東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「熱中症」について

2011.06.30

昨日の記事を受けて、「熱中症」というものについて、僕の考えを述べてみたいと思います。(笑)

 

・・・と言っても、西洋医学的な熱中症の程度分類やら、塩分やミネラルのお話、意識障害やけいれんについてとか、そういうサイトはゴマンとあるんで、

ここでは、要するに患者さんから見て、我々鍼灸医学、東洋医学に聞きたいこととしては、

1.熱中症って、コワいコワいって言うけど、要するにどうすれば回避できるの??

2.それでも、もしなっちゃったら、どうすれば最小限に食い止められるの??

3.熱中症に対して、東洋医学はどう考え、何が出来るの??

という3点に尽きるかと思いますので、この3点について書いてみたいと思います。

 

・・・まあ、まずは熱中症の定義ぐらいは、簡単に述べておきましょう。


「熱中症(暑熱障害 Hyperthermia)」


というのは、

体の中と外の”熱”によって引き起こされる、様々な体の不調

 

のことで、専門的には、

「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって、体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、

体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態を指して言う。」 

 だそうです。

赤字部分は具体的に言うと、吐き気とかのぼせ感、めまいやけいれんなどのことを指します。

 

(詳細はこちらのサイト 甲府病院「熱中症」ページ 参照)

 

・・・ちなみに、”熱中症”とは、熱に中る(あたる)症(証)のことを言います。

(よく、脳卒中のことを”中風(ちゅうふう)”と言いますが、あれも”風に中(あた)る”という意味があります。)


「中る」というのは東洋医学によく出てくる言い方で、侵される、毒される、というような意味です。


ちなみにちなみに、よく聞く「霍乱(かくらん)」というのは東洋医学の病名で、暑気あたり、いわゆる日射病を指す場合があります。

 

(『霊枢』経脈篇(10)、五乱(34)『素問』通評虚実論(28)、気交変大論(69)、六元正紀大論(71)『傷寒論』弁霍乱病脈証并治(13)『金匱要略』禽獸魚蟲禁忌并治(24)などなど)

で、まず1.についてですが、同じように炎天下でスポーツしてようが、同じように猛暑の日にクーラーのない部屋にいようが、

全員が全員熱中症を発症する訳ではありません。

 


熱中症を発症するには、それなりの理由がすでにしてその人の体にあるはずです。

 

 


・・・長くなったので、続きは次回。

 

 

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「梅雨」と「湿」と「土」と「脾」

2011.05.31

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いや~、毎日毎日、お天気がハッキリしませんなあ!


雨でジメジメしてみたり、寒かったり暑かったり、風が吹いたりと・・・。

毎朝、空を睨みつける人も多いのではないでしょうか。

以前、「肝の臓」と季節の関係を簡単に述べたことがあります。

「春」と「木」と「風」と「肝」 参照

 


・・・で、今日は、この時期に問題になりやすい、「脾の臓」と「湿気」の関係について述べてみたいと思います。

清明院でも、慢性的に「脾の臓」や「胃の腑」を患っておられる患者さんや、妊娠中でつわりが出ている患者さんなど、この時期は多少の悪化をみます。

カテゴリ 脾・胃 参照


しかし、鍼でキッチリと対処しますので問題ナシです。

「脾」って何ですか?シリーズで述べたように、「脾の臓」というのは、「胃の腑」と協調しながら、いわゆる人間が生きていく上で欠かせない

 

”消化・吸収機能”

 

を調節してくれています。


そして、この要となる「脾の臓」というのは、体内、それから体外(自然環境)の湿気(余分なお水)に弱いのです。

「余分なお水」というキーワードを含む記事 参照

 


まあしかし、こうして読み返してみると、あらためて書くまでもなく、ありとあらゆる書き方で、すでに書いていますネ・・・。(笑)

 

という訳で、上記のリンクを、よくお読みください。<m(__)m>

 

ホントは今回は、五行の「土」と二十四節気とか、色々絡めてお話ししたかったんですが、いかんせん時間がない・・・。

 

・・・ですのでそれはまたの機会として、まあともかく、こういう時を比較的楽に乗り切るためには、

・水分を必要以上にとり過ぎない

・脂っこい物とか、刺激物とか、極端に熱いもの、冷たいものなど、胃腸(脾胃)に負担のかかるものを食べない

・軽くていいから手足を使った運動をする

・鍼にガンガン来る

「決まり」です!(笑)

 

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(社)北辰会5月本部臨床コース

2011.05.09

昨日、5月8日の日曜日は、大阪、上本町にて行われた、(社)北辰会本部臨床コースに参加してきました!!

午前中は実技練習、

「背候診(はいこうしん)」

でした。

これについても、そのうち紹介しようと思っていますが、これの意味は読んで字のごとく、

「背中をうかがう診察法」

です。

清明院の患者さんや、北辰会の先生におかかりの患者さんなら分かると思いますが、僕たちはいつも、患者さんの背中を触って、どのツボが硬くなっているか、

 

冷えているか、熱を持っているかなどなど、あらゆる情報をキャッチして、東洋医学的な診断の材料にしています。

僕は上級班に参加させていただきましたが、久々に大八木敏弘先生という、大ベテランの先生に教えていただき、非常に参考になりました。

やっぱりベテランの先生の手はスゴイです。

数十年かかって出来てきた手です。

フッとさわられた瞬間の説得力が違います。

そして午後は、蓮風先生の代表講演特別編、

「この際だから分からないこと、聞きたいことを何でも質問しなさい。」

でした。

(笑・・・これが講義タイトルです。)

僕も、ここぞとばかりにいくつか質問させていただきました。

フロアからも盛んに質問が出て、しまいには実技披露まで飛び出して、非常に盛り上がりました。

・・・以前から思っていますが、蓮風先生は、「予定調和」というのを、あまり好まないんじゃないだろうか、と思います。

(間違っているかもしれませんが。)

これは以前、テレビでX JAPANYOSHIKIも言っていました。

おそらく「瞬間の美学」みたいなものが表現しにくくなる、ということだと思います。

・・・というかまあ、あまりテーマやしゃべる内容を限定して、カチッとした中でやると、窮屈なようです。(苦笑)

これまでも、昨日のようにテーマをあまり限定せずに、バンバン聴講者とディスカッションしながら、その場の雰囲気が盛り上がっていって、

「場」そのものがとてもいい雰囲気になると、スゴイ発言がバンバン飛び出すことが多いように思います。

蓮風先生は講義に対しても、アーティストなんだと思いますね。

そのあとは関東支部の学術副部長、川田浩之先生による症例発表、

「運動失調(うんどうしっちょう)」

でした。

今日は話が長くなったので、細かくは述べませんが(苦笑)、難しい症状に対して、北辰会方式ならではの治し方をされた、素晴らしい症例だったと思います。

そして終わった後は飲み会・・・。

そしてギリギリ最終の新幹線に間に合って東京へ・・・。

そして今朝からガンガン臨床・・・。

これ、僕的にはいいペース。

 

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気候の変化についていけない!?

2011.03.10

最近、患者さんから、

「暑くなったり寒くなったり、雨が降ったり、ついていけないわ~・・・(+_+)」

という話をよく聞きます。

今は、24節気では「啓蟄(けいちつ)」に入り、季節がまさに冬から春に移り変わろうとしている時です。


こういう時、気候は不安定になりがちで、それについていけず、様々な異常を起こす人が少なくありません。

・・・これ、なんででしょ?

人間は、外気温や湿度の変化に合わせて、発汗したり、尿や便を排出したりして、一定の状態を保っています。

だからあまりにも極端な変化が起こると、調整しきれずに、体内環境の恒常性が崩れることがあります。


・・・では、どうすればそれを回避することが出来るんでしょ?

それは、結局のところ、暴飲暴食や、睡眠不足や、ストレスをためたり運動不足したりしないこと、という、ごくごく当たり前の話に帰着します。

また、東洋医学では、さらにもう少し細かく、四季折々に合わせた養生の仕方も定義しています。

(そのうち紹介しましょう。)

・・・では実際に、変化についていけなくて、体に異常が起こってしまったらどうすればよいのでしょうか??

 

「正しい」鍼にいけばよいのです。(笑)

 

 

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「春」と「木」と「風」と「肝」

2011.02.08

立春を過ぎれば、

「暑さ寒さも彼岸まで」

なんて言葉が、患者さんとの会話の中に混ざるようになってきて、ぼつぼつ春到来の予感でございます。

立春!!
三寒四温
ちょっとした養生法 参照

 

今日はえらく寒いし、夜には関東でも雪が降るなんて言ってるけど、昨日やおとといなんかは、意外と寒くなかったですよね。

 


また、昨日はけっこう風が吹いていましたが、その風の冷たさ、吹き方が真冬のそれとは随分違ってきたなあ、ということに、敏感な人は気付いたことでしょう。



春→夏→秋→冬→・・・
という季節の循環は、昔からある程度一定であります。

 


東洋哲学では、この「四季」の循環に応じて、人体にどういう影響が起こるかを、非常に理論的に考察しています。

 


なぜならこれは日本人、中国人が農耕民族であったからではないか、というのは、多くの学者さんが指摘するところです。

 


・・・という話を、このブログでも何度か書いています。

雨はなぜ降る?
「東洋医学」と「数学」
「清明」について    参照

 


・・・農耕民族にとって、その年の気候の変化をなるべく正確にうかがい知る、予測する、ということは、その年の収穫の多い少ないを決定づける事項であるため、

 

まさに死活問題であったワケです。

 


まーそれはともかく、1年のうちで「春」という時期は、五行で言うと「木(もく)」に分類され、自然界は樹木が青々と、伸び伸びと繁茂し、

 

また新芽が芽吹く時期でもあります。

 

 


人体も同じように、伸び伸びと繁茂するように気が伸び伸びと動いてくれればなにも問題は起こらないんですが、そうもいかない人にとっては「肝の臓」の働きが必要以上に高ぶりやすく、

 

肝の臓の不調を起こしたり、木の性質を持つ邪気である「風邪(ふうじゃ)」という邪気に侵されやすい時期となる、と考えます。(苦笑)

カテゴリ 「五行」
小麦アレルギー
「花粉症」について(その2) 参照

 


・・・ですのでもともと運動不足や仕事のストレスから「肝の臓」の働きが昂っていることが多い現代人は、この時期、

「肝の臓の働き高ぶり過ぎ病」

とか、

「風邪(ふうじゃ)に侵された病」

になってしまうことが多いのです。


(長くなっちゃいそうなんで今日はこの辺にしときます・・・。)

 

 


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「養生」の大事

2010.12.07

最近、随分と寒くなってきました。

・・・というよりも昼と夜の寒暖差、湿度の差が激しいですねえ。

以前も、養生や、急激な気候変動について書きました。

「養生」と「鍼灸」
急激な温度差と湿度差 参照


まあ、いずれにせよ本格的な真冬はもうすぐそこです。

こういう時の過ごし方を誤ると、普段から精神的、肉体的に疲れている人は特に、大概カゼをひきます。

そして、そこにさらに誤った養生法を重ねることによって、さらにこじれていきます。

早い段階で正しい治療と正しい養生をしてしまえば、カゼなんてものはどうってことありません!

コワいコワいと思って、カゼの人を避けてたってこの時期避けきれませんし、始まりませんから(笑)、

まずは正確な自分の体質を知って、正しい養生法はどんなものかを知るところからスタートするべきでしょう。

西洋医学では、インフルエンザや、肺炎が恐いということもあって、ワクチン接種や、ひいてしまったら解熱剤、抗生剤なんかを使って対応しています。

東洋医学では当然ながら、昔から今日に至るまで、鍼灸と漢方で対応します。


でも双方とも、その前に、まずは「養生」が大事です。

いざひいてしまって、治療しなければならない状況になったとしても、まずは「正しい養生」ありきです。

手洗いうがいはもちろんのこと、普段からのぼせ易い人は足腰をしっかりと防寒しておく必要があるし、

暴飲暴食から胃腸を弱らせている人は飲食を減らし気味にし、胃腸に負担をかけないことがポイントになるでしょう。

また、ハードワーカーで睡眠不足、過労気味の人はしっかりとした睡眠時間の確保、

運動不足で体がなまっていたり、精神的ストレスでイライラしている人は散歩等の軽い運動や、

そういう時間が取れないのであれば、せめて少しぬるめのお湯にゆっくりつかって少し汗を出してあげてから布団に入るとか、

必ずその人の弱点をうまくフォローできるような養生法が効果的です。

よく巷で目にする、

「〇〇さえ食べていればカゼ知らず!」

とかそういう、

”これさえやってればオールオーケー”方式は絶対に間違いです。


これだけ個体差があって、なおかつその個体が置かれている環境も千差万別な訳で、特定の何かをしとけばオールオーケーなんて、どう考えてもありえません。

 

(特定の感染症に対するワクチンなんかの場合は除く)

そうではなく、

「自分自身の正しい体質と、それを取り巻く今現在の環境、状況」

に対する正確な理解と、

「それに合わせた的確な養生法」

があってこそ、病を未然に防げる、あるいはかかってしまったとしても最小限に食い止めることが可能になるのではないしょうか。


患者さんの話を聞いていると、間違った養生法をしていることが非常に多く見受けられます。

上記に書いたような養生法はあくまでも一例であり、その患者さんに合わせた、もっともっと細かい養生指導も、やろうと思えば可能であります。

きちんとした養生、それをするためのきちんとした自分の体質把握、これが健康の第一歩じゃないかな、と思います。

そのために清明院では、初診時の詳細な問診を大事にしているのです。

治らん治らんと、自分の生活の見直しを棚に上げて、あれ飲んでみたりこれ食べてみたり、ウロウロしてても、思うように治らんのは当たり前です。

東洋医学も西洋医学も確かに優れた医学であり、あらゆる病に効果的ではありますが、

 

その効果を最大限生かすためにも、

 

「その人に合った正しい養生の実践」

 

というのは一大事なのであります。

 


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「病識」という言葉

2010.11.27

皆さん、「病識(びょうしき)」という言葉、ご存知でしょうか。

 


参考にwiki

 

要するに、

「自分が”病的な状態”であるということを自覚していること」

と考えていいと思います。

 

これはよく、現代医学の、精神科、あるいは内科領域でしばしば問題になる用語だそうです。

 


とりわけ、アルコール依存統合失調症などの病気の際に、よくこの用語が問題になります。

 


自分がアルコール依存統合失調症に該当する状態になっていても、その自覚が患者さん自身にない。

 


患者さん本人としては、自分のことをいたって健康だと思っている。

 


そういう時、

”病識がない”

と考え、問題視し、治療の第一歩は、

”病識を持つこと”

と考えたりすることがあるようです。

・・・まずは、自分が健康でない、ということを理解するところが治療の始まり、と考えると、コレは何も西洋医学に限ったことではなく、

 

我々が普段診ている患者さん達でも、当てはまるケースは大いにあるように思います。

 


例えば、ある患者さんは、仕事に追われ、あくせくあくせく働いているうちに、それが当たり前になってしまった。

 


当然食生活、睡眠時間はメチャクチャ、運動は全くしてない、ストレスは常に感じている。

 


そういう人が、たまたま腰が痛くなったので、紹介されて鍼灸院に来た。

 


診てみると、とても1回や2回の治療で立て直せるような体の状態ではない。

 


しかし本人としては「病識」がないため、すぐ簡単に治ると思っている。


・・・こういうケース、実際に、たまにあります。

 


こういう場合に、患者さんを極力ビックリ(動揺)させないように、何がどうよくないか、そしてそれはどうすればよくなるか、という話を、

患者さんの納得を得ながら進めるのは、なかなか難しいことです。

 


こういうケースは、特に、20代、30代の若い患者さんに多いように思います。

 


確かに、あまりにも自分の体のことを気にし過ぎて、いつも不安がってばっかりいるのも問題です。

 


しかし、自分の健康を過信し過ぎて、突っ走った結果、手遅れ状態になってしまった。

 


それから慌てても、最悪、

”時すでに遅し”

になってしまっている場合さえあります。

・・・忙しく働くのも結構だけれども、たまには自分の体を冷静に見つめなおし、確かな「病識」を持つことは、

”未病を治す”

ことに直結します。

「病識」、軽んじてはいけないと思います。

 

 

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スピリチュアルペイン(その4)

2010.11.09

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これまでのお話・・・


スピリチュアルペイン(その1)

スピリチュアルペイン(その2)
スピリチュアルペイン(その3)

東洋医学のお話に入る前に、前回ちょこっと書いた、「スピリチュアルケア」というものについて、軽く触れておきましょう。

(この話題、何やら皆様興味津々とみえるので・・・。)

 


これまでのお話で、「スピリチュアルペイン」というものは、緩和ケアにおける「トータルペイン」の4分類の中の一つであり、「スピリチュアルペイン」の、

 

さらに細かい分類は3パターンある、というお話をしました。

 


今日お話しする「スピリチュアルケア」というものは、この3つ、それぞれに対する医療人としての対処法(ケア方法)だそうです。


(ここは非常に難しい問題をはらむので、深く入り過ぎずに、簡単に述べます。)

 


1.生きる目的を失っている場合

・・・将来を見出す。これにより、新たな現在を再構築する。

2.他者を失っている場合

・・・新たな他者を見出す。

3.出来ていたことが出来なくなった場合

・・・「考える」「感じる」「表現する」など、まだ自律性がある、ということを理解してもらう。

と、言葉では何となく分かるけど、よくよく考えると、どれも非常に難しいものです。

 


この3つのケアの基本的態度になるのが、

「傾聴(けいちょう)」

と、

「共にいる」

という行動になります。

 


これをすることによって、上記のような解決策をともに考えていく、というスタンスです。

 


緩和ケア医療では、医療者、あるいはご家族等、周囲の人間がこれを行うことによって、スピリチュアルケアに繋がる、としています。

 


・・・まあ、絶望の状態になった時、そばに自分の話をよく聞いてくれる人が一人いるのと、いないのとでは、その患者さんの心理状態は全然違ってくるということは、

 

想像すれば誰でも分かります。

 

この「スピリチュアルケア」というものを、医療者が理解しているのといないのとでは、終末期はもちろん、一般の患者さんにおいても、

 

治療効果、病の経過に大きな違いが出てくるような気がします。

 


このことは、僕自身の短い臨床経験の中でも大いにうなづける部分です。

 


僕はこの業界に入って、比較的早い段階から、「往診」での鍼灸治療を、今日までやってきましたので、寝たきりの方、重病、難病によって通院が困難な方と接する機会は、

 

他の鍼灸師の先生方よりは断然多かったと思います。

 


こうした患者さん達を思うと、たとえ僕のつたない鍼治療でも、週2回、3回と、そのお宅に通って、よくよく話を伺い、鍼をすることで、

 

様々な症状の緩和はもちろん、患者さんが非常に安心し、最後は亡くなるにしても、安らかに最期を迎えることが出来る、少なくともその一助にはなりえると実感する、

 

という経験を、これまで何度もしています。

 


鍼灸臨床サイドから見ると、

「傾聴」+「共にいる」+「鍼灸治療」

という組み合わせは、緩和ケアの考え方に照らし合わせた場合、非常に「スピリチュアルケア」の効果を高めるような気がします。

 


・・・というか、あえて「スピリチュアルケア」なんていう熟語を持ち出さなくても、東洋医学ではもともとこういうことを、数千年もの間、

 

当たり前にやってきたんだと思います。

 


次回からはそんなお話。

 

 

【ここまでの参考文献】

 

ホスピス―その理念と運動 シシリー ソンダース

 

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スピリチュアルペイン(その2)

2010.11.07

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前回、「スピリチュアルペイン」という言葉を理解するにあたって、まず「スピリチュアル」という言葉の概念について説明しました。

スピリチュアルペイン(その1) 参照

 


・・・で、今回は「スピリチュアルペイン」についてです。

 


近代ホスピス運動の草分け的存在で、緩和医療の重要性を説いた、イギリスの女医、シシリー・ソンダース(1918-2005)は、「痛み」というものを、

4つの概念に分類しました。

 

 

すなわち・・・


1.身体的な痛み
(痛み、ダルさ、息苦しさによる、日常生活への支障)

2.精神的な痛み
(怒り、恐れ、不安、イライラ、孤独感etc..)

3.社会的な痛み
(仕事、経済、家庭内、人間関係の悩みetc..)

4.スピリチュアルペイン
(人生の意味、死生観、死の恐怖、苦しみの意味に対する問いかけetc..)

この4つです。

 


そしてこれら1.~4.は、相互に関連しあっているとし、この4つをまとめて、

トータルペイン(全人的な痛み)

として総括し、医療者はこれらの痛みを深く理解するべきだ、としました。

 


上記の1.~4.は、下に行くにつれて、

「エ?痛みじゃないじゃん・・・。」

と思う人も多いかと思いますが、これらは相互に関わり合っている、という”トータルペイン”の立場、考え方からすれば、「痛み」である、

 

ということになります。

 


コレは近年、たまに話題になる、「緩和ケア」という医療分野の用語であり、考え方です。

 


「緩和ケア」や「ホスピス」というものは、近代日本は生活と宗教の関わりが浅いせいか、まだまだ日本人にはあまり根づいておりません。

 


ですので聞き慣れない話というか、すぐに理解するのに戸惑う方もおられるかとは思います。

 


しかしこれはとても重要な考え方だと思います。

 

いいところですが、次回に続く。(笑)

 

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「小腸」って何ですか?(その2)

2010.10.25

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これまでのお話・・・


「心」って何ですか?(その7)

「小腸」って何ですか?(その1)

 

ちょっと空いちゃったけど、続きいきます!

 


☆「小腸の腑」の位置

 


東洋医学では、「小腸の腑」は、「胃の腑」「大腸の腑」の間に位置するよ、と説きます。

 


これだけ聞くと、なんだ西洋医学と同じじゃん!と感じる人もいると思うけど、これも内容がやっぱり全然違います。

 


以前書いたように、東洋医学のいう「胃の腑」というのは、「脾の臓」と密着しながら、腹部(おへそとみぞおちのちょうど真ん中ぐらい)に位置する、と考えられています。

「胃」って何ですか?(その2) 参照

 

 


図を出すと、


脾胃(臓腑経絡詳解)

 

(江戸期、岡本一抱(1655-1716)『臓腑経絡詳解』より)

 

 

・・・こんな感じとか、脾が胃に巻き付いて蠕動運動を説明するときの状況としては

 

 

 

脾胃(竹山師匠)

 

こんな感じでしたね??

 

(ホジュン『東医宝鑑』より)

 


「大腸の腑」というのは、下腹部(おへそより下)にあります。

「大腸」って何ですか?(その2) 参照

 

 


コレも図を出すと、

大腸(類経図翼)

こんな感じでした。

 

(中国明代、張景岳『類経図翼』より)

 


そしてこの2つの腑の間に、「小腸の腑」は位置しています。

 


図を出すと、

小腸(類経図翼)

こんな感じです。

 

(これも『類経図翼』より)

 

これらの図をみると、いかに東洋医学が「内臓の、写実的な形態の把握」について無頓着かがよく分かると思います。

 


いつも言うように、これは当然の話です。

 


だって昔は麻酔もないし、手術したりとか、安全にいじくれないからです。

 


治療する上で問題にすべきだったのは「形態」よりも圧倒的に「機能」の方だったワケです。

 


とはいえ、大腸の腑と小腸の腑は、形(形態)がよく似ています。

 


やっている仕事(機能)もよく似ています。

 


しかし、違いはあります。

 

この辺の話は、「大腸」って何ですか?(その2)にて、少し述べました。

 

 


次回は、そのお話。

 

 

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