東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「肥満」と東洋医学

2014.05.22

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前にも書いたけど、たまーに、というかいまだに、患者さんから聞かれる、この質問。

「鍼で痩せられますか?」

 

・・・僕は大体、

「食う量減らして、運動すりゃあ、鍼しなくても痩せるよ。(笑)」

と答えています。

肥満に関しては、飲食の不摂生と、運動不足が大半(90%とも言われる)ですので、そう答えるのが普通、という認識です。

まあ中には、症候性肥満といって、病気が隠れているものもありますが。


因みにこれに関する真面目な回答は、清明院HP内の「よくある質問」のページに上げてあります。↓↓

http://www.seimei-in.com/question.html#no_10


確かに、現代では、芸能人やモデルのように痩せたスタイルは、多くの女性の憧れです。

男性でも、だらしなく太った体よりも、引き締まったスリムな体の方が見栄えがいいと考えるのは分かります。

だから、自助努力なしで痩せることが出来れば、願ったり叶ったりです。

しかしそういう考えが、すでにしてだらしない。(笑)

ココロの肥満ですな。

来週、学校で「肥満」の講義をするんですが、肥満は、飽食の時代における現代病です。

脳や心臓や代謝障害など、あらゆる病気のリスクを高めます。

現代ほど食べるものに恵まれていない古代中国では、実はあまり「肥満」そのものを問題視する傾向はなかったようです。

たとえ肥満であっても、その体に東洋医学的な異常所見や症状がなければ良しとしていたようです。

 


これから、ちょっとこれについて書こうと思います。

 

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患者さんの今までとこれから

2013.10.26

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患者さんの話を聞いていると、多くは一定の「体質傾向」が出てくる。

幼少の頃から、ストレスの影響を体が受けやすい体質だったとか、暴飲暴食しやすく、便秘体質だったとか。

運動し過ぎで常に疲労していたとか。

・・・で、そうこうしているうちにこういう症状が出てきて、次にこういう症状が出てきて、で、今はこうなって・・・、と、これまでのストーリーが明らかになっていくと、

もともとのその人が持つ特性(体質)が、今現在のその人の症状に大きく関与していることは少なくない。

同じ条件に置かれても、その症状を発症するかは、その人の固有の体質が大きく関わっている。

人間性(性格)も含めて。

きのう書いたように、こういう風に、メカニズムを明確にするのが重要。

東洋医学的な病のメカニズム 参照

・・・で、その患者さんのストーリー、メカニズムが明確になると、

「じゃあ今後、どうなっていく可能性が高いか。」

が分かる。

それに基づいて、間違った方向に転ばないように、養生指導できる。

今後、どういう病にかかる可能性が高いか、予測できる。

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往診で重症患者さんと接すること

2013.09.22

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清明院は、外来もそうですが、往診事業部の患者さんは特に、大変な重症患者さんが多いです。

死に直面することも少なくありません。

また、ニーズは様々です。

リハビリ的な機能訓練、運動療法をしてほしい患者さん。

マッサージをしてほしい患者さん。

鍼灸によって、痛みを改善してほしい患者さん。

などなど、実に多岐にわたります。

これら重症の患者さんを、清明院往診事業部のスタッフたちは、日々、一生懸命診させてもらっております。

そりゃあもちろん、難病や重症に対して、正確無比な東洋医学的弁証と、高度な刺鍼技術によって、それ自体を治癒に導くとか、奇跡的な効果を挙げたりとかは、

 

駆け出しのスタッフのレベルでは、もちろん荷が重い話ですし、それを清明院が要求することもしません。

 

(まあ患者さんからもそこまでは要求されないしね。)

でもだからと言って、自分に最大限何ができるかを考えないのでは話になりません。

分かっていることは少ないし、経験も少ないし、出来ることだってそんなにあるわけじゃない。

でもその中で、何ができるか考え、最大限の医療を行う。

それでも報われず、悔しい思い、みじめな思いをすることもあります。

苦渋、辛酸をなめる。

 

苦心惨憺。

しかしこれが数年後、数十年後、必ずスゴイ財産となって生きてきます。

 

 

僕がそうであるように。

 

 

失敗を、失敗のままで終わらせなかったら、結果的に失敗にならない。

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「散歩」の絶大な効果

2013.06.17

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私事ですが、最近背中にコリ感が。。。

治療すると楽になりますが、2日もすると、また出てきます。

色々と考えた結果、「運動不足」「PCの使い過ぎ」という原因しか考えられず。。。

というわけで、今日の空き時間に、メガネをはずし、ひたすら歩く。

ひたすらひたすら、兵隊のように歩く。

・・・何日か繰り返したら、すっかり、症状が消える。

さあ、どの程度効果がもつか。

明らかに、鍼をしただけよりも、背中以外の全身症状にも変化がある。

「養生あっての治療、健康」であるということを、今更ながら実感。

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脳卒中と鍼灸 その4

2013.06.05

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これまでのお話・・・

脳卒中と鍼灸 その1
脳卒中と鍼灸 その2
脳卒中と鍼灸 その3


ではでは、続きいきます!

 

 

脳卒中の症状と言えば、発症してすぐの急性期と、後遺症としての慢性期に分けられますが、東洋医学的にも西洋医学的にも、なんといっても急性期の対応が極めて重要です。

 

発症した時、即座に正しい処置を行えば、その後の後遺症の状況が全然違ってきます。

 

また、もし後遺症が残ったとしても、継続的な治療と、的確なリハビリによって、残存機能の維持増進、再発予防が出来ます。

 


脳卒中の急性期では、重症のものでは急に卒倒したり、意識障害、言語障害、半身不随、顔面麻痺、強いメマイなどを伴います。

 

あまりにも有名な症状が「片麻痺(かたまひ=半身不随)」ですね。

 


たとえば、こないだ国民栄誉賞をとった野球の長島監督。

 


健康だった時を知っているだけに、長島監督のあの姿は、医療従事者ならいざ知らず、多くの一般の方から見て非常にショッキングでしょうが、

あのように、左右どちらかの半身が運動麻痺になってしまったり、言語障害になってしまったりする、実にコワい、いやな病気が脳卒中です。

 


・・・で、いざ倒れた急性期、西洋医学では、血管が詰まった「脳梗塞(のうこうそく)」の場合は、発症からの時間によって、おもに血管に詰まったゴミを溶かす治療(点滴)を行います。

あるいは、脳内で血管が破けた「脳出血」の場合は、点滴や内服薬で出血を止めたり、場合によっては外科的に、頭蓋骨を開いて、出てしまった血液の塊を除去したりします。

これらは近年、大変多い疾患であるだけに、1975年には「日本脳卒中学会」なるものも組織され、盛んに研究されております。

 

 

まあ、物理的に血液中のゴミ(プラーク)が血管に詰まってしまったとか、出血してしまって、それが塊となって脳を圧迫しているとかであれば、

 

迅速にゴミを溶かしたり、血腫を取り除いたりせざるを得ないと思いますし、この対応が早く適切であれば、後遺症も軽く済むことが多いようです。

 

ではこうした場合に、東洋医学、鍼ではどうするかというと・・・、長くなったのでそれは次回。(笑)

 

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いくつかの臨床センス

2013.06.04

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学校で教えていても、勉強会で教えていても、スタッフに教えていても、思うことがある。

(さらに…)

「痹」から「痿」へ。。。

2013.05.23

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東洋医学における、重要な病態認識で、「痹証(ひしょう)」という考え方(カテゴリー)があります。

これが、なんと鍼灸学校の教科書でも、「痺証」という、間違った漢字で記載されていることがある、という話は、こないだ書きました。

「痹」「痺」は違うのです。(苦笑)

「痹(ひ)」ってやつ 参照

「痹証」は、2500年前、中国で成立したとされる、東洋医学のバイブルである『黄帝内経(こうていだいけい)』という書物の中でも、

すでに認識されており、今現在の日本でも、我々はこの考え方で治療を行い、成果を上げております。

(永久不変の真理を説いているワケですよ。スゴイネ~)

これについては、以前スタッフブログに副院長がまとめてくれました。

痹証(その19) 参照

ところで、東洋医学の教科書をみますと、この「痹証」の定義は、

”様々な原因から、風、寒、湿、熱の邪気が経絡に侵入し、結果的に手足や関節で気血の循環障害が起こったモノ”

とされております。

・・・で、たとえ邪気の種類が「風・寒・湿」であっても、これがなかなか治らなかったり、気血の循環障害がきついと、けっきょく気の鬱滞は熱化して、

”熱痹(ねつひ)”
になる場合がある、とされております。

ではそれが、さらに進むと・・・?

今度は「痿証(いしょう)」という病態になる場合があります。

「痿証」というのは、筋肉や関節が萎えて、動かせなくなってしまったものを言います。

「痹証」では、痛みが中心になりますが、「痿証」では、運動障害が中心になります。

こうなると、たとえ局所的であっても、全身的であればなおさらですが、なかなか治りにくいです。

カン違いして欲しくないのは、こうなったとしても、治らないとは言いません。

しかし、そういう状況になる前に、早めに治療することが重要なのです。

先ほど言う『黄帝内経』には、

『風論(ふうろん)』
 ↓↓
『痹論(ひろん)』
 ↓↓
『痿論(いろん)』
 ↓↓
『厥論(けつろん)』

という4篇が、連続して記述されております。

 

東洋医学をやっているのであれば必読でしょう。

それぞれの病態の違い、連続性、治療法の違い、たいへん重要です。

いずれにせよ、早い段階で、キチンと分かっておられる先生にかかれば、その後起こりうる、ものすごい不幸を回避できるということです。

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舌診か脈診か。。。

2013.05.16

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昨日、学生から、「講義の中で”舌診”についてやって欲しい!」と言われた。

 

なんでも、これまでの2年間の中で、ほとんど舌診について学ぶ機会がなかったんだそうだ。

 

こういうことではよくない。

 

せっかく先人が残してくれた、極めて有用な診察法を。

 

もちろん快諾した。

 


 

今現在は、授業の中の、余った時間を使って、「脈診」の練習をしている。

 


脈診については、このブログにも何度となく書いている。

「脈診」を含む記事 参照

 

上手い(基本的なことはすぐに理解し、すぐに実践できる)人もいれば、なかなか上手く出来ない人もいる。

 


技術というのはそういうものだ。

 

向き不向き、得手不得手があるのは当たり前。

 


運動神経のようなもの。

 


そもそも、手首の脈の打ち方から、全身の状態を伺おうとするなんて、非常に高度な技術に思えるから、それだけで尻込みするのも分かる。

 


まるで神業のような気がしてね。

 

しかし、この技術は、2500年も前から、現在まで、一度も途切れることなく、東洋医学の医者によって実践されてきた、ある意味、基本中の基本の診察法。

 

ド基本からド応用、さらにはスーパー名人芸まで、習得のプロセスや考え方は「これでもかというぐらい」きちんと示されている。

 


だから、きちんと基本からやれば、F1ドライバーにはなれなくたって、公道を安全に走れるぐらいにはなる。

 


真面目にやれば。

 


誰だって。

 

では、舌診の場合はどうだろうか。

 

「見りゃわかる」んだから、脈診よりも簡単か?

 

・・・さあ、果たして。

 

そーいえばこのブログで、舌診についてはまだ書いてなかったから、そろそろ書きます!!

 

 

 

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「熱」を籠らせないこと

2013.05.13

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生きてれば「熱」を生じる。

死ねば冷たくなる。

だから「熱」を生じるのは生きてる証拠。

大いに熱を発し、それを大いに発散する。

これが生命の輝きに繋がる。

・・・でも、これが籠ると、問題が起こる。

籠る場所によって症状は千差万別。

現代の様々な病、癌、リウマチ、アトピー、各種の精神病、東洋医学的にはいずれもこの「熱がこもる」というメカニズムが関与していることが多い。

熱が身を焦がし、気血水を凝滞させ、病をなす。

そこで、籠らせないための工夫が必要。

運動のやり方、食生活、睡眠状況・・・。

改善しないと、色々と問題が起こる。

治療的には、「熱の発散経路」に目を向けることも重要。


生体を、オーバーヒートさせてはいけない。

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「痹(ひ)」ってやつ

2013.04.28

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来週、東洋鍼灸専門学校で「頚肩腕痛(けいけんわんつう)」について喋ってこようと思います。

(苦笑・・・真面目にやってるでしょ☆)

東洋医学では、肩こりだとか、腰痛だとか、膝痛なんかの、よくある整形外科的な疾患、いわゆる運動器疾患というやつをどう考えるか。

北辰会ではこれ、大きく分けて4パターンの考え方があるのですが、その中でも重要なのが「痹証(ひしょう)」という考え方です。

これについては、以前副院長がまとめてくれました。

スタッフブログ 痺証(その19) 参照

ちなみに、細かいこと言うと、「痹証」を語る場合に”痺”という漢字を使うのは、本来誤りです。

「痺」はもともとは”うずらのメス”という意味で、全然この場合の意味と違います。

やまいだれの中の「卑」についても、”いやしい”という意味ですから、全然当たらない。

正しくは「痹」と書いて”しびれる”という意味の漢字です。

黄帝内経をはじめ、あらゆる古典にはこっち(痹)の文字で出てきます。

これ実は、鍼灸学校の「東洋医学臨床論」の教科書ですら間違っていますし、PCの東洋医学辞書なんかでも普通に変換すると「痺」の方の漢字が出てきます。

本来は、現代医学でも「麻痺」という時は「麻痹」と書くのが正しいのですが。。。

こうやって、情報というのは間違って伝わっていくのです。

テーゼそのものを疑う必要があるのです。

(細かすぎる指摘かもしれないが。)

・・・ま、この「痹証」ってのは様々な原因で、

筋肉や関節の気血の巡りが悪くなる
   ↓
そこに色々な種類の邪気が入り込む
   ↓
痛みやしびれや麻痹が発生!

ってやつです。

で、それが起こった部位だとか、入り込んだ邪気によって、細かく分類し、治療します。

問題は、(当たり前だけど)ただ分類しただけでは治らない、ということです。

患者さんの症状を、様々な診断法を使って、東洋医学的にキチッと分類する、これは重要です。

しかし、分けただけで満足してちゃダメ。

それをどう治すか。

ここがとっても大事です。

特に痹証は。

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