東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

2018.02.16

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の弁証

 

 

暈厥には、どんな証が考えられるかというと、以下の通り。

 

1.気虚

2.血虚

3.血気上逆

4.肝陽上亢

5.痰濁上擾

6.暑熱

 

『症状による中医診断と治療』には、以上の6つが挙げられています。

 

(成書によっては、多少多かったり、少なかったりする場合があります。)

 

 

1.2.は虚証、3.4.は肝の病変、5.6.は実証です。

 

 

臓腑では「肝の臓」の異常が中心であり、病態に虚実あり、ということですね。

 

 

だから、一口に暈厥とっても、治療法は、倒れたメカニズムによってそれぞれです。

 

 

もし失敗すれば悪化して、深刻な状態になることも考えられます。

 

 

ですので、やはり「的確な診断」が重要です。

 

 

・・・で、こないだの先輩のケースはどれに該当するかな~・・・、と考えていく訳ですが、ここ(成書)に挙げられているのはあくまでもひな形的なパターンの羅列であって、

 

これらが時には複合的に、あるいはここに書かれていないパターンでも、暈厥は起こってきます。

 

 

ですので、あまり上記の弁証分類に縛られ過ぎて、無理やり当てはめて考えるのも、失敗のもとだったりします。

 

(教条主義を排す、ってやつね。)

 

 

また北辰会方式としては、どういった機序(病因病理)で、上記の証による暈厥に至ったのか、の把握が重要でしょう。

 

(これは、予後にも関わるからです。)

 

 

まあ、あくまでも実際の体表所見、当日の患者像を参考に、何が起こったのかを考えるべきだと思います。

 

 

そういったことを十分に鑑みつつ、慎重に考えると、あの日、その先輩は倒れる直前に、ホテルの豪華な食事を、普段よりも多くとり、普段ほとんど飲まない酒(ビール)も多く飲んでいました。

 

(瓶ビール二本ほどかな?)

 

 

この時点で、脾胃に常ならぬ負担を強いていたことは十分に考えられます。

 

(飲食不節→湿困脾土、湿熱中阻、脾失健運、胃失和降などの”病因→病理”が考えられます。)

 

 

しかも朝から早起きし、熱海への移動疲れもあったことと思いますし、研修会ですから、精神的緊張もあったことと思います。

 

(睡眠不足→気虚や血虚、新幹線での長時間同一姿勢、精神的緊張→肝鬱気滞、気滞血瘀などが考えられますね。)

 

 

しかも倒れる直前に、露天風呂にて長湯をしている。

 

 

長風呂では、肉体的緊張は緩み(理気活血疏肝)つつも、あまりに長ければ、疲労(気虚や血虚)は助長される面があります。

 

 

また、冬場の露天風呂ですから、そこで風寒邪を感受した可能性もある。

 

(その場合は気が急激に上逆傾向になります。)

 

 

ただ、横で見ていましたが、湯舟には肩まで浸かっておりましたし、一緒に入っていて、そこまで風も強くなく、冷たい風を受けていた感じはしませんでしたね。

 

(そして、風呂から上がった瞬間、一瞬”左に”フラッとよろめいたのが少し気にはなりました。)

 

 

風呂場での会話にも特に参加しておらず、そこで何か七情が乱れるようなことはなかったのではないかと思います。

 

(これは推測ですが。)

 

 

その後、脱衣所で急に後ろにバターンと倒れた時、すぐさま駆けつけて脈を診ていた先生が、

 

「沈んで細くて堅いけど、力はあります。重按がやや弱いです。」

 

と仰っていました。

 

 

この脈は、その後すぐに意識がついた時、その瞬間に、緩みながら浮いてきたそうです。

 

 

ここで、気虚や血虚の暈厥では、顔面蒼白、脈無力が特徴で、肝の病変や暑熱では顔面紅潮が特徴ですが、顔色としては、土気色、という感じで、蒼白でも紅潮でもなかったですね。

 

 

 

また、血虚で倒れると、目が落ちくぼんで輝きがない、というのが特徴のようですが、倒れた瞬間、目は一点を見つめ、妙にギラっとしていました。

 

 

血気上逆では歯を食いしばるのが特徴ですが、口は開いて、歯は食いしばっていなかったです。

 

 

倒れた時に上腹部を触った先生は、極端に冷えていたと仰っています。

 

 

また、ご本人が意識がついてから、

 

「倒れる寸前に悪心がして、気付いたら倒れていた。」

 

と仰っています。

 

 

舌診は、意識がついてすぐの舌は舌背が紫暗、舌腹は淡白傾向、特に舌下静脈が淡白気味だったようです。

 

(血虚と瘀血の所見が両方出ていますが、血虚が本と診てとれますね)

 

 

これらの情報を総合すると、成書の分類からいけば、5.の痰濁上擾が中心でありつつも、背後に若干、2.の血虚があるのでは??となります。

 

 

さて、これを治療して、今後同じ状況にさらされても、暈厥を起こさない体にするにはどうしたらいいでしょうか。

 

 

 

続く

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

2018.02.15

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆暈厥の定義

 

 

『症状による中医診断と治療 上巻』によれば、「暈厥」の定義は

 

突然意識が消失して四肢が冷え、一定時間のうちに覚醒して、失語、顔面麻痺、半身不随などの後遺症を伴わないこと

 

だそうです。

 

 

東洋医学のバイブルといっていい、『黄帝内経 素問』「生気通天論(3)」に、「薄厥(はくけつ)」という熟語で登場します。

 

 

そしてこれは後世になって、

 

「鬱冒(うつぼう)」

「気厥(きけつ)」

「血厥(けっけつ)」

「痰厥(たんけつ)」

「食厥(しょくけつ)」

「暑厥(しょけつ)」

「酒厥(しゅけつ)」

「昏厥(こんけつ)」

「昏暈(こんうん)」

「昏仆(こんふ)」

 

などと呼ばれています。

 

(なげえ~~ ありすぎ~~~)

 

 

あれこれと紛らわしいんですが、要は、意識障害を起こした原因(病因)や、その病態によって、名前を呼び分けているようです。

 

 

ともかく、暈厥というのは、「一過性の意識障害」のことを言います!!(・ω・)ノ

 

 

暈厥の暈の字は「眩暈(げんうん):めまい」で有名なんですが、通常、めまいには意識障害は伴いません。

 

 

暈厥の「厥」の字は、ちょっと大事なので後で詳しく書きます。

 

 

また、暈厥は「神昏(しんこん):意識障害が長く続くもの(昏睡状態)」とは、病態が違います。

 

 

また、私の親戚が、ずいぶん前に脳腫瘍で倒れた時に起こした

 

「癲癇(てんかん:単に癇(かん)ともいう)」

 

でも、一過性の意識障害はありますが、この場合は四肢痙攣、牙関緊急(強く噛み締め、閉口してしまう)、口から泡を吹くなどの証候を伴い、

 

これも暈厥とは区別します。

 

 

 

続く

 

 

 

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2017年最終日!

2017.12.31

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気付いたら今日は2017年の最終日ですね。

 

 

清明院では、昨日、30日に年内の診療を終了しまして、新年は5日の金曜日、大安から診療再開します!!

 

 

患者さんにはご迷惑ご不便おかけしますが、キッチリ充電してきますので、すいませんが宜しくお願いいたします!!

 

 

・・・いやー、今年は色々ありました。

 

 

優秀な常勤スタッフが3人増えました。

 

 

来年も、春に一人増えることが決まっています。

 

 

また、春に清明院を法人化しました。

 

 

秋に学会発表、講演活動もしました。

 

 

そして、学会で発表したものを冬に論文にまとめました。

 

 

来年の年明け早々に、非常に楽しみな研究活動があります。

 

 

そして来春に、初めて四国の学校でも講演してきます。

 

 

講演活動や学会発表、またこのブログを通じて、全国のツワモノ達と出会うことも出来ました。

 

 

プライベートでは、旅もしました。

 

 

来年も、旅は続けます。

 

 

御縁に期待します。

 

 

さて、4日まで酒飲んで寝て、グータラ過ごします。。。

 

 

皆様本当にどうもありがとうございます。

 

 

良いお年を。<m(__)m>

 

 

 

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そろそろ忘年会シーズン到来☆

2017.11.11

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11月に入りますと、もう忘年会シーズンです。

 

 

清明院では、12月はバタバタするので、11月のうちに大きい忘年会は済ませてしまいます。

 

 

二十四節気でも立冬を過ぎ、四時陰陽の微石の脈を頭に置きながら治療にあたっています。

 

胃の気の脈診② 四時陰陽に従う脈 参照

 

 

古代人は面白いとこ診てますねえ。

 

 

冬は収斂、収蔵の季節。

 

 

この時期の睡眠不足+暴飲暴食(特に酒)は、ヤバい場合があります。

 

 

それは冬に出なくても、春にとびかかってきます。

 

 

よくよく気をつけましょう。

 

(半分以上自戒。(苦笑))

 

 

 

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(一社)北辰会スタンダードコース大阪会場に参加してきました!!

2017.10.31

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10.29の日曜は、大阪で行われた(一社)北辰会スタンダードコースに参加してきました!!

 

 

午前中は実技「背候診」

 

「背候診」を含む記事 参照

 

 

最初にデモを見せた鍼灸大仙堂山本克仁先生の手捌きが非常に美しく、それを受けて練習する本部の先生方も、非常に真剣です。

 

 

支部も負けずに頑張りましょう。

 

 

午後は本部若手のホープ、松本賢一先生による講義「二便」

 

 

松本先生は藤本新風副代表藤本玄殊堂鍼灸院の武庫川分院の分院長です。

 

 

彼の地元名物である日本酒の製法と、東洋医学的な二便の生成の過程を対比しながら講義するという、趣向を凝らした講義で、今後が大変楽しみな内容でした。

 

 

講義にも基本、ベーシック、型とでもいうべきものがありますが、それをあえてせずに、最初から人と違うことをするのも、また良いことです。

 

 

それをしていく中で、また色々な気づきがあるでしょう。

 

 

最後は清明院も大変お世話になっている神戸の輝鍼灸院原元氣先生による講義「男性カルテ」

 

 

原先生の講義は、いつもながら非常に分かりやすい。

 

 

聴き取りやすい声、喋り方、見やすいスライドで、サクサクと講義なさいます。

 

 

また、今回のように男性生理というあまりないテーマであっても、理論的にもサクサクと分類されており、随所に臨床の話も入れてくる。

 

 

これからの講師はお手本にして欲しいようなサクサクした内容でした。(^^)

 

 

そして終わった後はみんなでお酒。(笑)

 

 

1日どっぷり北辰会。(゚∀゚)

 

 

 

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日本伝統鍼灸学会に参加してきました!!(2日目編)

2017.10.18

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昨日、金沢で行われた日本伝統鍼灸学会の1日目について書きました。

 

日本伝統鍼灸学会に参加してきました!!(1日目編) 参照

 

 

・・・で、今日は二日目について書きます。

 

 

1日目の夜に遅くまで気分よくお酒を飲んで、2日目は眠い中、朝から何とか起きていって、症例を発表してきました!!

 

 

内容は

 

「乳児のアトピー性皮膚炎」

 

の1症例です。

 

 

前日のお酒の麻酔のせいか、まだ脳が半分寝ていて、なんだかぼんやりとしていましたが、まずまず上手くいったんじゃないでしょうか。(笑)

 

 

会場には蓮風先生もいらしており、客席が暗くて蓮風先生を発見できなかったのが、結果的には良かったと思います。

 

(苦笑・・・リラックスして発表出来ました)

 

 

その後は医師である菅原健先生による

 

「方輿輗(ほうよげい)に見られる灸治」

 

というご講演。

 

 

この講演は(一社)北辰会学術部長の奥村裕一先生が座長を務めておられ、最後までは聴けなかったのですが、なかなか興味深い内容でした。

 

『方輿輗(ほうよげい)』というのは、このブログでも依然紹介した有持桂里(1758-1835)先生の代表作です。

 

有持桂里という人物

墓マイラー 7        参照

 

菅原先生のフィールドワーカーっぷりに脱帽でしたね。(笑)

 

 

その後は中国人の王先生による鍼灸実技。

 

 

実はこの実技、僕の東京衛生学園の臨床教育専攻科時代の同期である渡邉大祐先生による通訳で行われました。

 

 

渡邉先生の通訳、メチャクチャ分かりやすい!

 

 

そして中医師の王先生の手技も安定感抜群!

 

 

中医師の先生の鍼というと、昔から、何か荒っぽくて痛そうとか、何となく不衛生な感じがするとか、そういうマイナスイメージがあったかと思いますが、

 

鍼の扱いは丁寧で衛生的であり、しかも少数鍼、余分な鍼を打たないように工夫しているなあ、と感じました。

 

 

あれを突き詰めていったら、北辰会方式になるんじゃないすか・・・?とすら思ってしまいましたネ。(笑)

 

 

ここでちょっと中座させていただいて、以前から行きたかった鈴木大拙館へ。

 

 

以前このブログでも紹介しましたが、鈴木大拙は、西田幾多郎と並んで、当時の日本の頭脳と言ってもいいような人物です。

 

(ここに藤岡作太郎を入れて”加賀の三太朗”なんていう呼び名もあるようです。)

 

鈴木大拙という人物

西田幾多郎という人物   参照

 

 

「禅」の考え方を通じて、世界中に日本の思想、東洋の思想を紹介した、日本人初の世界的な哲学者とも言われる大拙先生。

 

 

とても雰囲気のいい場所でした。

 

 

・・・で、会場に戻って、戸ヶ崎正男先生の講演

 

「江戸期の鍼灸臨床から何を学ぶか」

 

を拝聴し、今回は終了。

 

 

戸ヶ崎先生が仰っていたように、伝統医学における色々な難しいことの標準化などは、みんなで協力しながら行うべきだと思います。

 

(なかなか難しいですけどね。)

 

 

今回、時間が許せば、全講演聴きたかったですが、まあ仕方ない。

 

 

でも十分に満足出来ました!

 

 

・・・なんかこう、次世代の流れを感じさせるというか、今後の大きな動きを予感できるような学会だったと思います。

 

 

これから色々、面白くなりそうだ。(゚∀゚)

 

 

 

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皮膚の消毒は必要か?

2017.08.02

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今日、相当久々に、初診の患者さんから聞かれました。

 

「鍼した痕は、絆創膏を貼らなくていいんですか?」

 

「感染しませんか?」

 

というご質問。

 

 

あまりにも久しぶりに聞かれたので、ポワーッと、懐かしい気持ちになりました。(*‘∀‘)

 

 

思えば、僕が鍼灸学校に入った頃(15年以上前)は、消毒に関して非常に口うるさく言われていた時代でした。

 

 

「足の三里」という、膝の下にある有名な経穴に鍼をするために、下腿の前面をほぼ全て、膝から足首まで広範囲に消毒し、さらに衛生手袋か指サックをはめて刺鍼するという、

 

今にして思えば笑えることを本気でやっていました。

 

(苦笑・・・場合によっては、手術に使うような、刺鍼部位だけ見えるような、くり抜いたビニールみたいなのを被せて刺鍼する、なんていう考え方もあったような気がします。( ゚Д゚))

 

「足三里」を含む記事 参照

 

 

昭和22年に制定(最終改訂は平成26年)された、

 

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

 

の第6条に、

 

「はり師は、はりを施そうとするときは、はり、手指及び施術の局部を消毒しなければならない。」

 

と、規定されています。

 

 

ですので、鍼をする際には、患部と手指は、必ず消毒しなくてはなりません。

 

 

因みに刺入する鍼については、清明院ではディスポーザブル(滅菌済み使い捨て)の鍼しか使いません。

 

(鍼灸院によっては、鍼をオートクレーブで消毒して使いまわしているところもあると思いますが、どんどん減ってきているでしょうね。。。)

 

 

糖尿病などの基礎疾患のある患者さんや、清明院ではどれもやりませんが、深いところにある筋肉に対する刺鍼や、関節腔内への刺鍼、あるいは皮下に鍼を入れたままにする埋没鍼などで、

 

実際に感染症が起こった事例も、報告があるようです。

 

 

 

 

ところがこの、注射や鍼治療をする前の皮膚表面の消毒ですが、実は全く意味がない、という意見もあるようです。

 

参考サイト①

参考サイト②  参照

 

 

皮膚に存在する常在菌というのは、体内で繁殖することはできず、仮に注射や鍼灸治療用の鍼で常在菌が体内に入ったとしても、それが原因で感染症が起こることなどない、

 

という説があるようです。

 

(笑・・・これがホントなら、法律や、俺らの学生時代のあれはいったい何だったんだ。。。( ゚Д゚))

 

 

例えば、感染症の患者に使った注射針を回し打ちするとか、戦場や野戦病院なんかで、汚染物質まみれの状態のところに注射をするとか、

 

糖尿病や慢性消耗性疾患等で抵抗力の著しく低下した患者さんに鍼をするとか、そういう状況でもなければ、泥や埃などの、目立つ汚れだけ水で洗浄しとけば、

 

そこに「きちんと滅菌された道具」で刺鍼する分には、何の問題もないようです。

 

 

現在、鍼灸治療に使う鍼というのは、鍼に薬液や血液の通る内腔がある注射鍼よりも全然細いものを使いますし、鍼尖の鋭さの仕上げ方も素晴らしく、

 

全てエチレンオキサイドガス滅菌済みで、一本一本個別包装されたものを、刺鍼する直前に袋から出して、刺鍼する鍼尖には一切触れずに刺鍼しますので、

 

もし皮膚を酒精綿で消毒しなかったとしても、衛生的には全く問題ないのではないかと思います。

 

(しかも北辰会方式では、刺鍼は一本のみ、深さもかなり浅いです。(笑))

 

 

・・・まあ、法律で規制されていることであるし、冒頭のような疑問を感じて、どうしても不安になる患者さんがいる以上、東洋医学の言う「治神」という観点からも、

 

たとえセレモニー的で、儀式的ではあっても、僕は今後も酒精綿で「消毒」してからの「刺鍼」をし続けるのだろうけども、本当は、酒精綿で経穴を拭う行為自体で、

 

経穴の状態を微妙に変えてしまう側面があるので、徹頭徹尾東洋医学の清明院としては、なるべくなら使いたくないというのが本音なんですけどね。(苦笑)

 

 

あんな、

 

「冷たいアルコール」

 

などという、陽なような陰なような、よく分からんもんで、いたずらに刺鍼部位の気を乱されたくないね、俺は。(゜レ゜)

 

 

だから、僕はほぼ毎日、自分で自分に鍼をしていますが、自分で自分に鍼するときは、消毒なんてしたことないっす☆

 

 

約20年やってますけど、それで感染症になんて、なったことないっす。(*‘∀‘)

 

 

 

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「日本固有の伝統鍼灸」って何なんすか??

2017.07.21

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僕も一応、日本伝統鍼灸学会という学会の平会員であります。

 

日本伝統鍼灸学会HP 参照

 

 

今年の10月に金沢で行われる学術大会では、拙いながらも、症例も発表します。

 

 

こないだ、学術部や評議員の先生方とお酒の席をご一緒しました。

 

(たまにやってる、秘密の夜会ですな☆(゜レ゜))

 

 

チョイチョイ、定期的にご一緒させて頂いております。

 

 

今回もなかなかアツい、濃い話になりました。

 

 

そして次の日、興奮冷めやらぬ中、たまたま日本伝統鍼灸学会の学会誌『伝統鍼灸』の44巻1号が届きました。

 

 

そこに、去年のWFAS(世界鍼灸学会連合会学術大会)を終えての、藤本新風先生の感想(というか振り返り)が書かれていました。

 

WFASについては「WFAS」を含む記事 参照

 

 

実に端的であり、筆不精な新風先生らしい、わずか2ページに満たない内容ですが、かなり突っ込んだ事が書かれています。

 

 

まあ平たく言えば、単刀直入に、

 

「日本の伝統鍼灸やってる皆、これからどうするよ?俺はコウ思うけど??」

 

という、呼びかけ的内容です。

 

 

各会派、各流派が、共通言語を持って、日本固有の伝統鍼灸というモノを、歴史を踏まえつつ、切磋琢磨しながら作りましょう。

 

 

その共通用語、共通認識のベースには、TCM(現代中医学)を置きませんか?って話です。

 

 

TCMを学び、その用語や概念を使って、自分たちの流派が何をしているかを説明する事って、そんなに難しいことですか??とまで言ってくれています。(笑)

 

 

まあね、WHO(世界保健機構)は、用語や疾病分類として、TCM(現代中医学)を採用していますし、欧米諸国でも、

 

東洋医学教育と言えばTCMというのは、もはや基本になっています。

 

 

この流れにどうしても納得できないから、日本として逆らう、というのであれば、中医学に比肩する、日本独自の対案を出す必要がありますが、

 

そんなものは、この50年くらい出せていません。

 

(韓国は”韓医学”というものを打ち出しましたが、内容は中医学と瓜二つです。)

 

 

日本からは、”日医学”なんて、今後も、出てくる気配すらないです。

 

 

そうであれば、TCMを、理論土台として、使わせてもらったらいいじゃないすか。

 

 

その上で、自国の国風を表現してアピールすりゃいいわけで。

 

 

違いますかねえ??

 

 

もはや、それしかないと思いますけどねえー。。。

 

 

蓮風先生はそれを、50年前から言ってるんですけどねえー。。。

 

 

 

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「麦飯」ってどうでしょう?? 7

2017.07.09

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これまでのお話

 

「麦飯」ってどうでしょう??

「麦飯」ってどうでしょう?? 2

「麦飯」ってどうでしょう?? 3 

「麦飯」ってどうでしょう?? 4

「麦飯」ってどうでしょう?? 5   参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆もち米、東洋医学的にはどうか。

 

 

これまで書いてきたように、もち米のことを東洋医学では「糯米(だべい)」と呼びます。

 

 

糯米は、古くは単に「稲(イネ)」と呼ばれ、春秋戦国時代には、かの孔子が食養生に薦めたことで有名なようです。

 

「孔子」を含む記事 参照

 

 

そして、糯米の根とぎ汁、ぬか、発芽した糯米にもそれぞれ薬効があると考えられており、重視されてきました。

 

 

ただ、前回述べたように、糯米は粘りが強く、消化に負荷がかかるため、小児や老人等、消化機能の低下した人には常食はあまりお勧めできません。

 

 

常食すると動悸、皮膚炎、眠気、酒とともに摂ると酔いが抜けにくくなるなどと、僕の好きな李時珍先生『本草綱目』に書いてあります。

 

「李時珍」を含む記事 参照

 

(上記の症状への解釈はまあ、熱化する、脾胃をいためる、というほどでいいんじゃないでしょうか。)

 

性味は温で甘、苦、臓腑では脾肺を養うといわれ、効能としては補中益気、温中止痢、止消渇、止汗とあります。

 

カテゴリ「脾胃」 参照

カテゴリ「肺大腸」 参照

 

(肺を養うのが意外な気がしますが、経絡や東洋医学的な肺の生理を知っていると、なるほど、と分かります。)

 

 

脾虚による慢性の下利や脱肛、軽い貧血なんかには、お粥にして摂るといいようです。

 

(ただし、陰虚内熱型にはダメですよ☆)

 

 

温性であるため、内熱や陰虚のきつい人が食べてしまうと、状態を悪化させる恐れがありますね。

 

 

現代の研究では白濁尿の原因であるフィラリア象皮病の原因であるマレー糸状虫(いずれも寄生虫の一種)に効くとか。

 

 

ちなみに、有名な漢方薬である「小建中湯」に含まれる重要な生薬である「膠飴(こうい)」、つまり水あめの原料は糯米粉(あるいは粳米粉や小麦粉)であり、

 

糯米から作った膠飴が一番いい、といわれているようです。

 

(温性、粘り気の観点で、他をリードしているのでしょう。)

 

 

桂枝湯の中の芍薬を倍にしたら桂枝加芍薬湯、それに膠飴(水あめ)を加えたら小建中湯、という、『傷寒論』を勉強していると良く出てくる言い回しがありますが、

 

膠飴は中焦と肺を温め潤しつつ、症状を緩和し、一部の毒を解毒してくれるわけですね。

 

 

 

続く

 

 

 

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モリンガ? 1

2017.06.24

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先日、患者さんから問われました。

 

「先生、モリンガ飲んでみたけど、合わなかったみたいです。。。」

 

と。

 

 

・・・んん??

 

 

モリンガ?(゜o゜)

 

 

なんだっけそれ??

 

 

聞いたことがあるような、ないような。。。

 

 

僕はこの手の質問を、これまで、数えきれないほど、されてきています。

 

 

・・・で、結果的に、全ての食品、健康食品の知識を網羅するのは難しいし、患者さんも、それだけを食べる生活をするわけでもないし、

 

食生活についてあれこれ細かく指導しても、患者さんを入院させて三食コントロールできるわけでもないので、きっちり守っていただけているかなどの、

 

コンプライアンス検証のしようはない、また、ヘタに何かを勧めると、そればかりを過剰摂取してしまう弊害もある、

 

と、いうことで、現状では安易な食養生は勧めないようにしよう、という結論に至っています。

 

(ラ〇ザップみたいに、毎回の食事を全て写メで送ってもらうことも可能でしょうが、それを全ての患者さんにやるマンパワーがないです。。。)

 

 

僕の食事指導なんてのは、当たり前過ぎてつまらないようですが、腹八分目、野菜中心に、よく噛んでゆっくり食べる、リラックスして楽しく食べる、

 

食事時間が日によって乱れないように。

 

 

デスクワーク中心の人は1日1,2食で十分。

 

 

旬のものをバランスよく。

 

 

なるべく野菜を多く、魚を多く。

 

 

肉や乳製品、酒、砂糖(甘いもの)は過食しないように、ぐらいなもんです。(笑)

 

 

でもそれをキチッと守ってくれたら、たいがいの体調不良は戻ります。

 

 

現代は要するに”何でも摂り過ぎ病”がほとんどだと思っています。

 

 

 

 

話が逸れましたが、今回のモリンガ、ちょっと気になったのでgoogle先生に聞いて調べました。

 

(笑・・・理由は後で述べます)

 

 

でも前置きが長くなっちゃったんで続く。。。

 

 

 

 

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