされた、「気」と「陰陽」という自然哲学に立脚した、れっきとした「科学」であり「医学」だと思っています。
(その手法や、背景にある理論が現代的でないというだけで、です。)
そもそもが、「気」や「陰陽」という、数値化、可視化出来ないものを理論のベースに置いている以上、「現代科学」の手法では説明しきれないなんて、当たり前の話じゃないでしょうか。
まあ100歩譲って、
「僕は”現代医学”しか信じないんで、それ以外の医学は認めませんし受けません。」
という考えをお持ちなら、
「あ、そうですか。ではどうぞよしなに。」
・・・ってだけなんですが、そんなことは個人的に思っていればよく、そのように行動すればよいことであって、それをわざわざネットに匿名で書き込むという、
下品な神経が僕にはまったく許容できませんね。
世の中には東洋医学を一生懸命まじめに実践している人や、それを信じて治療に通う人もいる訳で、自分の価値観のみで、頭ごなしなことを言うもんじゃありません!
書いてて何やらだんだんエキサイトしてきたので(笑)、2、以降の考察は次回にしましょう。
しかしまあ、「非科学医療」って・・・。どーゆー熟語?って話です。(苦笑)
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2010.01.08
たまーに、治療の予約が入っている患者さんから、その日になって電話がかかってきて、
「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで熱があるんですけど、鍼しても大丈夫なんでしょうか?」
と聞かれることがあります。
僕の答えは当然、
「もちろん大丈夫です。高熱で、歩くのもお辛いような状態じゃないのであればお越しください。鍼にはむしろ熱を早く下げる効果もあります。」
と、答えています。
ここでもし、
「いやあ、歩くのもつらい状態なんですけど…。」
と言われてしまったら、そのときの状態(症状)を電話で聞ける限り聞き、出来る限りの養生のやり方をお伝えするか、
場合によっては救急で病院に行ってもらうのを勧めることもあります。
・・・一般的には、発熱時は鍼灸はやっちゃダメ!という認識が根強くあるようです。
鍼灸学校で使われる『はりきゅう理論』という教科書では、鍼灸施術の禁忌として「⑤高熱症状を呈している場合」という表現で記載されています。(旧版P28)
(ある意味、微熱ならいいってことですね。)
なぜこうなのかについてはまた今度語ることにして、東洋医学では、数千年も前から、風邪のみならず、熱の出る病気に対しては、あらゆる考え方や方法論が試されています。
もちろん、古代中国には水銀式の体温計はなかった訳ですから、医者が患者の体を触っての熱感をもって、治療、診断の対象にしています。
そういうものに対して、ちゃんと鍼灸や漢方で対応し、結果を出してきたと、あらゆる文献に残っていますし、現代でも、中国や韓国などでは、
風邪をひいて発熱したときに鍼するなんてことは、別に当り前のことだそうです。
(韓国では、風邪をひいて発熱した時は、家庭にある鍼で自分で治療を行う、とか、中国でも、高熱を出してぐったりしている状態で中医学の病院に普通に運ばれてくる、なんて話も聞いたことがあります。)
また、(公社)全日本鍼灸学会の鍼灸論文検索サイト「JACRiD」で「発熱」と検索すると、この通り、いくつかの論文が出てきます。
ここで、
「風邪をひいて熱が上がっている状態」
というのを、東洋医学でどう考えるかというと、外から入ってきた冷えや異物(邪気と呼びます)に対し、患者さんの体の恒常性を保とうとする力(正気)が、
邪気を排出しようと一生懸命戦っている状態、と考えます。
ということは、体の「陰陽」のアンバランスを整えて、「治る力」を増強する鍼灸治療は、体にしてみたら、この戦いの強い味方なんです。
よって、熱があっても鍼して全然問題ない、むしろやるべき!という風に、僕は考えています。
ちなみに、今日来た患者さんでも、風邪をひいて38℃弱発熱している方がおられましたが、治療後体温を計ってみると、多量の発汗とともに36.6℃まで下がっていました。
・・・信じられないかもしれませんが、まあ、事実だからしょうがないですね。(笑)
効くものは効きます。
(ただ、断わっておきますがどんな発熱でも鍼すれば間違いなくその場で下がる訳ではないですよ。誤解なきように!)
ですから、最近話題になった新型インフルエンザなんかも、鍼では全くお手上げかというと、学術的には全然そんなことないです。
しかし、ああいった感染力の強い、未知の感染症の場合は、保健所への届け出等、法律的な問題も関与してきますので、
現状の日本の一般の鍼灸院で診るケース自体が少ない、ない、ということなんです。
・・・ちなみに、今日書いたのは、あくまでも僕が思う、「東洋医学的に正しい鍼灸」をやった場合においての話です。
皆様に、この医学に対する「正しい」認識をどうか持っていただきたい、と思っています。
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2009.12.30
東洋医学には、「瞑眩(メンケン)」という言葉があります。
(なぜか、「メイゲン」とは読みません。)
これは何かというと、
①服薬後に一時的に表れる種々の予期しない反応。例えば悪心、瞑眩、胸悶など
(『尚書(書経)』説命萹上「もし薬瞑眩せざれば、その疾癒えず」)
②頭がふらつき、目がくらみ、目を開けていられない症状のこと
だそうです。(燎原『漢方用語大辞典』P1173)
また、(一社)北辰会代表である藤本新風先生がかつて、藤本彰宣(あきのり)名義で、『鍼灸OSAKA』誌114号に、瞑眩に関して論考を書いたこともあります。
(鍼灸家、必ず読むべし!!)
「瞑眩」という熟語自体に、いわゆる「めまい」のような意味もある訳ですね。
清明院でも、患者さんから、
「鍼の直後は少しだるくなって眠くなるんだけど、翌朝えらく体がスッキリしてます。」
とか、痛みのある患者さんなんかで、
「鍼した後、帰る時に一度痛みが強くなったんだけど、次の日になったらすっかり痛みが取れていて驚いた。」
とか言われることがあります。
この、
「少しだるくなって、眠くなる」
であるとか、場合によっては
「一時的に症状が強くなる」
しかし、結果的には症状、及び全身状態の好転につながる状態を東洋医学では”メンケン”と言います。
・・・なぜ、こんなことが起こるんでしょうか?
東洋医学では「気」を動かし人体の「陰陽」のバランスを整え、「治る力」を最大化することによって、病気を治療します。
・・・ということは、何度も述べた通りです。
その結果、深い位置の病(五臓六腑の病)が浅い位置(皮膚、筋肉etc..)に浮き上がってくることがあります。
また、経験的には、もともと急性の病だったものが、治らずに慢性化してしまっているものは、治っていく過程の中で、一度急性の時の新鮮な状態に戻る場合があります。
この変化に関しては、こちらもある程度は予測できますが、具体的にどういった現象が、どの程度起こるか、ということまでピタリと当てるのは、
正直僕には、実際はなかなか難しいです。
上に紹介したように、「瞑眩」という字を見ても分かるように、「瞑」は瞑想の瞑で、「目をつむる」の意味があり、「眩」は「目がくらむ」ですから、
要は判断がつきにくい変化である、という意味があります。
そこで、こういった変化が、治療の失敗による「悪化」なのか、「メンケン」なのかを適切に判断する意味でも、
1.初診の時にしっかりと問診をとらせていただき、
2.しっかりと体表観察して「証」を立て、
3.その患者さんの病歴、体質などをキチッと踏まえておいた上で、
「治療」に入るということが極めて重要になります。
こうすることにより、患者さんの術後の変化が、「悪化」なのか「メンケン」なのかがハッキリする訳です。
ゆえに、「初診」はそういう意味でも大変重要であり、僕にとっては欠かすことのできない大事な段取りな訳です。
まあ、鍼灸治療を受けて、思わぬ変化が表れた場合は、慌てず騒がず、治療した先生に相談するといいと思います。
(ここで狼狽して、ガチャガチャいじくりまわすと、訳が分からなくなります。。。)
ちゃんとした先生であれば、適切に対応して下さるはずです。
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2009.12.27
これは、たま~に患者さんから言われます。(苦笑)
・・・てゆーかコレ、フツーに若干失礼ですよね??
大体の場合は、ウチの鍼灸は痛くないよ、恐くないよ、という説明をした後に来るのがコレです。(苦笑)
まあ答えは当然、
「効きます。だから生活できてます。」
なんですが、要はコレってね、鍼灸治療を受けたことのない患者さんにとっての「鍼灸治療」とは、痛いところや凝ってるところを中心に、
全身に鍼を刺されまくり、灸をすえられまくり、拷問のような治療に耐えたのちに、凝りや痛みのとれた体をめでたくGET出来るもの、
という先入観+固定観念から、勝手にそういう風に想像しているのではないでしょうか?
であればそれは全然違います。
その認識は間違ってます。
少なくとも清明院では、そのような乱暴な治療はしませんし、治療の刺激は驚くほど軽いものです。
使う鍼は多くて3本程度、全身状態を詳しく診察したのちに、「ここぞ!」というところにピタッと鍼が入れば、痛みをまったく感じないか、
感じても蚊に刺された程度で、数秒で治まります。
そして、鍼を打ったまま数分、場合によっては数十分安静にしていると、体の冷えている部分は温まってきて、熱っぽい部分はスーッとしてきます。
そして、大体の患者さんは寝てしまいます。
それが、体の「気の流れ」「陰陽のアンバランス」が整っていく感覚であり、清明院が理想とする、刺鍼に対する反応であります。
これを繰り返していくことによって、あらゆる病に対応していきます。
きつい刺激を人体に与えることは、かえってマイナスになると思っています。
「じゃあ病院が行う外科手術は超キツイ刺激ですけど、人体にマイナスなんですか!?」
という突っ込みに対する答えは、
「はい、患部(例えば癌化した内臓)以外にとってはマイナスです。」
となります。
現代は麻酔の技術が発達しているため、手術に痛みを伴うことはありませんが、
とりたい組織をとるために、正常な組織を切り開いていく必要がありますので、切り開かれた正常な組織にとっては、要は大怪我をしたのと同じことです。
当然、癒着など、後遺症の原因になったりもします。
東洋医学が考案された時代は、麻酔の技術そのものがなかった訳ですから、医者のテーマは人体の「形態」ではなく、「機能」に相対的に焦点が当たっていたであろう、
という話は、以前お話しした通りです。
人体の「機能」を整える、すなわち、東洋医学の言う、「気」を上手に動かして「陰陽」のバランスを整える、最高にシンプルな道具が「鍼灸」なんです。
なので、むしろ刺激量が極力少ない「正確な」鍼の方が、気の動きが分散しないため、効くんです。
間違ったキツい鍼を何本刺しても、マイナスです。
お分かりいただけましたでしょうか?
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2009.12.20
(その1)では、現代人は水分を飲む量が多過ぎてることが多いように思う、というお話をしました。
今日はその続きとして、飲むものの種類(質)について考えてみたいと思います。
清明院では初診時、(一社)北辰会専用カルテを使用しています。
ここには、一日の水分摂取量と、尿の量の比較、また、カフェイン類(コーヒー、紅茶etc..)をどのくらい摂っているか、飲酒量と飲酒頻度はどうか、
などなど、詳しく質問事項が並べてあります。
「飲み物」というのは、当然それぞれの種類によって、体内に入った時に人体に及ぼす影響は異なります。
東洋医学では、単なる「水」でさえも、30種類程度に分類して考えている(ホジュンにも出てきましたね☆)ほど、飲み物が持つ作用というのは、
時には薬にもなり、時には毒にもなる、と考え、大変重要視しています。
つまり、飲み物の種類、量、出入りのバランス、体表所見や症状をトータルで考えて、摂取している水分がその人にとって余分な「毒」になる場合、
結果的に体内に「余分なお水」が増えてしまって、それが結果的に「ムクミ」となる訳です。
ここで、この世の全ての飲み物について解説することなど、到底出来ませんし、そういった専門書もたくさんありますので、ここでは、患者さん向けに、
おおよその傾向を述べますので、参考にしていただければ、と思います。
1.甘い飲み物(糖分の多いもの。たくさんありますね。)
・・・心身の緊張を緩め、少量、適量であれば胃腸には良い。しかし飲み過ぎればかえって胃腸を弱らせ、便秘、のぼせ、慢性の炎症などのもとになる。
2.苦い飲み物(コーヒーが代表選手かな。)
・・・これも心身の緊張を和らげ、適量であれば便秘やのぼせの解消に役立つ。しかし飲み過ぎればかえってのぼせて、全身的には冷える。
3.酸っぱい飲み物(果汁100%ジュースとか、ああいうのの甘くないやつね。)
・・・これは体を引き締め、シャキッとさせますが、飲み過ぎれば血行を悪くし、体を冷やします。
4.冷たいものがいいのか、温かいものがいいのか
・・・これはその人の体質によってケースバイケースなんですが、基本的には極端に冷たいもの、極端に熱いものは避けて、一気飲みはしないように、チビチビ飲むのが無難でしょう。
5.お酒は?
・・・お酒は「百薬の長」という言葉があるくらいで、適量であれば、心身の緊張をほぐし、血行を良くする作用があります。
問題は飲み過ぎた場合、胃腸、肝臓、腎臓、その他内臓を弱らせ、慢性炎症、その他様々な症状の原因、引き金になりえます。
まあ、もろ刃の剣ですな。(苦笑)
6.カフェイン類は?
・・・これは、ここぞ!という時に使うべきであって、日常的に常用、過飲するのはお勧めできません。常用していると徐々に体の上下のバランスを大いに崩すようです。
(いわゆる冷えのぼせみたいな状態ですね。)
・・・とまあ、超簡単にザックリと示してみました。
まだまだ挙げていけばキリがないんですが、結局は、量的にも質的にも「偏らない」ことがとても大事だ、ということです。
色々な物をバランスよく、しかも全体量として行き過ぎない程度に飲む、というのが理想なんです。
ちなみに、これは何も東洋医学独特の考え方でなく、現代の最先端の栄養学でも、ほぼ同じような結論に至っているようです。
よく知られた言葉で、「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があります。
(因みに「医食同源」という言葉自体は東洋医学にはないようですが。参考サイト)
上記のような飲食物の特性を知っていれば、体調が悪い時、何かを控えて、何かを多めに摂るだけで、特別に鍼灸、漢方で治療なんてしなくても、
自分で十分に対応できちゃいます。
まさに「未病を治す」ことが出来る訳です。
普段の自分自身の食生活の傾向を知っておくことは大変重要ですので、この機会によく見直してみるといいと思います。
調子の悪い人はたいがい「偏り」があるはずです。
まさに東洋医学のいう「陰陽」のアンバランスなんですね。
◆参考文献
『東方栄養新書』メディカルユーコン
『中国伝統医学による食材効能大事典』東洋学術出版社
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2009.12.09
今日は、よく言われる「五臓六腑」とは何か、について書いてみたいと思います。
よく、うまい酒を飲んだ時に
「五臓六腑に染み渡るわ~!」
なんて表現がありますが、これは実はもともと、東洋医学の言葉なんです。
このブログの中で、何度も
「人間の陰陽のバランスを調えて病気を治すのが東洋医学です。」
と書いてきました。
もちろんこれはこれで、すごく大事な、根本的な考え方なんだけど、
「じゃあそうするためには、実際にどうしたらいいの?」
という疑問が当然浮かびます。
・・・コレに答えるためには、あくまでも「気」や「陰陽」という考え方(根本哲学)に則った、「人間の体のしくみ」をしっかりと理解する必要があります。
そこで考え出された(想定された)のが、「五臓六腑」という、人間の内臓に対する考え方です。
コレの内訳は・・・
・五臓:(肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん))
・六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(たん・しょうちょう・い・だいちょう・ぼうこう・さんしょう))
となります。
これらの一つ一つに対する解説はいくらでも専門書がありますし、難しくなるので今日は解説しませんが、いずれ簡単に解説出来たら、と思っています。
この分類に基づいた人間の内臓を図にすると・・・
↑こんな感じになっちゃいます(笑)
(張景岳『類経図翼』より)
・・・一見、
「は?何コレ?全然実際の人間の内臓と違いますけど・・・?」
と思いますよね?
・・・江戸時代、日本に蘭学(オランダの学問)が入ってきた時、日本の多くの医者は、西洋の写実的な解剖図(現在でもよく病院の待合室なんかに貼ってあるやつ)を見て驚嘆し、
「我々は間違った理解をしていた、なんてバカだったんだ!」
とか言って変に反省し、今日までの自分たちの医学は間違っていた!と考えてしまったのです。
そして、それまでの東洋医学独特の五臓六腑の学説の用語を、そのまま西洋医学の解剖学用語に訳語として乗せていきました。
いわばその延長線上にあるのが、現代の解剖学です。
しかし、その理解は、果たして良かったでしょうか。
この図は「ある意味においては」間違っておらず、もっと深い意味、意義があるのではないでしょうか。
・・・大体、中国だって日本だって、ちょっと分かる人にとっては、この図が実際に人体を解剖したものと違うことなんて、百も承知だったはずです。
江戸期から、舶来品を無批判に受け入れ、新しモン好きで付和雷同な日本人なんでしょうか。。。(苦笑)
まあともかくこの図は、「今まさに、実際に生きて動いている」病人や健常者を、医師が五感をフル活用して徹底的に観察し、数百年、数千年かけて徹底的に臨床レベルで実験しまくった末に考え出された、
「人間の生理機能」
と、
「体の表面に現れる様々な異常」
から類推した、
「“人体の構造と機能”を説明するための解剖図」
と言えます。
消毒も麻酔もない時代に、現代ほど外科手術が日常的に行われていたはずはなく、なるべく人体に負担をかけない方法で「生理機能」を調整して病気を治す、
というのが、医者の共通テーマだったはずです。
そこから編み出されてきたこの図が、江戸期に「実際の見た目と違う=まったく間違っている」と評価されてしまったのは、残念でなりません。
これはこれで正しい図なんです!
(写実的でないだけで、“機能”を説明した図である、という意味では)
ですから本当は、もともと「上の図における内臓の名前」だったはずが、西洋医学の解剖図の翻訳に使われちゃってるんで、結果的に混乱のもとになって、
なんか木に竹を接ぐ様なワケ分からんことになっちゃってるのが、日本の東洋医学教育の、一つの問題点だと思います。
(まったく問題にされないけど。)
患者さんが「胃が痛い」じゃなくて「stomachが痛い」と言えば、変に混同されることもないんだが。。。
・・・この辺の話題も、話し出すとキリがないんでこのぐらいにしときますが、要は「五臓六腑」とは、
・もともと東洋医学独特の、機能面におけるトータルなバランスに調和に着眼した内臓学の言葉で、
・東洋医学がこれを考える上で相手にしたのは“形態“じゃなくて、外から人間の五感でうかがうことの出来る“機能”ですよ、
ということです。
西洋医学もいいけど、東洋医学もいい!
とりわけ、東洋人には東洋医学がいい!!
やっぱりなんだかんだ言って、そもそもの体質や感覚に合ってる!
「伝統」というものをバカにするモンじゃない!
・・・そのように「強く」思っています。
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2009.12.01
色々な患者さんや同業者の先生から、
「先生のブログ読みました!」
という声を聞きます。嬉しい限りです(感謝)
・・・感想は予想通り様々で、
「とても分かりやすいです!」
から、
「まったく分かりません・・・。」
まで、色々あります。
でも僕は、これでよいのだ、と思います。
なぜならば、このブログは一人でも多くの人に読んでいただき、東洋医学、鍼のすごさ、
(あと正直、清明院の存在もね(*^^)v)
を知っていただくことが目的なのであって、「ある人」や「ある層」を限定的に対象としたものではないからです。
なので、賛否両論あって全然OKです。
これまた陰陽なんです。
賛否の「否」を恐れて、当たり障りのないことしか言わないなら、僕は成長しません。
むしろ「否」こそ大事にして、その「否」を「賛」に変える終わりない努力が、僕の血肉になっていくんじゃないかと思っています。
これからも色々なテーマで書こうと思います。
鍼灸の話、業界の話、日常の他愛もないこと、何でも書きます!
是非今後とも、清明院ブログをよろしくお願いいたします。
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2012.07.08
2016.05.09
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2024.11.01
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清明院15周年!!!2024.10.09
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2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
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(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
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2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
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12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
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12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
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