東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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Search Results for: 補瀉

補瀉 32

2016.03.24

_20201108_210640

 

 

 

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉         参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

いよいよ日本における補瀉の変遷、いきましょう!

 

 

◆日本における補瀉の受容

 

 

中国では、医学の歴史といったら2500年前の『黄帝内経』から、歴史的変遷を考えていくんですが、日本では、医学といったら、

 

約1500年前、朝鮮半島や中国大陸から伝わった、ということになっています。

 

(by『日本書紀』

 

 

そして、以前このブログでも紹介した丹波康頼(912-995)による『医心方』が、内容を確認できる最古の医学書、ということになっています。

 

(因みに『大同類聚方』(808年)も、一応確認できます。)

 

「丹波康頼」を含む記事 参照

 

 

いずれにせよ、日本での医学の歴史となると、文献的には約1000年前から、となり、中国よりもかなり歴史は浅いようですが、

 

まあ、中国医学が伝来する以前から、おそらく土着の医療行為は行われていたわけで、それと、大陸から伝わった学術が合わさって、

 

独自の医学、医術が形成されていった側面がある訳です。

 

(日本は宗教にせよ何にせよ、それが面白い。)

 

 

約1000年前から、これらの書籍が登場する中で、刺鍼の際の技術が詳細に記載されているもので、日本最古のもの、となると、

 

その約500年後、このブログにも何度か登場している曲直瀬道三(1507-1594)の『鍼灸集要』なんだそうです。

 

曲直瀬道三を含む記事 参照

 

 

彼は『鍼灸聚英』『鍼灸大全』など、それまでの中国の鍼灸の専門書を十分に勉強して、その上で自分の意見を加えてまとめたのが『鍼灸集要』なんだそうです。

 

 

それまでの医学書の中にも、刺鍼に関してはチラホラ記載があるものの、『黄帝内経』から明の時代に至るまでの、

 

刺鍼技術をまるっと紹介したのは、彼が初なんだそうで。

 

 

偉大ですねー、曲直瀬道三。

 

 

そりゃあNHKで特集組まれるわー。(笑)

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 31

2016.03.21

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補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉    参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

ここまで、実に長々と、 鍼灸医学の超重要ポイントである「補瀉」について、2500年前の『黄帝内経』から、中国での歴史的変遷を語ってきました。

 

 

気が付けば、過去のシリーズで最大の長さになっていますが、まあいいです。

 

 

この後、今度は日本における「補瀉」、現時点での僕的な「補瀉」についても書いていきます。

 

(笑・・・ですのでまだまだ、終わりが見えてません。。。)

 

 

患者さんには、このシリーズ、意味不明、難しいとよく言われるのですが、気分的に、書きたいんだから、仕方ないです。。。<m(__)m>

 

 

さて、明代清代を経て、いよいよ今日は現代です。

 

 

「中医学における補瀉」はどういうことになっているのでしょうか。

 

 

◆現代中医学における補瀉

 

 

・・・まあこれは、一口に言って、先生によって諸説紛々、というのが、一番的を得た言い方のようです。(爆)

 

 

2500年前、『黄帝内経』で定義され、『難経』でさらに具体的に示され、元代の『針経指南』あたりから複雑な手技が登場し、

 

明の時代に至って『鍼灸大成』で集大成されたものの、同時代の『鍼灸聚英』などの一部の本から、やや複雑化し過ぎて形式的、

 

観念的に偏り過ぎたともとれる補瀉法には批判もありつつ、清の時代ではさほど目新しい動きはなく、諸説紛々のまま、

 

鍼灸臨床をやっている各人の解釈で、現代に至っているようです。

 

(因みに清代には、アヘン戦争という一大事があったので、なかなか新しい動きが生まれにくかったんでしょう。。。)

 

 

中国に実在する名医の先生方の、鮮やかな手技は、一定の参考にするべきだと思います。

 

 

・・・補瀉法には、実に無数の手技があり、これについては、一つ一つ取り上げて紹介するよりも、東洋学術出版社から出ている、

 

『針灸手技学』という本が非常に参考になります。

 

 

興味のある方は、そちらを見ていただければ、と思います。

 

 

まあ何しろ、

 

「正気を集めるのが補法、邪気を散らすのが瀉法」

 

その目的は、

 

「人体の陰陽の調和を図り、気血の流れを正常化すること」

 

これが補瀉の原則です。

 

 

で、それを”手法”に落とし込もうとすると、無数のパターンが想定できる、ということです。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 30

2016.03.17

_20201108_210523

 

 

 

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これまでのお話・・・

 

 

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補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉        参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆明代、高武『鍼灸聚英』(1529)における補瀉

 

 

さて本日も『鍼灸大成』と同じ、明の時代の注目書籍、『鍼灸聚英』をみていきます。

 

 

高武先生は、それまでの色々な補瀉手技、手法に対して、『鍼灸聚英』の中で堂々と批判を述べています。

 

(まあそれだけ、自信があったのだと思います。)

 

 

呼吸の補瀉については、

 

「患者の自然な呼吸に合わせるのはいいけど、術者が命じて呼吸させるのはおかしい!」

 

と述べたり、鍼を口で暖めることについては、

 

「口よりも体にくっつけて暖めた方がいい!」

 

と言っています。

 

 

これは、呼吸については出来るだけ自然な状態を大事にした方がいいということだと思うし、暖めることについては、口だと、暖まるのは鍼体だけだけど、

 

身に付けておけば鍼全体が暖まるし、何よりも鍼がその術者の気を帯びやすいからだと思います。

 

 

しばらく身に付けていた鍼を使うのと、どこかに置いておいた鍼を使うのと、微妙に違うということは、ちゃんと鍼をやっている者なら分かると思います。

 

 

また、これまでにも紹介した竇漢卿(竇黙 1196-1280)の『針経指南』の十四法や、何若愚(かじゃくぐ 生没年不詳)の『子午流注鍼経』の時間治療や

 

『金鍼賦』、男女の補瀉や左右の問題などに対しても、

 

「部分的に『黄帝内経』にしたがっていない!おかしい!!」

 

という風にズバッと批判しています。

 

 

このように、『鍼灸聚英』では、『黄帝内経』にしたがっていて、その世界を再現している論であれば認めるが、後人の独創であり、

 

しかも場合によっては人を迷わせるような補瀉の考え方については、どちらかというと批判的、否定的なんだと思います。

 

 

まあ、真面目な人柄がうかがい知れますな。

 

 

『鍼灸大成』に書いてあるような、観念的とも思える補瀉の手法に対する、手厳しい批判は、 高武の『鍼灸聚英』以外にも、明代の汪機:撰の『鍼灸問対』(1530)、

 

清代の李学川:編の『鍼灸逢源』(1822)でも同じようなことを言っているそうです。

 

 

・・・まあ僕としても、批判派に一票かな。

 

 

補瀉は、いざやるときの正邪の感覚的噛み分け、目的意識こそが重要なのであって、作法や論理にばかりとらわれて、

 

機械的に運用してはいけない、と思います。

 

 

でも一方で、絶え間ない臨床と研究、その時々の社会情勢の中で、こうやって様々な、

 

「医者を志すものであれば”誰でも”出来る補瀉」

 

のための手技手法を編み出してこられた先生方への敬服の念も、感じないではないです。

 

 

曲解、誤解する側にも、それ相応の責任はあるわけだし。

 

 

原典に準拠したことしか言っちゃいけないなんてのは、頭カタすぎるわな。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 29

2016.03.15

_20201108_210438

 

 

 

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補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3     参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆明代、李梃『医学入門』(1575)における補瀉

 

 

さて本日は『鍼灸大成』と同じ、明の時代の注目書籍、『医学入門』をみていきます。

 

 

この本を書いた李梃先生は、この本の中で、

 

「鍼をするのに、たくさん打っちゃダメです!少数鍼がいいんです!!」

 

という、我々少数鍼治療家にとっては非常に嬉しい発言をしてくれています。

 

 

ここでは面白いことに、呼吸を

 

「自然の呼吸(患者の自発的な呼吸)」

 

と、

 

「使然の呼吸(術者が患者を促して吸ったり吐いたりさせる呼吸)」

 

に分けており、

 

鍼を刺す時、抜く時は「使然の呼吸」を使い、

 

鍼を打った状態で、鍼を捻って気を集めたり散らしたりする時は「自然の呼吸」に合わせるといい、

 

と説きます。

 

 

「使然」と「自然」・・・、音が同じでややこしいけど、これはなかなか、興味深いことを言いますね。(*’ω’*)

 

 

これは単純に、刺針時、抜鍼時の刺激を軽減する方法、ともとれますが、自然の呼吸と使然の呼吸は、明らかに意味が違うように思います。

 

 

個人的には、心神、肺魄の操作じゃないかな、と思って、実際に使ってみたりしています。

 

 

またこの本では他にも、これまで書いてきたような呼吸の補瀉、男女の違い、深浅の補瀉についても述べています。

 

 

また、九六の補瀉と言って、九回雀啄(提挿)したら補法、六回雀啄したら瀉法といい、補瀉を強めるには九の倍数で雀啄の回数を増やし、

 

瀉法を強めるには六の倍数で雀啄の回数を増やすという、まるで宗教儀式や作法のような、かなり観念的とも思える補瀉法も紹介しています。(笑)

 

 

そして、各種の補瀉法を”迎隨”としてまとめ、”迎隨”が単なる補瀉の手法の一部ではなく、補瀉というものの総則であることを述べております。

 

 

『子午流注鍼経』といい、『医学入門』といい、”迎隨”という言葉の扱いを見るに、もしかしたら『難経 72難』は、

 

『黄帝内経』”迎隨”の意味を具体化したようで、かえって矮小化してしまった面もあるのかもしれません。

 

 

まあともかく、『医学入門』でキッチリと強調されているのは、鍼下に気が集まった感覚がないと効かないよ、豆腐に刺したような手応えの無い感じではダメだよ、

 

ということを繰り返し述べています。

 

 

だから要は『医学入門』も、『鍼灸大成』と同じように、ただ教条的に補瀉手技を運用するのではなく、現場での術者の感覚に合わせて、

 

臨機応変に対応することを勧めているのです。

 

 

これが理解できないと、治療上まったく無意味な「お作法」に終始することになるでしょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 28

2016.03.14

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補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

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補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2      参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

 

 

さて本日も、『鍼灸大成』の記載について書いておきましょう。

 

 

ここに、「平補平瀉」という鍼の手法と、「大補大瀉」という鍼の手法が出てきます。

 

 

「平補平瀉」という言葉は、明代の陳会『神応経』(1425序刊、1645重刊)という書物に初めて出てくる言葉らしいのですが、『鍼灸大成』にも記載されております。

 

 

これは、まず浅く打って、後に深く打つのを補法とし、まず深く打って次に浅くするのを瀉法とする方法で、要は鍼を上下させて気を動かし、

 

内外の気が調ったらやめましょう、という方法ですよ、ということになっています。

 

 

「大補大瀉」は、平補平瀉をやる場合よりも陰陽の差が大きいので、浅い位置でキッチリと補法、深い位置でキッチリと瀉法をして、

 

内外上下の気を通じさせましょう、と説きます。

 

 

これは上下させるだけではなく、浅い位置での補法、深い位置での瀉法を、捻鍼等の方法を使ってキッチリやりましょう、ということでしょう。

 

 

ここでさらに、その場合の、鍼の深さや置鍼時間がどうやって決まるかと言えば、それは病体によって違うから、

 

いちいち教条的に覚えるものではない、と説きます。

 

(ここイーネ!!)

 

 

つまり、補瀉 23 で述べたように、孫思邈(581?-682)『千金翼方』の言うような、

 

「補は強刺激、瀉は弱刺激」

 

という風に杓子定規に決めるものではなく、補法にも瀉法にも、強弱あり、で、目的はあくまでも気血の調和だ、ということなんです。

 

(ここ大賛成です。)

 

 

つまり『鍼灸大成』では、それまでの医家が述べた鍼の補瀉手技について、一つ一つキッチリとまとめつつ、いい意味での、

 

臨床現場における 臨機応変性、主観性についても認めてくれているんです。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 27

2016.03.13

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉       参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

 

 

さて、前回紹介した「金鍼賦」なんですが、ここには、

 

「提挿(鍼の出し入れ)の方法を色々組み合わせて鍼の手技を作ると、鍼の技法は全て備わる。」

 

と述べています。

 

 

また、

 

「死生と貴賤は鍼下ですべて知る。」

 

ともあり、鍼しても反応の無いものは死に、鍼して反応のあるものは生きる、と言います。

 

 

生きる、死ぬとは極端な言い方だけど、まあそうだと思います。

 

 

ここの貴賤は解釈が分かれるところな気もしますが、まあ、その患者さんの社会における運命まで分かる、といったところでしょうか。

 

 

そして、術者が得たい反応を鍼下に得るために、押したり、捻ったり、弾いたり、出し入れしたり、それらを呼吸に合わせたり、

 

男女や左右で打ち方を変えたり、出し入れする深さや回数に拘ったりするのです。

 

 

これらの集大成として、補法の焼山火(しょうざんか)、瀉法の透天凉(とうてんりょう)という有名な手技が提示されています。

 

 

後ほど書きますが、こういった刺鍼の際の補瀉手技にこだわる姿勢については、後世、少なからず批判も多いです。

 

 

僕は正直、そこまで補瀉手技に拘ったことがありませんが、まあ、一読の価値はある、と思ってはいます。

 

 

蓮風先生の臨床を見ていても、刺鍼の際に手もとで何もしてないかというと、微妙な操作を加えている場面というのはやはりある訳で、

 

ただそれを猿真似するのではなく、それの意味を考える姿勢は重要だと思っています。

 

 

また、非常に重要な意味があるなあと思うのは、こういった複雑な補瀉手技が、日本ではあまり受容されなかったことです。

 

 

その話に行くまでに、もうチョイ中国の話が 続く。

 

(笑・・・補瀉なげえ~~)

 

 

 

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補瀉 26

2016.03.12

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉          参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

 

 

金代に 竇漢卿が『針経指南』を書いて以降、中国で鍼の補瀉と言えば、ますます色々な”手技”が主張されるようになったきらいがあります。

 

(刺鍼してから、鍼を捻ってみたり、弾いてみたりはもちろん、そのタイミングや回数についてまで、実に細かく、どんどん複雑化していきました。)

 

 

元代~明代に至ると、その動きはますます加速して、明代末の『鍼灸大成』(1601)に至って、ほぼほぼ集大成されたようです。

 

(まさに鍼灸”大成”ネ。この辺の時代は、明代前期の『鍼灸大全』(1439)とか、『鍼灸聚英』(1529)とか、総集編的な本がたくさんあります。)

 

 

この『鍼灸大成』については、以前”八脈交会八穴”を調べていた時にザーッと読みました。

 

なぜ八脈交会八穴なのか 参照

 

 

そう言えば当時(10年近く前かな?)、蓮風先生から、

 

”お前もそろそろ『鍼灸大成』を読め。何が足りないのかが分かる。”

 

と言われたことがありました。

 

 

また、1972年の田中角栄日中国交正常化以降、早い時期に中国に留学し、当時はまだけっこう生きていた著名な老中医たちに、鍼を教わった先生が、

 

歴代の膨大な文献のうち、何から読んだらいいかと尋ねると、多くの老中医が口を揃えて『鍼灸大成』と言っていたそうです。

 

 

こういうエピソードからも、いかに重要な本であるかが分かると思います。

 

 

その『鍼灸大成』に、有名な「金鍼賦(きんしんふ)」という文があります。

 

”賦(ふ)”というのは”歌賦(かふ)”のことで、重要なことを書いた歌みたいな文章のことです。)

 

 

ここに、呼吸の補瀉とか、男女で打ち方を変えたり、鍼を捻る方向で寒熱を分けたり、提挿(ていそう)といって、鍼を引き上げるか押し進めるかで補瀉を分けたり、

 

あるいはこれらの組み合わせをやったりと、非常に複雑な鍼の手技が書かれています。

 

(苦笑・・・ややこしいですねー)

 

 

 

長くなったので続く

 

 

 

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補瀉 25

2016.03.07

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉          参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

 

 

 この本を書いた竇漢卿という人物についても、実は以前チョコッと紹介したことがあります。

 

「竇漢卿(とうかんけい)」という人物 参照

 

 

ここに、

 

「迎隨を知って、気の流れの方向性を意識しましょう。」

 

と出てきます。

 

 

 

また、我々鍼灸師の間では有名な、鍼を左右に捻りながら鍼を進めていく「捻鍼」という方法について述べています。

 

 

面白いことに、鍼を左旋するのが補法、右旋するのが瀉法と説いたり、左旋したら上を治し、右旋したら下を治すと説いたりしています。

 

 

また、

 

「鍼下に気が集まるときは、釣りで魚が餌を食った時の感覚に似てる。」

 

と、釣り好きの鍼灸師にはたまらない表現があります。(笑)

 

 

釣りと東洋医学的な鍼治療、両方をやったことのある人なら、非常によく分かる表現だと思います。

 

 

また「呼吸の補瀉」を重視しつつも、鍼を持つ右手や、経穴を押さえる左手での操作法を非常に重要視して、

 

後代でも非常に有名な”刺鍼十四法”という、十四の方法を提示しています。

 

 

これは非常に重要です。

 

 

これが後代に至って、いわゆる「補瀉手技」と言われるような、実に諸説紛々の補瀉方法に繋がっていくのです。

 

 

これについても、後ほど簡単に述べてみようと思います。

 

 

面白いのは、以前 補瀉 12 で紹介した、

 

「鍼を揺らして鍼の穴を広げ」

 

という、素問の調経論に書いてある”鍼を揺らす”という方法について、

 

「抜鍼の際に鍼を大きく動揺させて瀉法する。」

 

と、記載があり、刺鍼してからピンと鍼を弾く”弾法”については、

 

「気を早く巡らせる手技で、補法である。」

 

とあります。

 

 

ここで、

 

「えー、なんでー? 鍼を弾いたら鍼が揺れるじゃん!てことは鍼を打ったところの穴が拡がるじゃん!てことは気が漏れるじゃん!!瀉法になるじゃん!」

 

と考えるのが普通です。

 

 

ここを冷静に考えれば、抜くときに大きく鍼を動かして、針穴をわざと広げて、邪気を漏らすのが「揺鍼」であり瀉法、

 

針穴を広げないように、押手でしっかりと鍼をおさえつつ、鍼をピンと弾いて気を動かして集めるのが「弾法」で補法、

 

ということになります。

 

(後者は釣りでいう”誘い”みたいなもんか。)

 

 

鍼の操作の微細な加減が分かると思います。

 

 

『針経指南』では、これまでと違って、様々な手技が提出されました。

 

 

これも一つの考え方であります。

 

(僕はあんま細かいのは好きじゃないけど。(笑))

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 24

2016.03.06

_20201109_200506

 

 

 

 

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉     参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

 

 

 この本については、実は以前チョコッと紹介したことがあります。

 

鍼灸時間治療学 参照

 

 

ここに面白いことが書いてあります。

 

「時間によって、ツボが開いたり閉じたりします。だから補瀉する時は、ツボが開いてる時にしなさい。」

 

と。

 

 

これ確かに面白いのですが、ちょっと現場では使いにくい理論かな、と思っています。

 

 

この理論について、僕はそこまで真剣に検証したこともないのですが、真剣に検証したことがあるという先輩が、イマイチだった、と言っていましたし。。。

 

 

これだと、使いたいツボが開いてる時間にしか、治療の予約をとれませんしね。。。(笑)

 

 

また、面白い記載としては、

 

「鍼する時は、鍼を口に鍼を含んで温めてから打ちなさい。」

 

とあります。

 

 

まあ、今では衛生面の観点からしてもあり得ないことですが、確かに、冷たい鍼を刺すよりも、人肌に温めた鍼を打った方が、

 

気はよく動くように思いますね。

 

 

また、

 

「気の動きをよく理解して、キチッと間違いなくツボをとって鍼すれば、補瀉は宜しきにしたがう。」

 

と、僕の大好きな記載があります。

 

 

これは非常に重要です。

 

 

ここまで、何度も書いていますが、補瀉するには様々な技術もあるのですが、要は正気と邪気を噛み分けて、キッチリ取穴して、

 

綺麗に刺鍼すれば、生体側は常に治ろうとしているわけですから、特に何もせんでも、結果的に補瀉は正確になされるのです。

 

 

ここは、北辰会の考え方も同じです。

 

 

この補瀉シリーズの、最終的な結論にも連なる部分だと思います。

 

 

また、妊婦さんに対する堕胎の鍼として、

 

「合谷を補法して、三陰交を瀉法する。」

 

という配穴パターンを記載しています。

 

(現代では鍼灸院が堕胎の相談を受けることはまずありませんがね。)

 

 

また、

 

「男は左を瀉法、右を補法し、女は左を補法、右を瀉法する。」

 

とも述べ、陽である左、陰である右、という風に、補瀉を分ける方法を提示していますが、これはちょっと言い過ぎじゃないかな、と思います。

 

 

 ただ、左右の問題は、以前にも触れている通り、重要な問題です。

 

「左肝右肺」に関して 参照

 

 

また面白いことに、「深浅の補瀉」のことを「迎随の補瀉」と言ったりもしています。

 

 

やはり”迎隨”という言葉の意味が広いということを教えてくれています。

 

 

このように、『子午流注鍼経』は、これまでと違う、様々な視点や考え方を提示してくれたと思います。

 

 

形式論理的な補瀉法を述べつつも、

 

「正邪を噛み分け、キチッと取穴できれば、結果的に正確な補瀉がなされる。」

 

という記載があるところに、僕なんかはシビレますね。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 23

2016.03.05

_20201109_200447

 

 

 

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これまでのお話・・・

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ     参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

さてここまでで、我々東洋医学、鍼灸医学の聖典と言ってもいい、『黄帝内経』『難経』における補瀉に関して、ツラツラ述べてきました。

 

 

これ以降、この情報をもとに、歴代の有名な医家達が、この「補瀉」というものについて、あれやこれやと語ってくれています。

 

 

まあ、中国で2500年、日本でも1500年、すべての情報を完全網羅することなんて到底できませんので、僕的に重要かな、

 

と思うことを拾っていき、最後に僕なりの、現時点での結論を述べてみたいと思います。

 

 

◆孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

 

 

この本は、中国の唐代を代表する医学書で、全30巻にも及ぶ大著です。

 

(遣唐使の唐ですよ☆)

 

 

その29巻、30巻に、鍼に関する記載があります。

 

(最後の方なんだね。。)

 

 

そこ に、

 

「鍼する時はちゃんとツボをとって、虚を補して、実を瀉して、堅いものを柔らかく、引き攣れているものを緩め、

 

営気と衛気の流れを調えましょう。」

 

と出てきます。

 

(これは、虚実いずれの場合も、堅くなる、引き攣るものがよくないと考えていたのかな、と想像できますね。)

 

 

また、

 

「鍼の深さに応じて、それぞれにちゃんと感覚を感じ取りましょうね。」

 

とか、

 

「目的とする深さ、部位以外の部分は傷つけないようにしましょう。」

 

と出てきます。

 

(これは内経にも難経にもありましたね。過去を踏まえているわけです。)

 

 

また、

 

「鍼する時の呼吸やタイミングを重視しましょうね。」

 

とか、

 

「脈をよく診て、それに合わせた鍼をしましょうね。」

 

 と、出てきます。

 

 

なお、『備急千金要方』は略称で『千金方』とも呼ばれますが、これを補う目的で著された『千金翼方』という30巻本があります。

 

 

ここの28巻に、

 

「病気というのは、みんな気の停滞が原因です。鍼でそれを通じさせること出来ます!!」

 

と、我々にとっては非常に嬉しい(というか納得できる)ことも書いてあります。

 

 

 

また、面白い記載として、

 

「補法は強刺激、瀉法は弱刺激」

 

という記載もありますが、これに関しては後代、諸説あるようです。

 

 

まあ総じて、『黄帝内経』『難経』から見て、さほど目新しいことは書いていないのですが、『千金翼方』の上記の一文が気に入ったので、

 

拾っておきました。(笑)

 

 

著者である孫思邈という医者については、そのうち書こうと思います。

 

 

 

続く

 

 

 

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