東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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平胃散について

2019.03.01

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昨日、四君子湯と六君子湯という記事を書きました。

 

 

ついでなんで、比較的有名にして、「六君子湯」と似ているところのある「平胃散」についても書いておこうと思います。

 

 

・・・まあ、僕は鍼灸の臨床家でありますので、これらの薬の、より臨床的な解説は、漢方家の先生のサイトにお任せするとして、これらの方剤の使い分けの際に考えるような内容が、

 

我々の臨床においても、微妙に配穴や補瀉やその評価に関わってくるんだよ、という話でも書いておこうと思います。

 

 

「平胃散」の出典も、「四君子湯」と同じく、宋代の国定処方集である『和剤局方』であります。

 

 

この『和剤局方』は、以前紹介した森道伯先生の臨床にも出てくる、大変重要な処方集ですね。

 

一貫堂医学について 9(矢数格(道斎)先生の治療) 参照

 

 

『中医臨床のための方剤学』によれば、平胃散「袪湿剤」のグループであり、処方構成は蒼朮15g、厚朴9g、陳皮9g、甘草4gとあり(生姜、大棗を含める場合もあり)、

 

効能は燥湿運脾、行気和胃、主治は湿困脾胃とあります。

 

 

四君子湯六君子湯と違って、人参、白朮、茯苓ではなく、蒼朮を多めにドーンと入れてあることで、「燥湿(湿邪を乾かす)」の効果を主に狙っている訳ですね。

 

 

つまり、湿邪の邪気実によって、脾胃の働きが抑えられているものに対する処方な訳です。

 

脾・胃   参照

 

 

四君子湯、六君子湯”補法(補気)”をベースとした世界とは違う、”瀉法(袪湿)”の世界ですね。

 

 

中国清代の傳山(1607~1684)の『傳青主女科』では、この処方に朴硝(含水硫酸ナトリウム)を加えて、死胎の娩出に使っているというから、興味深い。

 

 

清明院もここ最近、二十四節気では「雨水」に入り、「啓蟄」の前であり、月齢では新月に向かい、こないだの雨で気温がガクンと下がり・・・、

 

という流れの中で、まさに「平胃散証」、という患者さんがチラホラ見えました。

 

 

これは鍼でやるなら、足三里豊隆を瀉法か?あるいは太白を瀉法か??

 

 

それとも脾兪胃兪か?

 

 

あるいはお灸でやるか??

 

 

どれが一番、平胃散チックか??

 

 

 

こう考えながらやるってのも、楽しいもんだねー(゚∀゚)

 

 

 

 

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『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 4

2018.07.28

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これまでのお話

 

『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 1

『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 2 

『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 3  参照

 

 

◆『黄帝内経素問』脉要精微論(17)における脈診に関する記載部分

 

 

長々と、勿体付けるかのように語ってきましたが、ここで『黄帝内経素問』脉要精微論(17)における脈診に関するポイント部分を抜き出しますと、

 

 

①診法常以平旦.

 

→脈は色々な外的条件の影響を受けにくい、夜明けに診ましょうね。

 

②夫脉者.血之府也.

 

→脈っつうのは「血が集まるとこ」だよん。で、その血を動かしているのは「気」だよん。

 

③四變之動.脉與之上下.以春應中規.夏應中矩.秋應中衡.冬應中權.

 

→四季の移ろいは、脈に反映されるよん。春はコンパス(規)のように丸く、夏はさしがね(矩)のように端正で盛んで、秋ははかり(衡)の様につり合いが取れており、

 

冬はおもり(権)のように安定しているよん。

 

④四時爲宜.補寫勿失.與天地如一.得一之情.以知死生.

 

→脈が四季の移ろいとマッチしている状態がいい状態なのよん。そのアンバランスを的確に見分けて、補瀉を間違わなければ、人の生き死にを仕切ることが出来まっせ―。

 

 

・・・④、スゴイっしょ。(゚∀゚)

 

 

(竹下が勝手に意訳☆)

 

 

 

続く

 

 

 

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『霊枢』邪客篇(71)の「導気」について

2018.07.16

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昨日、『黄帝内経霊枢』五乱篇(34)における「導気」という言葉を紹介しました。

 

 

実は『霊枢』にはもう一箇所、邪客篇(71)という有名な篇にも、「導気」いう熟語が出てきます。

 

 

「黄帝曰.持鍼縱舍.余未得其意也.

 

岐伯曰.持鍼之道.欲端以正.安以靜.先知虚實而行疾徐.左指執骨.右手循之.無與肉果.寫欲端以正.補必閉膚.輔鍼導氣.邪得淫泆.眞氣得居.」

 

 

と。

 

 

簡単に訳しますと、

 

 

黄帝が聞いた。

 

「鍼の扱いって、どんな感じでやんの?まだいまいち理解できないんだけど。。。」

 

岐伯が答えた。

 

「鍼の扱い方の極意は、態度を端正に、心を落ち着けて、まず虚実を弁えて、徐疾の補瀉を行います。左が押手で、右が刺手で、左に右が従います。

 

ここで、力任せに鍼を入れて肉が絡むような事態は避けて、瀉は刺鍼部位をキチッと定めて行い、補では鍼孔を閉じます。このようにして、

 

鍼をうまく助けるようにして気を導けば(導気)、邪気は散り、真気は戻ってきます。」

 

 

となります。

 

 

ここで重要なのは、「押手の重要性」「術者の心持」です。

 

 

この二つが出来ていれば、「鍼を輔(たすけ)て」見事に「導気」することが出来ます。

 

 

 

 

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『霊枢』五乱篇(34)の「導気」について

2018.07.15

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昨日、「守気」を紹介しました。

 

 

ついでなんで、ずいぶん前に紹介した「導気」という言葉について触れておきましょう。

 

補瀉 10   参照

 

 

これは『黄帝内経霊枢』五乱篇(34)の締めくくり部分に出てきます。

 

 

「黄帝曰.補寫奈何.

 

岐伯曰.徐入徐出.謂之導氣.

 

補寫無形.謂之同精.是非有餘不足也.亂氣之相逆也.

 

黄帝曰.允乎哉道.明乎哉論.請著之玉版.命曰治亂也.」

 

 

と、出てきます。

 

 

簡単に訳しますと、

 

 

黄帝が聞いた。

 

「五乱(※)に対する補瀉ってどーやんの?」

 

岐伯が答えた。

 

「ゆっくりと鍼を出し入れし、気を導きます。この場合の補瀉に形はなく、有餘不足を調えるのではなく、一時的な気の乱れを調えます。」

 

黄帝曰く、

 

「なるほど素晴らしい。書籍に残して、”治乱”と名付けよう。」

 

※五乱・・・心、肺、四肢、頭部、腸胃における気の乱れから起こる病のこと。

 

 

となります。

 

 

・・・鍼の使い方には、こんなんもあります。

 

 

「補瀉」だけで語れない、気の操作の一つです。

 

 

 

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『霊枢』小鍼解篇(3)の「守気」について

2018.07.14

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最近、北辰会代表、藤本新風先生を中心に、北辰会の実技練習の中で強調される「守気」という言葉。

 

 

以前、軽く紹介しました。

 

(一社)北辰会スタンダードコース東京会場に参加してきました!!   参照

 

 

この言葉は、『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の中にのみ、出てきます。

 

 

出てくる部分の内容を抜粋すると、以下の通り。

 

 

刺之微在数遲者.徐疾之意也.

 

粗守關者.守四肢.而不知血氣正邪之往來也.

 

上守機者.知守氣也.

 

機之動不離其空中者.知氣之虚實.用鍼之徐疾也.

 

空中之機清淨以微者.鍼以得氣.密意守氣勿失也.

 

 

・・・と、出てきます。

 

 

簡単に訳しますと、

 

 

刺鍼の妙は「数遅(さくち)」にある、とは、「徐疾(じょしつ)」の意味です。

 

未熟な医者は、四肢の重要な経穴にのみ気を取られて、全体的な正邪のバランスや気血のバランスが見えていない。

 

上手い医者は、気の動きを把握(守気)している。

 

気の動きを把握していれば、気の虚実、鍼を動かす際の徐疾が分かる。

 

鍼をして気を得たら、よーく集中して気を正確に操作(守気)すること。

 

 

・・・と、なります。

 

 

的確な「補瀉」をして、気の流れの乱れを調えるのが、伝統的な東洋医学的な鍼治療です。

 

補瀉 目次   参照

 

 

それをするには、気の流れの乱れを正確につかまえていないと不可能です。

 

 

それを「守気」と言います。

 

 

的確な「守気」がなされたうえで、以前紹介したように、徐疾を考えた「補瀉」がなされます。

 

「刺の微は速遅にあり」とはどういう意味か。

補瀉 6

補瀉 10

 

 

 

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今週末は全日本鍼灸学会!!

2018.05.30

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今週末は、大阪で開催される(公社)全日本鍼灸学会に参加して来ようと思います。

 

 

法人格を持っているというのは、任意団体ではなく、公的に許認可された団体である、ということなんですが、特に「公益社団法人」というのは、

 

「一般社団法人」よりも、設立にあたってのハードルが高いみたいですね。

 

(・・・ま、あんま興味ねえけどネ。(*‘∀‘))

 

 

業界内では全日本鍼灸学会のことはよく「全日」「全日」と呼ぶのですが(プロレスみてえ( ゚Д゚))、参加するの、何気に初めてかもしれません。(苦笑)

 

 

この業界に20年近くもいるのに、面白いもんです。(^^;)

 

 

・・・まあ、何ていうか、あまり縁がないんでしょうね。

 

 

全日は、業界内では最も大きな学会なんですが、昔から、東洋医学的な臨床の話が少ない気がしていて、正直、あまり興味を持てませんでした。

 

 

西洋医学的な鍼灸治療や、研究の話が多い、という印象です。

 

(違うのかな・・・?違ったら教えて下さい!!<m(__)m>)

 

 

経穴を体表上の、神経学的な反応点と考え、鍼を刺激療法、物理療法の一種、と考える、位置付けるのであれば、別に鍼灸でなくて、電極とか磁石でいいと思いますし、

 

経絡経穴学や蔵象学説や補瀉論をやる意味はなくなります。

 

 

・・・自分はそうは思いません!!って感じです☆

 

 

今回は、(一社)北辰会副代表の藤本新風先生が日本伝統鍼灸セミナー

 

「伝統鍼灸の在り方-北辰会からの提言-」

 

というテーマで出るということなんで、新風先生が何を提言するのか聴きつつ、いい機会なんでいっちょ覗いてみようと思います。

 

 

・・・まあ、楽しい思い出にしたいですね☆

 

 

 

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遠方からの患者さんが増える

2018.05.22

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↑↑サスガ中国、建物の前に孫思邈がドーン!!

 

孫思邈という人物 参照

 

 

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最近、他県を中心に、遠方からの御来院が多い。

 

 

僕がこれまで北辰会、蓮風先生に教わった、清明院のような治療のやり方は、患者さんから実に注目されている。

 

 

大いに、期待に応えたい。

 

 

そして、期待以上の仕事がしたい。

 

 

・・・まあ、とはいえ、今や別にそこに力みみたいなものはない。

 

 

冷静に確実に、これまでやってきたこと、これからやりたいことを、やっていくだけ。

 

 

治す治す、俺が治す、と息巻くと、失敗することも多い、ということも学んだ。

 

 

自然に任せて、と、淡々とやり過ぎても、失敗のもと。

 

 

冷静に確実に。

 

 

引くトコ引いて、出るトコ出る。

 

 

補瀉だね。

 

 

鍼は凄い力を持っている。

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 5

2018.02.25

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 4   参照

 

 

◆血虚に配慮した、痰濁上擾の鍼灸治療

 

 

前回までで、ザックリではありますが、先日の研修会で先輩が倒れたメカニズムに関して、簡単に仮説を立てました。

 

 

でもまあ、まさにこれが、僕らが頭の中で普段行っていることです。

 

 

痰濁上擾が中心で、背後に血虚もアリ、と考えた場合、どんな鍼灸治療が考えられるでしょうか。

 

 

実際に、今まさに意識不明(人事不省)になっている最中は、まずは意識をつけないといけないので、”気付けの鍼”といわれるやり方がいくつかあります。

 

(専門的には”開竅法”と言ったりします。)

 

 

映画『レッドクリフ』で、気絶した人に対して、鼻の下にある「人中」という経穴をグッと押して意識をつけるやり方が出てきましたが、ああいうのも一つの方法です。

 

 

また、韓国ドラマ『太陽人 イジェマ』なんかでは、麝香の粉末を竹筒で鼻に吹き込んでくしゃみを誘発して意識を付ける、なんていうシーンもありましたね。

 

 

ただ今回の場合は、倒れてすぐに、自然と意識が付きましたから、こういう場合は、再発防止の鍼をすることになります。

 

 

基本的には、このケースで言えば痰濁を下す鍼です。

 

(あえて配穴は言いませんが、『経穴解説』『穴位通鑑』参照です。)

 

 

・・・でも、そこであまりにもキツイ瀉法を加えると、陰血を傷ってしまって、血虚を悪化させてしまう可能性がありますので、陰経の経穴などは極力避けた方がいいとか、

 

血そのものや、血の生成に関与する臓腑と関わる経穴は避けた方がいいとか、選穴にしても補瀉手技にしても、そういった配慮が必要になります。

 

「血」って何ですか?(その10)

補瀉 目次             参照

 

 

・・・で、治療後の排便、排尿、発汗、食欲等の状況に注意を払って、きちんと痰濁が下っているかどうか、血虚が埋まってきているかどうか

 

適宜判断していかなくてはいけません。

 

 

これがうまくいって、その治療を一定期間続けたら、今回と同じような状況にさらされても、暈厥を起こさない体にしていくことが出来るでしょう。

 

 

・・・まあ、これが鍼灸、東洋医学としてのやり方なんですが、実際に目の前で突然バターンと人が倒れた時に、急場で、すぐに意識が戻るものなのか、

 

このまま何年も昏睡状態になってしまうようなものなのか、あるいはそのまま帰らぬ人になってしまうようなものなのか、適切に判断しなくてはいけませんが、

 

この判断は簡単ではないです。

 

 

北辰会方式では、顔面気色と脈で判断することになっていますが、長くなるし専門的過ぎるので、ここでは詳細は述べません。

 

 

急な意識障害には、他にどんなものがあるのでしょう。

 

 

まずは西洋医学的な分類を見てみましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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七死の脈① 雀涿脈

2018.01.26

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北辰会では、以前少し語ったように、脈診については「胃の気の脈診」と名付けて、胃の気の盛衰を診ています。

 

 

ここでいう「胃の気」というのは「生命力」そのもののことです。

 

 

生命力が盛んであるか、衰えているかは、脈に如実に映し出される、それを明確に感知できるようになれば良い、という立場です。

 

 

どんな治療であれ、治療後に胃の気が回復したことを確認できれば、それはうまくいっている、と判断することが出来ます。

 

(ただ、いくら良性の変化でも、もちろん一過性ではダメですが。)

 

 

・・・ところで、脈の中には、「ヤバい脈」というものが存在します。

 

 

診た瞬間、「ん、これは良くない!」と判断できる脈です。

 

 

こういう脈を見つけたときは、手を出さない方が無難ですが、手を出しても変化が見られないときは、すぐさま自分よりもウデのいい先輩なり、

 

信頼できる専門病院なりに送るべきです。

 

 

そういう脈のことを「怪脈」とか、「七死の脈」と言います。

 

 

これについては、江戸中期、山延年(やまのべみのる:名前の読み方について諸説あり)の著書『脈法手引草』の中に書かれています。

 

 

『脈法手引草』は、昭和38年に、医道の日本社より、岡部素道先生によって校閲版が出版されています。

 

(岡部先生、サスガいい仕事してくれてますね~~)

 

 

そしてこの中にある「七死の脈」については、蓮風先生も『胃の気の脈診』の中で解説しておられます。

 

 

一つ目は「雀涿脈(じゃくたくみゃく)」

 

 

これは簡単に言うと、やや沈んだ不整脈の、速くて堅い脈です。

 

 

橈骨動脈の拍動部を少し押さえないと触れず、しかも堅い、速い、不整である、この条件が揃うと、「ヤバい!」となります。

 

 

「雀啄(じゃくたく)」というのは、刺鍼の際の補瀉の技術でも使われるいい方なんですが、読んで字のごとく、「雀が啄(ついば)むように」といいうことで、

 

自然界の雀の嘴の動きを見てると分かるように、速く鋭く、チョンチョンと指に触れる脈、という意味です。

 

「雀啄」を含む記事 参照

 

 

この脈を診たら、あと4、5日は持つけど、脾胃が動いていない脈なので、終いには亡くなってしまう、と書かれてます。

 

 

これに相当する脈は、末期がんの患者さんなどで、亡くなられる寸前に何度か診たことがありますが、現代では、病院に入院している患者さんで診ることが多く、

 

その場合は点滴が入っていることが多く、まるで”ふやけた”ように、強制的に血脈が緩まされていて輪郭がぼやけている面があるため、

 

「堅さ」についてはさほど感じない、という印象が、個人的にはあります。

 

 

 

続く

 

 

 

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「刺の微は速遅にあり」とはどういう意味か。

2018.01.15

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鍼灸医学、東洋医学の聖典、『黄帝内経』

 

 

『黄帝内経』の内容は、『素問』81編、『霊枢』81編からなります。

 

 

この二つのうち、特に『霊枢』「鍼経」とも言われ、鍼灸の聖典とも言われます。

 

(もちろん、別意見もありますが、こっちの方が何となく定説でしょう。)

 

 

そして、こういった古典は、最初(冒頭)に最も重要なことが書いてあることが多いようです。

 

 

『素問』の冒頭は「上古天真論」『霊枢』の冒頭は「九鍼十二原」が1編目です。

 

 

「九鍼十二原」には非常に重要なことがたくさん書いてあり、多くの伝統鍼灸を重んじる鍼灸師に、特に注目されています。

 

 

ここに、

 

「刺の微は速遅にあり」

 

という文言が出てきます。

 

 

以前、「補瀉」に関して愚考を書きましたが、この文言は多くの解説書に言われるように、

 

「刺鍼のスピードのが速いか遅いか」

 

のことを指している、と言われます。

 

 

いわば「徐疾の補瀉」のことですね。

 

補瀉 目次  参照

 

 

刺鍼する際の鍼の動かし方のスピード(速遅、徐疾)の重要性は、色々な古典に出てきます。

 

『鍼経指南』『子午流注鍼経』『鍼灸大成』など)

 

 

しかし、ここに関して、先日の勉強会で日本内経医学会の会長の宮川浩也先生が仰った、

 

「この部分は刺鍼の速さの問題だけでなく、臨床の際の判断の速さ、迷いのなさを言っていると思う。」

 

と発言されたことに、非常に感銘を受けました。

 

 

・・・なるほど、そう読むか。

 

 

サスガ内経医学会!と思いましたね。<m(__)m>

 

 

 

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