東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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9月北辰会本部臨床コース

2010.09.06

昨日、9月5日の日曜日は、大阪、上本町にて行われた、(社)北辰会本部臨床コースに参加してきました!!

・・・なんだか8月入ってから、ほとんど毎週関西に飛んでますネ。(苦笑)

ついでに交通費でお金もどんどん飛んでいきます。(笑)

まるで翼が生えたかのようです。(爆)

でもその分、「新しい知識」や「新しい気付き」が、どんどん入ってきます!

それを得るために、体力、集中力が続く限り、自分に投資するのです!

だから僕のこの行動は、趣味と実益を兼ねた、「鍼」に対する情熱の表現なのであります!!

・・・今回は、午前中は実技。

今回から新たに初級~上級班に加えて、「講師班」という班が新設されました。

この班では、北辰会の講師の先生同士が、お互いに技術を研鑽し合う、という目的で新設された班です。

僕はここに参加させていただき、『傷寒雑病論』水本淳先生、方剤学島内薫先生、そして関東支部の尾崎真哉支部長という、大変豪華な大先輩たちに囲まれながら、

 

実技の研鑽をさせていただきました。

・・・これは、めちゃめちゃ勉強になりました!

何が勉強になったかは、難しくなるので書きませんが、今回、僕は割と無口に参加していましたが、ヒジョ~に色んなことに気づかされました。

パワーアップでございます。

午後は蓮風先生による「太極陰陽論解説」、「実技DVD上映」でした。

この医学の根幹である「陰陽論」に関する貴重な見解の数々、そして実技DVDでは超絶テクニックの数々・・・。

いつもながら、サスガでしたネ。

その後は以前このブログでも紹介した、神戸の輝鍼灸院(ブログも必見!)の原元氣先生による症例発表「パニック障害」でした。

原先生は、年齢は僕と同年代ですが、開業されて2年半、現在、スタッフさんも増え、患者さんも増え、乗りに乗っておられる先生です。

その勢いをそのまま感じさせるような、素晴らしい症例でした。

僕(清明院)も頑張って追い付かねば、と思います。

同年代に、こういう刺激的な先生がいるということは、とてもありがたいことです。

そして終了後はお酒・・・。

そして最終の新幹線で東京に・・・。

相変わらずの、トランス状態。


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「肺」って何ですか?(その7)

2010.09.03

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)
「肺」って何ですか?(その6)

 

☆「肺」と皮膚


今日はコレです。

コレもまあ、

「え!?なんで??肺と皮膚なんて、なんか関係あんの?」

と思う方もいらっしゃるんじゃないかと思います。

これは、東洋医学をちょっと知っているような人の間では、ポピュラーな話です。

東洋医学では、人体の皮膚表面(皮膚、汗腺、産毛、粘膜等まで含む)のことを「皮毛(ひもう)」と呼び、

”肺は皮毛をつかさどる”

という有名な言葉があります。

 

『黄帝内経素問』痿論(44)です。)

つまり、何らかの原因で「肺の臓」に異常を起こすと、この「皮毛」に異常が起こることを教えてくれています。

 

今日はこのことについて考えてみたいと思います。

 

まずこれには、「皮毛」の意味をサッと理解する必要があります。

 


・・・東洋医学のいう「皮毛」は、

1.外気温や、湿度などの複雑な陰陽変化に常にさらされ、それに対する防衛の最前線であり、

2.汗や分泌物を体外に出すことによって体温調節や解毒に一役買い、

3.粘膜においては、常に様々なばい菌や機械的刺激にさらされながらも、それに侵されないように体を守り(ここでも最前線)、

4.体の全ての器官(内臓、骨、筋肉etc…)を大外から「まるっ」と包みこみ、外界との境界線となる

部分のことです。

現代では、アトピー性皮膚炎など、この「皮毛」に慢性的に異常を起こす患者さんが非常に増加しています。

 

(2018年版日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 参照)


コレの原因は当然、様々な原因が複合的に絡み合った結果だとは思いますが、東洋医学的に考えると、一つには、

”大気汚染による「肺の臓」の機能の低下”

も、大きく関与しているであろう、と思います。

 


新宿なんかに住んでますと、まったく、中国の古典にあるような「天空の清らかな気」を吸っている感覚がしません。(苦笑)

 

海の匂いのする伊東に生まれ、土の匂いのする群馬で育った僕には、それがよく分かります。

 


そもそも空気の悪いところで生まれ育った人に、皮膚の異常が増えるなんてのは、東洋医学的に考えたら”当たり前”ですね。

 

・・・ところで、最近はあまり言われなくなりましたが、

「皮膚呼吸」

なる言葉がありましたねえ?

 


現在でも、一部のサイトなんかでは、当たり前のようにこの言葉が登場し、それに基づいた施術の効能なんかが説明されています。(苦笑)

 

皮膚でガス交換(酸素と二酸化炭素の交換)を行うのは両生類(カエルさんたち!)とかです。

 


つまり、

「人間は皮膚で呼吸しているからうんぬん・・・。」

と主張することは、

「人間は卵を産むからうんぬん・・・。」

と言っているのと、ある意味同じことです。(苦笑)

 

・・・東洋医学の言う、「肺と皮毛」の関係というのは、こういうことを言っているんじゃありません。

 


コレを正しく理解するためには、「衛気(えき)」というものについて、「サッと」考える必要があります。


・・・これはちょっと長くなりそうなので、次回に続く。(笑)

 

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「肺」って何ですか?(その6)

2010.09.02

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これまでのお話・・・

「肺」って何ですか?(その1)
「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)

 

さ、どんどんいきましょう!

 


☆「心の臓」と「肺の臓」の関わり


これまで書いてきたように、「心の臓」と「肺の臓」は両方とも上焦(胸部)に存在しております。

・・・というか、五臓六腑の中で、上焦に位置するのはこの2つのみです。

そしてなおかつ、この二臓は「氣管」によって連結され、他の3臓と比較すると、その結びつきは強い、と考えられています。

では具体的に、”どう”結びついているんでしょうか?

まず、「心」って何ですか?(その1)で述べたように、「心の臓」には、

”全身にくまなく「血」を送り込むポンプ作用”

というものがあります。

それと似た機能として、「肺の臓」には、

”五臓六腑のフタ(一番上に存在)となり、全身に気血を降ろし、巡らせる”

という機能があります。


この機能同士が密接に結びつき、お互いに支え合い、全身に「気血」を正常に循環させしめている、という訳です。


このようにして、「心」と「肺」は、”上焦(胸部)”という、人体における「上の部分」、つまり、人体の”上下”を陰陽で考えた場合、

「上」は陽なので、心と肺は「陽」という場の中で、陰陽の関係をなしている訳です。

 

つまり・・

心・・・上焦(陽)の中の陽

肺・・・上焦(陽)の中の陰

という風に、東洋医学では分類して考えます。


ここで当然、

「んん!?なんで心が陽で肺が陰なの??」

という疑問が浮上しますが、これもいずれ書こうと思います。

 


まあ要するに、心と肺は、”胸部”という場における夫婦みたいな関係だ、ということです。

 


そしてこの夫婦は、

全身にくまなく「気血」を降ろし、いきわたらせる、

という、人間が健康を保つ上で欠かせない、大変重要な働きを持っている、という訳であります。

 


また、この「降ろす」という働きと言えば、「胃」って何ですか?(その4)「胃」って何ですか?(その5)で述べたように、

「胃の腑」にも、”気を下げる(和降)”という働きがあります。

 

つまり、「肺」”気を下げる(粛降)”という働きは、「胃」の”気を下げる”という働きをフォローしているのです。

 

そして、「心」と「肺」が協調して、”気を全身に行きわたらせる”という働きは、「肝」って何ですか?(その2)で述べたように、

”肝が気血を全身にバランスよく配分する(疏泄)”という働きをもフォローしています。

このようにして、「五臓六腑」というのは、機能的に複雑に絡み合いながら、人体の正常な状態を維持するために、日夜頑張ってくれている訳です!!

 


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墓に入るとき

2010.09.01

こないだ、夏季研修会の後の飲み会で、何人かの先生達とした話が印象に残りましたので、ちょっと書いておきます。

・・・人間は、いつかはみんなあの世に逝きます。

(笑・・・別にこんな、重いテーマでしんみりと飲んでたワケではないのでご安心を。)

まあ、それはみんな分かってる訳だけど、みんなが興味があるのは、”どう”逝くか、ですよね?

今日も、ご高齢の患者さんと話していて、話の中で、その患者さんが、

「先生、私は、死ぬ時はある日”パッ”と死にたい。」

とおっしゃいました。その患者さん曰く、

「何年も寝たきりになって、周りに迷惑かけるのだけは絶対いやだ。もうここまできたら、いつ死んだって別に構わないけど、動けない状態が長くなるのだけはいやだ。」

とのことです。そこで僕が、

「”周り”って誰よ?」

と聞き返すと、

「家族。」

とのこと。僕は、

「今まで散々迷惑かけられて来たんだから、たまにはこっちが迷惑かけたっていんじゃないですか?」

と言うと、笑いながら、

「はは!それもそうだね!!(笑)」

とのこと。

・・・「最後はパッと逝きたい」、これは誰もが思うことではないでしょうか。

痛いとか、痒いとか、苦しいとか、そういうことばっかりを言って、泣きながら向こうへ逝きたい人なんて、普通はいません。

でもなかなか「現実」には、本人が思い描いたようにはならないのが、困ったところな訳です。

ということは、「現実」的に考えた場合、この問題は、どこまでいっても、

「何かをやってれば、間違いなく思い描いたように逝ける!」

とか、

「この考え方で生きれば間違いナシ!」

とかいう正解が、結局は”ない”ということを示しています。

だって、その人の置かれている環境も状況も何もかも、みんなそれぞれ違うし、しかもそれは常に目まぐるしく変わっていくからです。

・・・となると、最後の最後に、笑顔で逝けるか、しかめっ面で逝くか、コレを分けるのは、結局その人の、

「ものの見方、考え方+その柔軟性」

にかかってくるんだと思います。

楽観と悲観、消極と積極、絶望と希望、プラスマイナスの視点、これらも陰陽な訳ですから、

「一定の条件下では」

”転化”させることが可能な筈です。

しかしこれもなかなか、頭では分かっても、

「そういう時はこうすればいい」

という決め手がないだけに難しいですね。

そこで、我々が使う「鍼」、というのは、その「一定の条件」に大いになりえます。

僕たちは毎日、スゴイものを手に持っている訳です。

・・・明日もガンバろ。

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「肺」って何ですか?(その5)

2010.08.31

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)

 

・・・ちょっと空いちゃいましたが、続いていきます!!



☆「九節」について

「氣管」というのは、要は”天空の清らかな気”と、”体内の濁気”の通り道であり、なおかつ「肺の臓」と「心の臓」をつなぐ連絡路でもあります。

ここに、「九」という数字が乗せられている意味は一体何なんでしょうか。

・・・「九」という数字は、ひとケタの数字の中で最大ですよね?

そして、「奇数」、つまり、数字を陰陽に分けた場合の”陽”に属する数字の中でも最大、ということになります。

このことなどから、「九」は”陽の極みを示す”なんて言われたりします。

古代中国で、人々に偏愛された吉祥数字のうち、「五」の次が「九」だ、と言われるほど、「九」を特別視する風潮があります。

これには、文化的、神話的、宗教的に、ヒッジョーに様々な理由がありますが、どれも要は「九」が”陽の極み”だ、という解釈の延長です。


この世の森羅万象を「陰陽」に二分した時、

相対的に”動的”なものは「陽」

相対的に”静的”なものは「陰」

となりますので、「九」

”最も極端に動的なものの象徴”

という扱いを受けることとなったようです。

ではそれが何で氣管に、ということですが、これは、

五臓六腑の中で、最も高い位置に存在する「肺の臓」よりもさらに高い位置に存在し、

「潤い」を好み「渇き」を嫌い、

清濁の氣が絶え間なく「動く」

という、”機能的”、”位置的な”特徴を、その形態に「九」という”陽の極み”の数字を当てることで表現した、と考えられます。

P.S

実は前回の「八葉」の時も、もっとマニアックな解説を一度書いたんですが、あとで読み返した時に、

「こりゃとても一般人に向けた内容じゃないなあ・・・。(汗)」

と思ったため、削除して書き直した経緯があり、今回の「九」の解説もこんな感じとなりました。(笑)


専門家の方々、一部のマニアの方々、申し訳ない!


今回の「九」も、「九星」「九宮」「九州」とか、仏教の「九天」の論とか、書いてもよかったんだけど、誰も着いて来れなくなったらいやなんで、こんな感じにしました。

 


あしからず。

 

数字概念に対する僕なりのマニアな世界は、いつかこのブログにまとめて書こうとは思っています。

 

 

◆参考図書


『中国神秘数字』青土社

 

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「肺」って何ですか?(その4)

2010.08.27

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これまでのお話・・・

 

「肺」って何ですか?(その1)
「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)

 

さあさあ、続けていきましょう!

 

 

☆「八葉」について

まず、「八葉」の方から考えてみましょう。


コレは、基本的には「肝」の7葉との対比、と理解します。

東洋哲学では、”数字”も陰陽に分けます。つまり、

「奇数」は陽、

「偶数」は陰、

という具合にです。そして、

「肝」は血を蔵し、

「肺」は気をつかさどる、

という、「血」と「気」に関わる2大スターを、7葉(奇数なので陽に属す)の「肝」、8葉(偶数なので陰に属す)の「肺」、と表現し、

働きは似てる部分もあるけれども、違いがある、ということを表現したもの、と考えます。


・・・まあ、そう言ってしまえば何となく簡単に思えますが、実はこれも深く考えていくと、

「んん!?」

となることがたくさんあります。(笑)

 

 

例えば、

「奇数と偶数で「陰陽」を表現したいのは分かったけど、何で”7”と”8”じゃなきゃいけなかったの??」

とか、

「”8”は”8”でも、”6葉+両耳”って表記してるのは何でだ??」

とかネ。(苦笑)


これについては、個人的にですが、そういう疑問って、ものごとを深く理解する上では、意外とポイントじゃないかな、と思っています。

 

 

こうやって、人体も含む自然を数字を使って示す考え方のことを「数術」といい、「数術」に用いる数字を「術数」と呼んだりします。

 

 

古代中国人(だけじゃないけど)は、数字を単なる計算のための符号ではなく、大宇宙の「法則」「秩序」を示す神秘的な符号ととらえ、自然を読み解くのに用いました。

 

ただ、今、そのことをあんまり細かく書いていくと、どんどんマニアックな世界に没入していきますので、今はやめておきます。(笑)

 


いずれこのブログ上で、僕のマニアックな考えを述べることがあるかもしれません。(笑)

 

東洋医学に何気なく使われてる数字とか、文章表現というのは、恐ろしく奥が深い世界への入口になっていることが少なくないように思います。

(気付く人は気付く、みたいなネ。)

 

次回は「九節」について。

 


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診療再開!!

2010.08.16

患者さま各位

大変ご迷惑をおかけしました。本日から清明院、張り切って診療再開しております!

そしてブログも再開です!!再びガンガン書きますよ~!!

(書かなかったらやっぱりランキングもちょっと落ちちゃったネ。(苦笑)・・・気合入れて追い上げたいんで、クリック宜しく!)

・・・今回のお盆も、例年通り、伊東へ、奈良へ、群馬へと、スーパーハードスケジュールでありましたが、不思議とまったく疲れておりません。(笑)

明らかに充実感の方が勝っております。今回、

伊東では「海」に癒され、

奈良では「得難きもの」を得、

群馬では「友人」に癒され、

という感じで、とにかくパワーアップして帰ってまいりました!!

・・・まあ、どの話をしても、山ほど書けるぐらい色んなことを感じ取ってきましたが、あまり長ったらしく書いてもしょーがないので、追々書いていくことにしましょう。

僕は1日中、ほぼ常に鍼のことを考えているので、この業界以外の友人や後輩との何気ない会話の中にも、いつも治療のヒントを見出すようにしています。

なので群馬に帰って友人たちと遊んでいても、常に会話の中の「気」と「陰陽」を考えています。

すると、アホな内容の会話の中からも、あらゆるヒントを見出すことが出来ます。

今回のお盆は、いつにも増してそういうことが多かったような気がします。(感謝)

・・・ところでこの間テレビで、とある世界的なダンサーが、インタビューに答えて曰く、

「スタイリッシュなダンスをいかに踊る(表現する)かのヒントは、この地球上に起こる全ての現象にあります。」

と言っていました。

コレを鍼に置き換えて考えた場合、僕もまったく同感です。

まあとにかく、全てを吸収しながら、やっております!

なかなかよいお盆でした。皆様、明日からまた宜しくお願いいたします<m(__)m>

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「SAKEBI」

2010.08.05

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こないだ飲み会で、とある先生達とした話が印象に残りました。

 


今日はその話の内容からインスパイアされた、僕なりの「叫び」であります。

 


僕は叫びます。

 

次から次へと。

 

一貫性のある主張を。

 


・・・このブログ上で、僕は常々、

「西洋医学の内臓(organ)と、東洋医学の五臓六腑は違う!即ち、東洋医学と西洋医学は、両方とも間違いなく”医学”だけど、

 

これらの混同、同一視はナンセンスだ!!」

ということを言い続けています。

 

 

しかし、この言葉に対して、

「へ?なんで??両方の共通項を見出して、東洋でも西洋でもない、第3の医学を作った方がよくない??」

と思う人も、当然いらっしゃることでしょう。

 

 

要はこれが、最近よく言われる、「統合医療」という考え方の一つです。

 


この「一見合理的で美しい」主張、および行動が、実際に後を絶たないんです。特に鍼灸界。

 


・・・で、コレ、誰がどういう風に統合すんの?

 


確かに現状、”実際に治らない病人が存在する”ということは、東西の医学、どちらにも限界がある可能性が高い、ということには疑いの余地ナシです。

 


だから、こういう考え方が生じるのは、分かる面もあります。

 


・・・なので別に、そういう人達の”研究”には、水をさす気はサラサラないけど、そういう考え方を持って、”研究”ではなく、実際に患者さんをやっている人に対しては、

「あそお。ではよしなにやんな。それを支持する患者さんがいるんであればね。・・・でも、あなた達がやっているそれって、

 

実績ほぼゼロの”医学らしきもの”を患者さんに提供している、ってことなんだぜ。それ、分かってるか?」

と、言いたいです。

 

 

また、

「共通項、共通項、とくくろうとするのはいいけど、それを見出すのと同じぐらい、”相違点”を明らかにする努力、なさってますか??」

とも言いたいです。

 

 

そしてさらに、

「ましてそれを、”これが東洋医学です。”なんて、患者さんにプレゼンしてないでしょうねえ?」

と聞きたいです。

 

 

さらにさらに・・・まーいーや。(笑)

 


・・・「気」と「陰陽」という哲学に立脚した東洋医学には、約3000年の実績があります。

 

(確認できる範囲で、です。)

 


「実証主義的な物理科学」に基づく西洋医学は、ルネッサンス期以降のヨーロッパを中心に発展した医学で、東洋医学の歴史と比較すれば浅いものの、

 

数百年の実績があります。

 


これらを”それぞれ別の医学、という認識で”真摯に学び、患者さんに実践、提供するのが、現代の医療人としての、当然の態度だろう、と「僕は」思います。

とりわけ、薬やメスでなしに、鍼と灸を持って治療にあたろうとするんであれば、東西の医学のどっちに重きを置いた方がいいかは明らかでしょう。

 


そうしてよく学び、よく実践する者同士が、お互い、自分自身の限界を自認し、患者さんのために協力し合う、これはあり得ると思うし、

 

現状としてはそれこそが理想的な姿だと思います。

 


しかし、現代日本の医療体制の中で、東アジアの周辺諸国と比較したら、東洋医学の満足な教育システムもない、東洋医学と西洋医学の協力体制もほぼない、

という現状の中で、いきなり謎の「第3の医学」の創設、とりわけそれの実践を語るのは、あまりにも時期早尚じゃないでしょうか?

 


患者さんは「患者さん」であって、「実験台」ではないんですよ?

 


・・・そう思いませんか??

 


むしろ東西の医学双方の「共通点」よりも「相違点」を明らかにして、そこから、

東洋医学に「しか」出来ないこと

西洋医学に「しか」出来ないこと

を明確にしていく方が、双方の存在意義がハッキリするのではないかと「僕は」思っています。

 

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「胃」って何ですか?(その2)

2010.07.21

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前回のお話・・・

「胃」って何ですか?

 

☆胃の位置

 

胃の位置は、おへそとみぞおちのちょうど真ん中ぐらいにあります。つまり、体を上中下と分けた場合の「ど真ん中」にあります。

 


・・・デ~ン!とね。

 


この、おへそからみぞおちまでの間のスペースを東洋医学では「中焦(ちゅうしょう)」と呼び、その中焦のほぼど真ん中に、「胃の腑」が位置している、と考えます。

 


これは、西洋医学のいう「胃=stomach」の位置と大体同じですね。

 


しかし、そこから先はずいぶん違ってきます。

 

 

まず、東洋医学のいう「五臓六腑」というのは、それぞれみんな「背骨」の何番目にくっ付いている、と考えています。

 


一般的な常識から考えたら、

「ハ?そんな訳ないんですけど・・・。」

ですよね?僕も最初これを聞いた時、そう思いました。(笑)

 


これはなぜかというと、物理的に背骨と内臓が連結しているというよりは、例えばある臓腑が異常を起こした場合、その臓腑が付着する(と考えられている)背骨周辺に異常(コリや変形など)が起こることが多く、

さらにその背骨周辺のコリなどの異常を正すことによって、その臓腑の異常が治る、という経験から、そのように考えたんだと思います。

 


また、どんな人でも基本的に臓腑の位置は大きくは変わらないし、人生の途中で大きく臓腑の位置が変わってしまうこともない、ということから、

 

硬くて固定的な「背骨」に付着してるんじゃないか、と考えたのかもしれません。

 


いずれにせよ、いわゆる「現代解剖学的に」正確な内臓の位置や形態の理解なんていうのは、東洋医学の歴史においてはあまり重要視されてこなかった、ということです。

 


でもこれはこれで重要な意味がある、ということは、以前に何度も述べた通りです。

 


ですから現代では、結果的に外科的な分野においては、西洋医学の技術の方がはるかに発達していますよね。

 


そういう意味では、東洋医学は「気」を動かし、調えることによる「機能(陰陽バランス)」の調整、という観点から人体にアプローチする方法、医学体系、と言えます。

 


では東洋医学は人体の「形態」の異常にはまったくの無力か、というと実はそうでもありません。

 


まあこれも当然ちゃあ当然なんですがね。

 

 

その話もいずれ致しましょう。

 


なーんか話がそれてきたんで今日はこの辺で・・・。

 

 


次回に続く

 

 

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「胃」って何ですか?

2010.07.19

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・・・さあ、そろそろ再開しましょう。

 


これからお話しする「胃の腑」についてのお話は、とても重要です。

 


東洋医学では、生命を考える上で、この「胃」という腑の働きを、「脾」とセットで大変重要視しています。

 


何度も言いますが、東洋医学のいう「胃の腑」というものは、西洋医学の言う「胃=stomach」とは違います。混同なきよう。

 

西洋医学では、「死」を心肺停止と瞳孔散大からの全細胞の活動の停止、と考えます。

 

(もちろん死の定義については法律的、生物学的など、色々な解釈や議論があります。)

 

 

そしてそこに至るプロセスにおいて特に重要視される臓器は「心臓=heart」であったり「脳=brain」ですよね。

 


語弊があるかもしれませんが、東洋医学では、そうは考えません。

 


最後まで、五臓六腑の正常な働きに裏打ちされた、「陰陽のバランス」を重要視します。

「陰陽(いんよう)」って何ですか?
「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか? 参照

 


そしてとりわけ、その中でも重要なのが「脾胃」であります。

 


・・・昔、とあるパーキンソン病(脳の病気で、体が震えたり、筋肉がこわばって、徐々にあらゆる運動が出来なくなってしまう病気)の患者さんがいました。

 


その方は80過ぎの男性で、奥様と二人暮らし。

 


昔から病院が嫌いな方でしたが、鍼をすると震えが止まり、ご飯がおいしく食べられる、ということで、信頼していただき、亡くなられる寸前まで診させていただいたことがありました。

 


その方は最後、徐々に徐々に筋肉が硬直していき、起き上がることすら困難、だんだんと食べ物を噛んだり飲み込んだりすることもままならない状況になっていきました。

 


その時、病院の医師は、「胃ろう(胃に管を通し、その管から胃に直接栄養を入れる方法)」をご本人と奥さまにすすめてきました。

 


それをすれば、奥様の介護の負担が減るし、ご本人も長く生きられるし、誤嚥(ごえん:誤って飲み込んだものが気道に入ること)して肺炎を起こす危険性もないと。

 


しかしご本人は、断固拒否。

「そんなことまでして生きてるんなら、死んだ方がマシだ!俺がもし喋れなくなっても、そんなこと絶対にするなよ!」

と、奥様におっしゃっていました。

 


その後、いよいよ喋ることすら難しくなり、流動食をどうにか口にするようになった頃、奥様が病院の先生に、

「胃ろうにして下さい。」

と、”ご本人に内緒で”願い出ました。

 

 

無理もないことで、介護の負担があまりにもきつかったんだと思います。

 


しかし、「検査だから」とご主人をだまして病院に連れていき、胃ろうを開けた翌日に、ご主人は他界されました。

 


・・・何とも言えない、症例でした。

 


東洋医学が重要視するのは、あくまでも他の4臓5腑とのバランスの取れた、「脾胃」であり、それは機械的な消化吸収機関、としての「内臓の一つ」のことではありません。

 


この患者さんの場合も、治療していく上で僕の念頭にあったのは、最終的には「脾胃」の機能をどこまで保てるか、繋いでいけるか、ということでした。

 


その場合、常に他の臓腑や全身(精神的な安寧も含む)とのバランスを考えていなくてはなりません。

 

 

すべての生物が避けることのできない「死」というものに対して、一つの自然現象として、相対的に寛容に受け止めるか、たとえ姑息的であっても、

 

方法があるのにやらないということを医療の敗北と考えて、いかなる方法であっても、延命の道をとるか。

 

 


・・・東洋医学の「胃」と西洋医学の「胃」は違うんです。

 

 

 

次回に続く

 

 

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